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■４２３号 改定素案が公表 基本計画に福祉の心を
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今後１０年の区政
目黒区基本計画が今年度中に改定され、２０１０年度から２０１９年度までの第２次総合１０か年計画として策定されます。改定素案が公表され、５月１３日、区議会の企画総務、生活福祉、都市環境、文教子どもの各常任委員会で報告を受けました。
基本構想を生かせ
基本構想は、３つの基本理念を、「住民自治を確立する、環境と共生する、人権と平和を尊重する」として掲げ、これらを「ともにつくる、みどり豊かな、人間のまち」とやさしく表現してまちづくりの基本方向にしています。
基本計画には、基本構想を実現するための施策を１０年の計画として盛り込みます。その施策の数を現行６４１から改定素案８０に大くくり化したのは今回の改定の１つの特徴です。その理由として区は、期間内の社会経済状況の変動に対応できる内容にするため、と各分野の補助計画を生かすととともに、区がめざす姿をわかりやすく示すため、をあげています。
しかし、２つの理由をあげていますが、実は、貧困と格差問題を社会経済状況の重要な変化として言葉以上には位置付けていないことや、開発計画の推進や保育園や児童館、社会教育館などの民営化をはじめとする新行革計画など基本構想を意識していない補助計画の問題や、抽象的でかえってわかりづらいというきらいもあります。
基本構想は、直す必要はない、というのが今回の検討の結論です。いまこそ基本構想の立場に立って、これを生かす施策を基本計画に盛り込むことが求められています。
現行基本計画に歪み
すでに現行計画（２０００〜２００９年度）には、「目黒区行財政改革大綱」の推進を大前提にする歪みがありました。「行革プラン」を実行しながら（それ以前の「行革」も含む）区民サービスや福祉を削って作りだした「財源」を、大型ハコモノや都市計画関連事業に回してきたのです。計画になかった庁舎移転を強引に進め、区財政に大きな影響を残すとともに、中目黒駅前や大橋再開発など超高層ビル建設中心の再開発を優先し、環境やまちづくりへの多大な影響を与え、数々の疑惑と傷跡さえ残してきました。
基本計画改定の趣旨
これまでの１０年間の社会経済状況の変化をうけて、いま区政が果たすべき課題や施策は何なのかを、基本計画に明記することが改定の趣旨です。
この１０年間の大きな変化は、国都区そろって推進してきた構造改革の下でつくり出されてきた貧困と格差が大きな社会問題になっていることです。
貧困と格差の実態分析を
ところが、改定素案には、これまで１０年間の福祉切り捨ての認識がなく、そのためにたとえば、貧困と格差が区民生活にどう広がっているかの実態分析がありません。派遣社員が不法な首切りにあい住居も奪われ路頭に迷い、区役所窓口にホームレスが殺到し、生活保護を必要としている人たちが急増している現実が眼に映っているとは思えません。
特養ホームの増設を 待機者８７０人
群馬県渋川市「たまゆら」の施設火災は、行き場のない低所得世帯の悲劇です。根本には特別養護老人ホームやグループホームなどの整備が遅れていることがあり、目黒でも８７０人もの特養ホーム待機者を抱えています。
保育園の増設を 待機児１４４人
官から民への構造改革路線の下、保育行政も後退と変質が進められています。
区立保育園の民営化を推進する一方、増設要求には、区立私立認可保育園ではなく、民営化認証保育園で対応する仕組みをつくってきました。認証保育園は、営利企業も参入でき、中野区では企業倒産によって廃園、子どもと保護者が投げ出される事態が起こりました。職員の頻繁な離職による保育水準の低下や７万円前後の高い保育料は大きな問題です。５月１３日の文教子ども委員会に、今年４月入所できなかった子どもは１４４人に達したことが報告されました。一昨年の５１人、昨年の１０６人から急激に増える待機児は政治の責任です。
安心安全は確保できるのか
また、経費削減の民営化の末路は、安全安心の放棄です。目黒区体育館の管理を指定管理者に移行しましたが心配です。プール天井落下事故や富士見市のプール死亡事故が経費削減の下で起きているからです。公営住宅管理では、保守業務委託経費が安ければいいで起こったシンドラーエレベータ死亡事故などが想起されます。
今後もさらに、保育園や児童館、社会教育館などの民営化が控えていることを考えれば、これでいいのかを真剣に考えなければなりません。
福祉最優先に
いま区民が抱えている緊急切実な課題に真剣に答える基本計画改定でなければなりません。そのためには素案に対する区民意見を徹底的に提出し、必要に応じて区に要請行動することも重要です。
６月１日付のめぐろ区報で基本計画改定素案が掲載され、７月１０日までが区民意見の提出期限です。くらし最優先の区政に！
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