一般質問の通告内容は以下の通りです。
1.目黒区および区と契約を結ぶ受託事業者が、賃金、労働条件を守る責務を負う「公契約条例」の制定を
現在、派遣や請負労働、パート、アルバイトなど非正規雇用者の賃金の低さや労働条件の悪化が問題になっている。指定管理者として目黒区の福祉業務の管理運営を行っている外郭団体のなかでも、補助金のカットや「効率化」によって、人員減や人件費の抑制で労働条件の大幅な悪化が見られている。公共工事を担う建設職人の労働実態も厳しいものがある。公共サービスの民営化が進むなか、事業者や指定管理者にたいし、働くものに人間らしい賃金と労働条件を保障させることと、発注者である区が、それを確保する責務を負うことは、ますます重要になっている。
区は、「労働基準法、最低賃金法、下請け法に基づき、区の契約相手となる事業者に対し、責任をまっとうし、順守することを前提として契約をおこなっている」としている。しかし、区として事業者に労働条項の順守を果たさせるためにも、賃金の保障や健康と安全、福利の条件の確保、休暇の保障など、具体的な内容を明記し、賃金や労働時間の記録・保存など必要な措置を規定する「公契約条例」は必要である。
日本は国際労働機関(ILO)の「公契約における労働条項に関する条約」(第94号)と同勧告(第84号)を批准していないが、現在、国に対し「公契約法の制定を求める意見書」が全国541の地方議会で採択され、制度確立の流れは強まっている。そこで、以下の点について質問する。
(1)目黒区および区と契約を結ぶ受託事業者が、賃金、労働条件を守る責務を負う「公契約条例」の制定をおこなうべきと考えるが、いかがか。
(2)区が委託している事業者や建設業者、および指定管理者で働く人たちを対象に、賃金、労働条件がどうなっているかアンケートなどを実施し、実態を把握すべきだが、どうか。
2.適正な公共工事の施行と建設労働者保護のためにも、当面、やるべき課題について
建設、土木関係の契約に当たって、区は、法律の順守の指導や、下請け契約における代金支払の適正化についての周知・徹底をおこなっているとしているが、これだけでは建設労働者の待遇改善にまでは、なかなか至らない。
首都圏建設組合の調査では、建設労働者の賃金は他の製造業よりも13万から23万円も低い状況がつづいている。しかも、建設職人は収入のそのすべてを生活費にまわすことができず、作業安全用品や交通費、駐車料金など本来、事業主が負担すべき費用を1か月当たり職人・労働者で6,000円から8,000円程度、一人親方で18,000円から26,000円を自己負担している。また、最近の設計労務単価の下落傾向が予定価格の低下につながり、落札業者は厳しい請負金額で施工をおこなうことになり、労働者の低賃金へ拍車をかける要因になっている。実際、職人の常用賃金は民間工事が15,786円にたいし、公共工事は15,372円と、民間より公共のほうが低くなっている。
建設業従事者むけに国がつくった退職金制度である、建設業退職金共済制度にも加入していない職人も残され、公共工事で加入が義務づけられていることから見ても、区が積極的に制度の周知をすることも必要になっている。
法令順守や代金支払いの適正化を周知するという、現在の指導だけでは不十分である。当面、急ぐべき課題として以下の施策を求めるが、区の見解を問う。
(1)公共工事における積算労務単価の水準を明記し、適正な賃金の支払を指導する文書を作成すること。また、労災事故の防止、雇用通知書による雇用関係、労働条件の明示の徹底、週40時間労働、有給休暇取得の保証など、労働者保護対策を求める文書を盛り込み、指導すること。
(2)公共工事で加入が義務付けられている建設業退職金制度について、区が下請け業者まで含めて加入しているかどうかチェックし、建退共証紙貼付の実績報告の提出を事業者に義務付けること。
(3)受託業者だけでなく、区内の企業にも、上記の指導文書を毎年送付し、意識づけをはかること。
以 上
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