石川恭子
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目黒区興津健康学園設置条例を廃止する条例に対する反対討論(全文)
 目黒区興津健康学園設置条例を


        廃止する条例に対する反対討論(全文)


 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案代51号目黒区興津健康学園設置条例を廃止する条例に反対する立場で討論を行います。

 興津健康学園は、肥満や偏食、ぜん息などの健康課題を持つ区内の小学3年生から6年生を対象にした全寮制の学校で、健康を回復していく場として設けられ、南房総の豊かな自然環境と少人数のもとで、一人一人の個性を生かしたきめ細かな教育が行われてきました。寄宿生活は、テレビやゲームで過ごす都会の生活とは異なり、早寝早起きの規則正しい生活で、体を動かし、自分のできることは自分でおこない、職員の援助や子ども同士の励ましのあいの中で進められてきました。こうした中で、子どもたちは自らの力で健康や生活を管理する能力を培い、投薬に頼っていたぜん息児が、徐々に薬が減りついには投薬なしで過ごすことができるようになるなどたくさんの成果をあげてきました。健康課題の克服は、こどもの心も大きく成長させました。
 さらに健康学園では、親同士のつながりや保護者自身が子育てや健康について学び考える機会をつくり、親自身の成長する場ともなりました。だからこそ学園の廃止を知ったとき、保護者をはじめ、子ども、卒業生、保護者OB、関係者などが「興津健康学園を廃止しないでほしい」と8000筆を越す反対署名を提出したのです。
 現在、区内には肥満やアレルギー、ぜん息などの子どもが500人から600人います。今後さらに、少子化や、核家族化、地域のつながりの崩壊など、子どもの育つ環境が複雑になる中で、心と体の健康課題を持つ子どもが予想され、健康学園の役割がますます重要となっているにもかかわらず、教育委員会は利用者の減少を主な理由として廃止するというものです。利用者が少ないのは、教育委員会が健康学園の理解と実践を保護者を始め学校、小児科医などにきちんと伝えることを行ってこなかったからです。

 健康学園の運営費用は、入園児童数に大きなかかわりはなく毎年おおむね2億円程度であると示しながら、入園児童数によって1人当たりの単位費用が増え、1人当たりの費用の増加を問題としています。しかし健康学園は設立目的から見ても、当初から健康回復には経費がかかるということは前提で、1人当たりの経費が増えたことをもって廃止することは許せません。そもそも教育の機会均等は、経費の均等をさすものではなく、教育を受けるために環境整備が必要であれば当然保障されなければなりません。健康学園の廃止は、経費削減のための行革の一環のなにものでもありません。

 今後興津健康学園の経験を生かし、区内の学校での健康教育の推進を行うとしています。健康教育の推進は、否定するものではありませんが、興津健康学園に変わるものではありません。健康教育を押し進めていくためにも、引き続き健康学園の実践を行いそれを学び、区内の全児童の健康に生かしていくことです。

 最後に、教育委員会は教育の環境を整備し充実させることが役割です。学園の廃止を短期間の中で対処し、在園している子どもたちの将来の方向性も示されていない中での決定は問題で、子どもの教育を受ける権利を侵害するものです。また「子どもの最善の利益を保障」するとした子ども権利条約の理念に基づく子ども条例を制定した区として相反するものです。

 以上本条例は、子どもや多くの区民の切実な声を無視し、目黒の財産である興津健康学園を廃止するもので、よって日本共産党目黒区議団は、議案51号目黒区興津健康学園設置条例を廃止する条例に反対します。
                                                                              以上



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