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■一般質問を終えて
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さる3日(月)に一般質問をおこないました。それについての感想です。
一般質問の内容は、「目黒区および区と契約を結ぶ受託事業者が、賃金、労働条件を守る責務を負う『公契約条例』の制定」と「適正な公共工事の施行と建設労働者保護のためにも、当面、やるべき課題」を取り上げました。
質問内容は前号に紹介したとおり、公共サービスを担う、区と契約している民間事業者に、働くものの労働条件を守らせるために、「公契約条例」をつくるべきだということ、建設労働者の労働条件を守るために、区としてもいくつかの条項を設けて指導するべきだという内容です。
青木英二区長の答弁は、いずれも、「労働行政は国や東京都が責任を負っていて、区として条例をつくることは、現行法との整合性に問題がある」「行政が民間の賃金問題に口出しすべきではない」という立場で、条例や仕組みづくりを否定するものでした。
これは、国際労働機関(ILO)が「公的機関の受託事業者で働いている民間の労働者の賃金や労働条件についても、公的機関がそれを守る責任を負う」という「公契約」の立場を否定するものであり、受託事業者の置かれている実態に心を寄せない答弁です。
そもそも、現在、区の特別養護老人ホームやホームヘルプサービスを担っている社会福祉事業団(区の外郭団体)では、働いている人から「賃金が低くてモチベーションが下がる」「人手不足でかぜをこじらせても休めない」といった悲鳴が上がっているほど、劣悪な労働現場になっています。
自転車駐車場を管理する指定管理者の下請けで働いているシルバー人材センターの人たちも、以前と比べて賃金が減ったという状況にもなっています。
行政の仕事を請け負いながら、低賃金、労働強化に苦しんでいる現場の状況を放置すれば、働いている人たちのモチベーションは下がり、ひいてはサービスの低下にもつながりかねません。
こういった状況を見れば、行政の仕事を請け負う働く人たちの労働条件を、区としても守る仕組みをつくるべきだという私の質問は、「労働行政は国や都の仕事」ということだけではすまされないのは当然ではないでしょうか。
青木区長は、こういった点を強調した私の再質問に対し、「あなたとは、そもそも考えが違う」などといい、まともな答弁ができませんでした。立場が違うなどという前に、質問に対して真摯にこたえる努力をすべきです。
一般質問の前文は以下のとおりです
私は日本共産党目黒区議団の一員として一般質問をおこないます。
まず、目黒区および区と契約を結ぶ受託事業者が、賃金、労働条件を守る責務を負う「公契約条例」の制定についてです。
現在、派遣や請負労働、パート、アルバイトなど非正規雇用者の賃金の低さや労働条件の悪化がたいへん問題になり、テレビなどでも再三にわたって「ワーキングプア」の実態が報道されています。正規雇用者と同じ仕事をしていても、非正規雇用者は正規雇用者に比べて賃金が半分であったり、社会保険にも未加入、交通費は自分持ちといった状態です。貧困と格差の広がりの根源にある人間らしい雇用の破壊について、さすがに政府も、「決して好ましいものではない」と認めざるをえませんでした。
公の仕事に従事している労働者の待遇も、年々、悪化している状況です。これは、指定管理者や業務委託を受けている民間事業者だけではなく、補助金を交付されている民間事業者と公益事業の認可を受けている民間事業者も例外ではありません。
「公契約」問題については、一昨年の第3回定例会の一般質問でも取り上げました。そのときの答弁は「労働基準法、最低賃金法、下請け法に基づき、区の契約相手となる事業者に対し、責任をまっとうし、遵守することを前提として契約をおこなっている」という趣旨のものでした。しかし、実態はどうでしょうか。
指定管理者として目黒区の福祉業務の管理運営を行っている外郭団体のなかでも、補助金のカットや「効率化」によって、人員減や人件費の抑制で労働条件の大幅な悪化が見られています。
この職場では、指定管理者に指定される前後から、常勤職員が減って契約職員に置き換えられるといった状態がすすんでいます。契約職員からは「交通費が支給されないので、その分が差し引かれたら最低賃金ぎりぎりになってしまう」、あるいは「休んだらかわりがいないので、かぜがひどくなっても休めない」、また「賃金が常勤職員の半分で、やめる人が多い。このままいくと、介護事故が起きてしまう。周りの人をやめさせないように、賃金を上げてほしい」といった悲鳴が噴出しています。
こういった、人間らしい労働さえ保障できない状態は、職員から「モチベーションが上がらない」といった声も出るなど仕事にも影響が及び、公的サービスの低下だけでなく、重大な事故につながりかねない事態にもなっています。
