森美彦 日本共産党目黒区議会議員 葉っぱ
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森美彦のモリモリ区政報告

420号 孤独死ゼロめざせ



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一階右奥の居間があらわになった解体時の家屋。

東山で白骨遺体

 3月7日午後、立ち入り禁止の黄色いテープが張られ、警察官が現場検証しているところを通りかかりました。
 白骨化した遺体が発見されました。1階の居間でコタツに足を入れ、仰向けに倒れた状態でした。「死後1年以上、病死か」と新聞報道されましたが、ご近所の方を訪ねて聞いてみると、「姿を見なくなって5年くらいたつ。餓死ではないか」と言います。
 真相は、不明ですが、たいへん痛ましいショッキングな事件です。死後何年もたっているのに遺体が白骨化するまで発見されない孤独死が私たちのまわりで起こっている事実をしっかりと受け止めなければなりません。

孤独死が社会問題に

 2年前、みのもんたの「ほっとけない」で「高齢者の孤独死」が東京では1年間に1800人を超えていると報道しました。東京新聞でも孤独死問題を連載しました。
 東山1丁目の白骨遺体の発見現場から50mほど離れたところで、2年前の夏に、80代のご夫婦が熱中症で亡くなる事件があり、大々的に報道されました。あの事件も、早期に発見されていれば、一命を取り止められたかもしれません。
 上目黒3丁目在住の知人の家の周りでも孤独死が相次いでいます。ウジがわきアパートの階下に垂れてきた例もあり人間の尊厳が問われる事態です。

孤独死の実態をつかめ

 3月18日、予算特別委員会の質疑で孤独死問題を取上げました。
 目黒区は、最近初めて孤独死の数を全庁的に集約しました。3年間の取りまとめ数は30人だそうです。
 私は、この数字は、目黒区の孤独死のごく一部にすぎない、3倍はあるのではないかと考えています。警察署など関係機関とも連携して正確な実態把握をすべきです。

孤独死の事例から学べ

 孤独死がなぜ起こったのか、事例からしっかり学ぶことは重要です。孤独死になる共通点は、あいさつしない、仲間がいない、親族にも連絡しない、「ないない尽くし」が特徴です。
 しかし、行政が自己責任で済ませたらまともな対策は打てません。
 貧困も孤独死につながります。目黒区の場合は、北九州市のように生活保護申請を受け付けずに餓死に追い込むケースはありませんが、ホームレス対策を含め丁寧な相談体制の強化は課題です。
 事例から様々なケースが浮かび上がります。例えば、介護者が急死して要介護者が孤独死するケース、ベッドから落ちて動けなくなったり室内で転倒したりして骨折し孤独死したケースなど様々ですが、早期発見で救命できる場合が多いのです。

なぜ遅い目黒区の対応

 2,3年前、民生委員さんによる一人暮らし等高齢者の実態調査が行われ、その結果、あらたに3700人がひとりぐらし登録を希望していることがわかりました。しかし、実際の目黒区の一人暮らし等の登録者数は、3月1日時点で6258人で(2003年は8093人)年々登録数が低下傾向にあります。しかも、47000人の高齢者の13%に過ぎません。

一人暮らし高齢者への支援を後退させた!

 一人暮らし高齢者への福祉的な助成の予算は削減の一途です。2000年度は1億1572万円ありましたが、非課税の方への福祉電話代助成を全廃するなどして、新2009年度は2626万円に減少します。登録してもメリットがなくなってきたとも言えます。生活苦から電話をはずす高齢者が増えているようです。これでは、救急車を呼ぶことも安否の確認もできません。福祉電話代助成を廃止した影響で電話代さえ払えない世帯が増えたのではないかと質問しても、区は実態調査さえしていませんから答えられません。また、実態を調べる意思もありません。せめて生活保護世帯の2000世帯のうち半数以上に上る高齢者世帯で電話のない世帯数はどのくらいあるのかと聞いても不明でした。個別には分かっているので、ケースワーカーが訪問回数を増やしている、と答弁していました。
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一人暮らし高齢者への助成予算は減らされてきた!

SOS発信できる見守りシステムも大事

 目黒区では、非常通報装置など本人がSOS発信できる条件整備が進んでいません。対象を厳しくしているので減少しているのです。2年前に私は一般質問で江東区の実践例をあげ、トイレの水を1日流さないと自動通報する生活リズムセンサーの導入を提案したことに対し、研究すると答弁しましたが、高齢者福祉住宅には導入したものの、民間住宅への導入は全く進んでいません。
 狛江市では、冷蔵庫の開け閉めや、照明のオンオフなど微小の電流の変化を利用した生活リズムセンサーによる安否確認見守りシステムの実用化などによって孤独死ゼロを目指しています。

民生委員だのみ民間地域包括支援センターだのみ

 新年度予算で地区保健福祉サービス事務所が廃止されることによる影響は重大です。いままで地区住民の様々な相談に総合的に応えてきたのは、保健福祉サービス事務所でした。民間の地域包括支援センターに見守りネットワーク体制をつくらせようとしていますが、区が積極的な役割を果たさなければ見守りネットワークの構築はとてもできません。


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