石川恭子
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区政報告ニュース
予算の反対討論を行いました。
 私は日本共産党目黒区議団を代表して、議案第25号平成17年度目黒区一般会計予算に反対する立場で討論を行います。

 昨年、前薬師寺区長の自殺、契約課長逮捕という異常な事態の下で行われた区長選で、青木区長は「大規模開発に絡む黒い噂、怪文書が飛び交い、前区長の自殺の翌日には契約課長の逮捕という前代未聞の区政を私は見逃すことはできない」と訴えました。しかし多くの区民の不正や疑惑を解明してほしいと言う期待のもとに当選されたにもかかわらず、疑惑を収賄事件に矮小化し、真相究明には背を向け続けてきました。所信表明では「信頼と改革の区政」の展開を期する初年度としましたが、その真価が問われるところです。その視点から以下問題を指摘します。まず「信頼と改革」の区政実現についてです。
 「区政の透明性向上検討委員会」は中間のまとめで「前契約課長一人の判断においてこれらの契約手続きが進められたとはいえず、ラインでチェックすべき立場の上司らの組織上の責任は否めない」「検証のために調査をした日数、範囲が限られており、今回の検証結果は、問題のすべてではないことが明記されるべきである。区政の透明性向上の第一歩に過ぎない」と厳しい指摘をしています。にもかかわらず区長は真相究明をする意志がないことを重ねて表明しました。これは、区民を裏切ることであり「信頼と改革」の区政実現は期待できません。

 次に区民のくらしの視点からです。
 大企業が史上最高の利益を上げている一方で、国内総生産(GDP)統計では、国民の所得は4年連続で減り、2005年2月の労働力調査では完全失業率は4.7%です。正規雇用が減る一方で低賃金のパートや契約・派遣など不安定雇用が増大し、生活保護世帯は昨年初めて100万世帯を超え10年間で6割も増え、その半数近くが高齢者世帯という実態です。目黒区でも生活保護世帯は、昨年12月1900世帯を超え1年間で50世帯も増え、その半数以上を高齢者が占めており、景況調査では中小業者は、以前厳しい状況が続いているとしています。
 こうした下で小泉内閣は、今年の1月から年金者控除の縮小と老年者控除の廃止を強行し、さらには年金保険料の引き上げ、生活保護の母子家庭への加算の縮小、定率減税の半減、高齢者の住民税の非課税限度額の廃止など、あらたな大増税と社会保障の切り下げをすすめ、とりわけ低所得者と高齢者に大きな負担が集中しています。
 区長は、この弱い者いじめの大増税を公平性の視点から当然とし、学童保育の有料化の導入や、とりわけ低所得者に負担増をかける国民健康保険料の値上げなどを行いました。さらに「区の福祉予算は増えている」と自慢していますが、生業資金貸し付けの廃止、福祉タクシー券・自動車燃料費助成の削減や、高齢者電話代補助の削減など最も福祉を必要としている人への施策の削減をするなど弱者には大変冷たい区政運営となっています。
 予算編成概要では、区自身も「区民の間には長引く不況をはじめとして、暮らしについての不安感や根強い閉塞感が広がっているものと推測される」と分析していますが、こうした視点に立つのであれば、自治体の本来の役割、とりわけ低所得者に対する福祉の増進に取り組むべきでした。

 三つ目は財政運営についてです。
 「信頼と改革の区政」の初年度として位置づけながら、薬師寺区政の実施計画を見直すことなく第2次行財政改革大綱・年次別推進プランに基づき、2005年度も区民施策の切り捨てと負担増を進めています。2004年から2008年の5年間で191億円の財源を確保するために、毎年10億円もの財源確保の取り組みが行われていますが、新年度この目標額に、3億5000万円も及ばないと言う事態になっており、行革そのものが限界に来ていると言わざるを得ない状態です。さらに国の進める三位一体改革や、都と23区の間で進めている「主要5課題」協議がどうなるのか、区自身も「先行き不透明な予算編成である」と言いながら、学芸大学駅周辺地区整備や、電線類の地中化など総事業費もわからず、後年度に重い負担となる事業に着手するなど全く無責任な予算と言わざるを得ません。また区長には都区間の主要5課題の協議に臨むに当たって、都の傲慢な主張にどのように対決していくかが求められます。ところがその背景にある「都市再生」の名のもとで膨大な予算が使われる東京メガロポリス構想を知らないと答えていましたが、こうした認識では区民のための財源確保を期待することは出来ません。