このような実態を正していくためにも、住民の税金を使って公的な事業を担う事業者や、指定管理者として公の施設の管理・運営を代行している民間事業者にたいし、働くものに人間らしい賃金と労働条件を保障させることと、発注者である区が、それを確保する責務を負うことは、ますます重要になっています。
そして、区として事業者に労働条項の順守を果たさせるためにも、賃金の保障や健康と安全、福利の条件の確保、休暇の保障など、具体的な内容を明記し、賃金や労働時間の記録・保存など必要な措置を規定する「公契約条例」は必要です。
「公契約」の原点は、1948年と49年の国際労働機関(ILO)の総会に提出された、「公契約における労働条項に関する条約」(第94号)と同勧告(第84号)にあります。この条約の基礎になっているのは、「住民の税金を使う公的事業で利益を得ている企業は、労働者に人間らしい労働条件を保障すべきであり、発注者たる公的機関は、それを確保するための責任を負っている」という考え方です。
07年12月現在、94号条約を批准している国は59カ国、ILO加盟国の3分の1にのぼり、さらに7カ国から11カ国が批准を検討しています。日本はまだ批准していませんが、現在、国に対し「公契約法の制定を求める意見書」が全国541の地方議会で採択され、制度確立の流れは強まっています。そこで、以下の点について質問しますが、お答えください。
一点目は、目黒区および区と契約を結ぶ受託事業者が、賃金、労働条件を守る責務を負う「公契約条例」の制定をおこなうべきと考えるが、いかがかでしょうか。
二点目は区が委託している事業者や建設業者、および指定管理者で働く人たちを対象にアンケートなどを実施し、実態を把握すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、適正な公共工事の施行と建設労働者保護のためにも、当面、やるべき課題についてです。
建設、土木関係の契約に当たって、区は、「労働基準法、最低賃金法、下請け法に基づいて、責任をまっとうし、遵守することを前提としている」「工事請負契約書に法令遵守を明記し、ほかに一括委託や一括下請けの禁止、第三者への委託の禁止を盛り込んでいる」「毎年、下請け契約における代金支払の適正化について関係所管への周知をおこなっている」という答弁をおこなってきました。しかし、これだけでは建設労働者の待遇改善にまでは、なかなか至っていないのが現状です。
首都圏建設組合の調査では、建設労働者の賃金は他の製造業よりも13万から23万円も低い状況がつづいています。しかも、建設職人は収入のそのすべてを生活費にまわすことができず、作業安全用品や交通費、駐車料金など本来、事業主が負担すべき費用を1カ月当たり職人・労働者で6,000円から8,000円程度、一人親方で18,000円から26,000円を自己負担しています。また、最近の設計労務単価の下落傾向が予定価格の低下につながり、落札業者は厳しい請負金額で施工をおこなうことになり、労働者の低賃金へ拍車をかける要因になっています。実際、職人の常用賃金は民間工事が15,786円にたいし、公共工事は15,372円と、民間より公共のほうが低くなっています。
目黒の建設職人も、「仕事量が減り、減収になっている」「異常なほどのコスト削減競争でつらい」といった声が上がっています。
建設業従事者むけに国がつくった退職金制度である、建設業退職金共済制度にも加入していない職人も残され、公共工事で加入が義務づけられていることから見ても、区が積極的に制度の周知をすることも必要になっています。法令順守や代金支払いの適正化を周知するという、現在の指導だけでは不十分です。
公共工事の施工に当たって、適正な工事とともに雇用の安定と促進をはかる取り組みでは、北海道函館市で「函館方式」といわれる先進的な仕組みづくりもおこなわれています。土木部長名の指導文書で、適正な賃金の保障や法定労働時間の厳守や労働者の福祉向上、地元業者の活用、社会保険への加入促進など14項目にわたる指導文書を毎年、市内業者に送付しています。また、建設業退職金共済制度への加入促進と下請業者への証紙の交付と貼付の確認をしています。私も実際に函館市に視察に行ってきましたが、地元の労働者や地元業者を守ろうという行政のやる気を感じました。
当面、急ぐべき課題として以下の施策を求めますが、区の見解をお答えください。
第一点目は、公共工事における積算労務単価の水準を明記し、適正な賃金の支払を指導する文書を作成すること。また、労災事故の防止、雇用通知書による雇用関係、労働条件の明示の徹底、週40時間労働、有給休暇取得の保証など、労働者保護対策を求める文書を盛り込み、指導すること。
二点目は、公共工事で加入が義務付けられている建設業退職金制度について、区が下請け業者まで含めて加入しているかどうかチェックし、建退共証紙貼付の実績報告の提出を事業者に義務付けること。
三点目は、受託業者だけでなく、区内の企業にも、上記の指導文書を毎年送付し、意識づけをはかること。
以上、回答を求めまして、壇上での一般質問を終わります。
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