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■自公都ファなどが政治活動用ポスターの自粛を強制する決議を提案。私が反対討論を行いました
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「政治活動用ポスターの自粛に関する決議」なるものが、9月8日の目黒区議会本会議に自民、公明、都ファ、無所属系会派から議員提案されました。「街の美観」を理由に、区議や区議を志す者は、政治活動用のポスターの貼りだしを自粛せよと強制するものです。
もちろん、憲法の政治活動の自由、表現の自由を否定するような内容であり、日本共産党は反対。私が反対討論に立ちました。
目黒区議会では1998年と2002年にも同趣旨の決議が自民、公明、当時の民主党・連合系の会派などによって可決させられ、その時は、反対は日本共産党だけでした。しかし、今回は日本共産党とともに、立憲民主系会派、維新の会、自由を守る会も反対。議長と欠席議員を除く31人中、賛成が自民、公明、都ファなど20人、反対が10人、退席1人。とても議会の総意で決議をあげるといった状況ではありませんでした。
憲法にも法律にも基づかない決議になんの拘束力はなく、日本共産党目黒区議団は引き続き、堂々と政治活動を行います。
以下、反対討論の内容です。
私は日本共産党目黒区議団を代表し、議案第62号、政治活動用ポスターの自粛に関する決議に反対の立場から討論を行います。
本決議案は、ポスターの掲示がまちの美観を損ね、区民の批判を招いているなどとして、公職にある区議会議員と区議会議員選挙に立候補を予定する者を含め、個人の氏名、写真を表示した政党の政治活動用ポスター及び個人のポスター張り出しについて、一切これを自粛することを区議会全体と区民に迫る内容です。まさに、政治活動の制限を強要するものであり、断じて決議案を認めるわけにはいきません。
第1の重大な問題は、決議案が憲法にも法律にも基づいていないことです。
言うまでもなく、政治活動は憲法で保障され、その自由が保障されています。民主政治の実現に欠くことのできない要件を規定する憲法第21条は「集会、結社及び言論、出版、その他一切の表現の自由はこれを保障する」と、あえて「一切の」という文言を加え、重みを持った条文になっています。これは戦前の日本が国民の言論、表現の自由を奪い、集会、結社に対する過酷な弾圧で民主主義を根底から破壊し、自由な政治活動を禁止するという暗黒政治によって、国民に耐えがたい苦しみと、さらには世界大戦に国民を総動員して多大な犠牲と悲劇をもたらした歴史を、二度と繰り返してはならないとの痛苦の反省と教訓の上に、国民的な願いを込めて明文化されたものです。政治活動を制限しようというポスター張り出しの自粛の強要は、憲法で保障された政治活動の自由を根底から脅かすものであり、断じて許されません。
第2の重大な問題は、現行の公職選挙法は、たび重なる改悪によって様々な規制を設けるなど、自由な政治活動や選挙活動を保障するものになっていないもと、政治活動用のポスターの張り出しを自粛という名目で制限することは、政治を一層区民から遠ざけることになるということです。
政治活動用のポスターは現在、全く自由に張り出せるわけではなく、定例選挙の6か月前からは名目上、張り出しは禁止され、弁士を複数掲載するなど要件を満たせば張り出せるという例外規定となっています。
ただでさえ、暗闇選挙、べからず選挙と言われる現在の公職選挙法のもと、議会自ら自粛という名の制限を強いることは、区内の政治状況を暗闇どころか暗黒へと導くものになり、決議案は断じて容認できるものではありません。
第3の重大な問題は、区民の政治に参加する権利と、区民の知る権利を大幅に奪うことです。
どの区民にも、自分の政治信条を区民に表明する権利、区政に参加する権利、区議会議員を志す権利があります。その意思を表す方法として、政治活動用のポスターという手段を用いる権利は当然、保障されています。区議会議員を志そうという区民、区政に参加しようという区民の自由な意思表示を、ポスター自粛の強要という形で制限されれば、区民を委縮させ、区民の参政権を大きく制限し奪うことにもつながりかねません。
また、ポスターの掲示は区民の政治への関心を高める効果があり、それぞれの政党や政治家が何をやろうとしているのか、何を訴えているのかを知る手立てとして、ポスターは重要な判断材料になります。そもそも、政治活動用のポスターを掲示するかどうかは議会が決めることではなく、区民が決めることです。自粛決議案は区民からポスターを掲示するかしないかの自由までをも奪うことになり、とても容認できません。
第4点目は、ポスターを掲示することが「街の美観を損ねている」と言いながら、なぜ、区議会議員や区議会議員選挙に立候補しようというものだけが自粛の対象なのか、合理的な説明がないことです。
決議案の提案者が所属している政党は、国政選挙や都議会議員選挙の前にも積極的にポスターの掲示を行っています。これらのポスターは、提案者が言うところの街の美観とは関係ないのでしょうか。こうしたことを見ても、自粛の理由が「街の美観」にあるのではなく、極めて政治的な意図によるものであることは明白です。
この「政治活動用ポスターの自粛に関する決議」が区議会で初めて強行されたのは1998年、平成10年でした。当時、毎日新聞がこの自粛決議を取り上げ、この記事の中で、この時、立教大学法学部教授だった新藤宗幸氏は、「現実問題として、政策もポスターも内容はないものが多いので議論は理解できる」と言いながらも、「しかし、それは政治家個々の政治倫理の問題。政治家は、政策や活動を多種な手段で明らかにしていくべきだ。権利を放棄するような決議をすることは、議員みずから政治の自由にピリオドを打つことになるのではないかと懸念する」と指摘しています。全くその通りです。
わが党は、主権者である国民および区民が、政治活動や選挙活動に気軽に多面的に参加できるよう参政権を保障していくことこそ必要だと考えます。国民および区民が主権者として、自らの代表を選び、政治に積極的に参加していくため、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、公職選挙法の抜本的な見直しが必要です。
諸外国では選挙の際、ボランティアが戸別訪問をして、ひとりひとりと対話することで、支持を広げていきます。日本では立候補者だけでなく、支持者による戸別訪問も禁止されており、有権者と戸口で質疑や討論することもできません。抜本的な見直しが必要です。
現在はインターネットを利用した選挙運動が可能となり、WEBやSNSを利用して、投票を訴える選挙運動ができるようになった一方、実社会では、選挙期間になると候補者氏名が入ったビラやポスターが極端に減るといった配布規制があります。このような規制があっては、有権者が十分に政策比較できるとは言えません。誰が立候補し、どのような公約を出しているのか、有権者に候補者情報がきちんとわたるようにすることこそ必要です。
現在の政治活動や選挙活動のあり方の改善こそが求められているにもかかわらず、政治活動用のポスター張り出しの自粛を迫り強制することは、規制の上に規制を上塗りし、憲法で保障されている政治活動の自由と国民の知る権利を著しく脅かすものであり、時代にも逆行するものであることは火を見るより明らかです。ポスター張り出しの自粛をしたのであれば、議員や政党が自主的にすればいいことであって、われわれを巻き込むのはやめてもらいたい。
日本共産党目黒区議団は、1998年と2002年の過去2回の決議に反対しました。そして、今回の決議案についても、賛成できないという議員も一定数見込まれており、議会の総意による決議とは到底、言えません。改めて、この決議案に明確に反対するとともに、仮に可決されても、この決議には一切拘束されるものでないことを繰り返し表明し、討論を終わります。
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