 四つ目は指定管理者制度についてです。
 住民の福祉増進を目的に設置された公の施設のあり方が大きく変わり、住民サービスに多大な影響を与える指定管理者制度が検討されてきましたが、いくつかの問題点を指摘します。まず第一に指定管理者制度導入にあたって公立施設の目的や役割、位置づけを明確にしてこなかったこと。第二は、直営に戻すという選択肢について、まともにも検討されなかったこと。第三は、福祉施設などについて、民間の施設の模範となるとしながら基準と保障が示されていないこと。第四は、今回「公募」と「継続」を決定するに当たって、選定委員会を設置することなく、その判断の基準があいまいにされていること。第五は、住民サービスに大きな影響をもたらす問題であるにも関わらず住民への説明が行われていないことです。
 指定管理者導入に向けて、「住民サービスの向上」と「経費の効率性」の両面から検討しているということですが、実際は経費削減が優先されサービス低下につながる介護保険施設や障害者施設の運営費が削減されました。今、自治体に求められているのは、このような民営化や規制緩和など構造改革の流れに無批判にのることなく、独自の基準を持つことです。また、指定管理者制度の論議が行われているさなか、条例改正も行われていない中で、第二田道保育園の保護者に対してあたかも条例が制定されたかのようにプリントが配布されましたが、議会の審議を軽視し、保護者に混乱をあたえたものであり、手続きからみても問題であったということを指摘しておきます。

 5つ目は住民参加についてです。
 前薬師寺区政の下でも、決して十分ではありませんでしたが少なくても区民を対象に年2回5地区の区政懇談会が行われてきました。ところが、青木区長はその対象を役員などごく一部の区民に限定しました。また保育園の民営化や、学童保育の有料化などについては多くの区民から「民営化をしないでほしい」「学童保育の有料化をしないでほしい」と切実な声が寄せられましたが、区長は「意見の数の多さは問題ではない。総合的に判断して決める」と切り捨てました。さらに区長は、「住民参加をどのように保障していくか」の問いに対し、区民の代表である議会の声を聞いている事が住民参加の道だと発言しましたが、新しい地方分権の時代に求められている住民参加のあり方からも、薬師寺区政時代からも大きく後退する姿勢といえます。

 6つ目は平和と憲法についてです。
今年は、戦後60周年です。あの悲惨な戦争を二度と繰り返さないと、多くの人々の英知によって平和憲法が誕生しました。そのもとで戦後60年間他国を侵略し、他国民に銃口を向けることなく戦争をしない平和な日本として過ごしてきましたが、今憲法を改悪しようというおおきな動きが起こっています。区長は改憲問題について所信表明でひとことも触れず「憲法論議は国会の場で」と避けましたが、憲法を守る義務を負う自治体の長として問題です。またアメリカを支援するためのイラクの自衛隊派兵について評価する発言をしたことは、世界の多くの人たちが反対し、派兵していた半数近くの国が撤退するという流れと、世界の平和の世論に背を向けるものです。「平和憲法を擁護し、核兵器のない平和な都市」平和都市宣言の区長として、積極的に憲法を守り9条の精神を広げていく役割を果たしていないと言わざるを得ません。

 その他に一点申し述べます。
予算特別委員会の我が党の「保育園の保護者に園舎を使用させないのは、子育て支援の立場からどうなのか」と言う質問に対し、「選挙支援的活動を行ったから」と言う答弁がありましたが、「何の根拠があるのか具体的に示すべき」の問いには、答えることは出来ませんでした。具体的な内容もしめさず、あたかも事実であるかのように発言することや、保護者会に対しての偏見は到底許されるものではありません。

 最後に日本共産党目黒区議団は、今議会に、区民の生活を守る立場から切実な要求に絞って予算案の修正動議を提出しました。議員の海外視察、学芸大学駅周辺整備や電線類の地中化の予算を削減し、訪問介護の低所得者に対する利用料減額と疑惑の真相究明プロジェクトチームの設置を予算化するというものです。修正案は否決されましたが、引き続き実現に向けて取り組んでいく決意です。

 本予算案には、我が党がかねてから要求していた介護保険利用料の区独自の低所得者への軽減策の継続や、災害用備蓄食料品の充実と仮設トイレの増設、乳幼児医療費無料化の小学生の入院費までの拡大、被爆地広島への小中学生派遣枠の拡大などが盛り込まれていますが、前薬師寺区政と何ら変わらない大型開発を優先し、区民の暮らしや福祉を削減する本予算案に、改めて反対することを表明し討論を終わります。
                         


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