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■569号 人権としての医療と介護を
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介護保険を大改悪
安倍政権は、介護保険を大改悪し、要支援の訪問介護と通所介護を介護給付から外し、昨年8月から年金年収280万円以上の高齢者の利用料を1割から2割に引き上げました。
8万円から16万円に
目黒区では、介護利用料が2割になった人が2644人出ました。低所得者に対する特養ホームなどの食事や居住費の軽減措置も縮小され、480人が影響を受けました。非課税世帯なのに月8万円から16万円に値上げされた人も出ました。
特養ホーム多床室の部屋代をとられるようになった人は区内特養6カ所だけで88人。高額介護サービス費の上限が引きあげられた人は2004人に上りました。
こうした中で、目黒区は、介護家族に追い打ちをかけるようにして、介護保険料の基準額を月額5780円に820円も引き上げました。これは、23区3番目に高い大幅値上げでした。
利用抑制が
2000年の介護保険導入時から、どの要介護度でも低所得層ほど介護サービス利用率が低く、支払いができないために、必要な介護サービスの利用抑制が続いてきたのです。
介護利用料が2倍になったある高齢者は、サービス利用量を半分にしたといいます。マイクロバスで公衆浴場に入浴する楽しみも会話も、夕食のおかずの配食サービスもやめた、という高齢者も出ました。
こうした中で、安倍政権・財務省は、要介護1・2や福祉用具などの介護保険外しを狙っています。重度化が広がり、結果的に介護給付総額が膨張する悪循環が目に見えています。
医療も改悪 手遅れで死亡
高すぎる医療や介護の保険料の支払いが家計を圧迫し、体調が悪いのに診察をガマンしていた人がいました。相談を受け、生活保護につなげて、病院で診察したら、すでに重篤ながんの症状であり、手遅れでなくなりました。こうした人を、一人も出してはならないと思うのです。
高すぎる国保料を引き下げるために公費の投入を増やすべきときに、目黒区は逆に公費の投入を減らし、高額療養費への一般会計からの繰り入れを4億円も削ってしまいました。これによる1人当たりの保険料値上げの影響は6100円でした。
公費投入こそ
その上、2015年度から保険者支援として国から目黒区に2億6400万円交付され、これを国保料引き下げのために使えば、一人当たり3700円引き下げられたにもかかわらず、目黒区は、一般会計からの繰り入れを減らすために使いました。高額療養費の削減をやめれば合わせて1万円引き下げられたのです。
上限撤廃で医療費25万円も
病気になりがちな高齢者の受診を保障するため、外来は昨年引き上げられたものの4万4000円と低く自己負担上限額が設定されています。
ところが、10月4日、財務省は、70歳以上の高齢者も現役並みに値上げする高額療養費制度の見直しを提案しました。
後期医療保険料が10倍にも
また、財務省は、後期高齢者医療保険料の低所得者の軽減特例廃止も提案しました。9割及び8・5割軽減の人8312人の保険料が2倍から3倍になります。元被扶養者だった1176人は3倍から5倍に、軽減特例からさらに政令本則まで改悪すれば10倍になる人も出ます。
減免制度の活用を
受診抑制による手遅れで命を落とすということがないように、高すぎる保険料と窓口支払いを公費投入で軽減すべきです。
生活困難者への保険料減免の実績が27年度たったの1件。私が相談を受けたケースだけ。生活保護基準以下だったので減免されました。滞納者の実態をよくつかみ積極的に活用すべきです。
窓口払い減免
また、国保が自営業者や高齢者など、生活の苦しい区民が多く加入する医療保険であり、社会保障機能を果たすために窓口負担を減額・免除できる国保法44条の制度があります。
命と健康を守れ
2015年度は44条適用による減免が5件のみ。実態に対してあまりに少ない。このほど44条の適用条件が見直され、保険料完納要件は撤廃されました。生活保護の受給が確実な患者さんについては、減免申請から保護開始までの自己負担も免除されることになりました。目黒区として、積極的に活用し、区民の命と健康を保障すべきです。
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