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■572号 樹齢百年の欅消える
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東山の屋敷森
東山1丁目小川坂に鎮守の森のような民家がありましたが、この土地が、三菱地所レジデンスに売却され、マンション開発計画が進められています。
欅守れと陳情
昨年5月、住民説明会が行われた時には、すでに大半の樹林が伐採されていましたが、残された樹齢100年の欅の巨木を残してという陳情が区議会に出されました。
大木守る規制を
昨年9月からの継続審査でしたが、11月29日の都市環境委員会で、自公などの反対により否決となりました。議会が陳情を採択したからといって、設計変更しない頑なな開発企業の態度など諸状況から、残った2本の欅が残せたとは言い切れませんが、少なくとも、こうした開発から地域の貴重な巨木を守る区行政による規制強化を求め、議会の意思として示すことが大事だったのではないでしょうか。
6割は民間の緑だった
目黒区は、みどり豊かで住みやすいまち、というイメージがありますが、みどりの6割は民有地のみどりでした。(今は5割に)
神社やお寺、屋敷森や崖地や斜面地の緑が、この間の規制緩和によって、開発マンションが崖地に進出することを許し、多くの自然環境が破壊されてきました。
緑化保全協議
10数年も前のことですが、私は、どうしたら目黒区内の民有地の緑を守ることができるのか、伐採前に区と事前協議させる仕組みを区議会で提案し、23区でも先進的な緑化保全の事前協議制度を実現することができました。
巨木守る課題は
2008年度から2015年度までで保全協議が215件、樹木本数が1700本のうち保全されたものは538本32%という実績です。
しかし、今回の東山のみなさんから出された陳情の審査の中で、巨木を守る仕組みづくりの必要性が浮かび上がりました。
芝生も緑化面積
今回の事前協議のケースで区は、シラカシ3本以外は伐採されるが、基準20%のところ30%緑化する、地被類や芝生もカウントするが中高木の基準67本のところ128本植えると説明。私が、巨木はあるかと聞くと、欅とか銀杏とかは植樹計画にないのです。
保全も創出も
これまで、目黒区内の巨木は何本あったのか、いま何本に減少してきたのか質問しましたが、記録がなく把握していない。
今年4月に改定された緑の基本計画では、みどりの量より質を重視することを位置づけ、大木の保存は質そのものでありながら有効な仕組みがない。これでは、保全も創出もできません。
財産権の侵害か
陳情審査の中で、大木を保全・創出する規制強化の具体策を、伐採前の住民への説明の義務付けなど提案しましたが、マンション開発業者と同様に一般住民にも私有財産に規制をかけていくのか慎重に調査研究を進めたいと区は言います。
しかし、売り手にとっては値下げ要因になる場合もあるが、大木を残すことによって環境のすばらしい地域が保全でき、その地域の価値は上がるから、一概に私有財産の制限にはならないのではないか。それに、23区一厳しい目黒区の絶対高さ制限にしても私有財産を規制しているのです。
本気で取組め
緊急財政対策の3年間は保存樹の予算はゼロ。区内の大木を本気で守る仕組みもなければ予算も自ら削ってしまう。保存樹予算ゼロの3年分を来年から上乗せして予算化してはどうかと提案しましたが、「その考えはありません」という区の姿勢では、目黒区の緑被率は、さらに低下の一途でしょう。1986年23区で8位でしたが、2009年には12位に低下しました。
巨木は消えても住民自治の財産残る
東山の100年の街の歴史を知る欅の巨木は伐採されようとしていますが、守ることを目標にした住民のみなさんの共同こそが住民自治の確立への財産だと思います。
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