森美彦 日本共産党目黒区議会議員 葉っぱ
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森美彦のモリモリ区政報告

339号 憲法9条を守れの声こそ強く大きく



「目黒区無防備平和条例」の制定を求める直接請求署名運動が取り組まれ、有権者の50分の1を超える5569人の署名が集まりました。これを受けて、1月24日から3日間臨時議会が開催され、その審議が行われました。
日本共産党は、岩崎ふみひろ議員が、「目黒区無防備平和条例(案)」に対し、次の反対理由により反対討論を行いました。

戦争の不安と平和の熱望

 
 現在、教育基本法の改悪、憲法九条改憲の動きなど、日本が戦争国家への道をすすんでいることに国民の不安の声がたいへん高まっています。イラク戦争や自衛隊のイラク派兵に反対する世論や行動も高まっています。日本共産党区議団は無防備平和条例制定請求に署名をした区民の願いは、こういった戦争を一掃したいという平和への思いの強さを反映しているものと重く受け止めています。

憲法九条と無防備平和条例案は相容れない

しかし、日本が戦後、不戦の誓いを世界に公約し、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」との決意のもと、「戦争」も「武力による威嚇」も「武力の行使」もすべて放棄し、そのために軍備も交戦権も認めないというのが憲法9条です。この積極的な平和推進宣言である憲法九条を擁護し、戦争する国にさせないという平和の声を結集していくためにも、憲法9条と無防備平和条例案は相容れないことを率直に指摘することが必要だと考えます。

ジュネーブ諸条約及び追加議定書とは

 無防備平和条例案は平和維持のための予防措置や平和行政の推進、非核政策など平和を願う人たちが一致できる条項が含まれていますが、条例請求の趣旨、条例案を貫く最も中心的部分は第5条のジュネーブ諸条約追加第一議定書59条の目黒区への適用です。
ジュネーブ諸条約及び追加議定書は、「ジュネーブ諸条約に追加される国際武力紛争の犠牲者の保護に関する第一議定書」と呼ばれていることからも、世界各地でいまだ起こる戦争による大量殺戮などの多大な犠牲から市民をどう保護するかという観点から定められたものです。59条は無防備地区を宣言し、攻めてくる外国軍隊に対し一切の敵対行為をおこなわず、当該地域を「占領に対して開放」することと引き換えに、攻めてくる軍隊に当該地区への攻撃を控える義務を負わせ、それによって住民の生命や財産を守ろうというものです。この条項が効力を持つのは、日本が外国軍隊に攻撃されたとき、すなわち戦争状態になったときにのみ生じるものであり、「占領に対して開放される」といった内容は、その地域は敵軍によって占領され、軍政、徴用などがおこなわれるのであり、それに一切抵抗しないことが義務付けられるという意味であり、いわば無抵抗降伏状態というべきものです。「無防備地区宣言」をすれば戦争に巻き込まれないということではありません。

戦争を前提とする無防備平和条例

 わが党は、戦争は違法だという21世紀の世界の流れの中でも、現実には起こり得る戦争による犠牲をできるだけ少なくするためのルールを定めたものとして、ジュネーブ諸条約第一追加議定書の批准に賛成しました。しかし、いま、戦争をしないことを憲法で宣言している日本において、日本を戦場にさせない、日本国民から戦争による犠牲者を出さないための最大の保障は、ジュネーブ条約が想定するような事態をつくりださない、すなわち憲法九条の改悪を許さず、憲法九条を全力で守っていくことではないでしょうか。憲法九条のもとで、戦争を前提とする無防備平和条例を制定することはできないし、国民の平和への願いとも相容れません。

有事法制とセットだった批准

 現在、自公政権の下で、日本はアメリカとともに海外で戦争できる国づくりへと着々とすすんでいます。1999年には周辺事態法などが、2004年には武力攻撃事態法や国民保護法など、日本が他国を攻撃する、あるいは攻撃されることを想定した有事法制が強行されてきました。ジュネーブ条約第一、第二追加議定書も有事関連10案件の一つとして批准されました。

改憲手続法・・・「戦争する国づくり」

 さらに、戦争する国に日本を抜本的に変えようと、改憲勢力はさらに動きを強めています。安倍首相は2期6年という任期中に憲法改定を実現すると宣言しています。期限を切っての改憲宣言は戦後の自民党内閣でも初めてのことです。そして、首相は改憲の目的について集団的自衛権の行使のためだと発言しました。昨年末の臨時国会では、こうした目的への第一歩として、教育基本法を改悪したばかりか、海外派兵を自衛隊の本来任務に格上げする自衛隊法改悪が「防衛省」法とセットで強行されました。今年の通常国会では、改憲手続法、いわゆる国民投票法案の成立が狙われています。憲法九条という最後のとりでをとっぱらって、本格的な「戦争する国づくり」へと踏み出そうとしています。

攻められたらどうするかという改憲勢力と同じ土俵

 政府・与党は日本が攻められたらどうするのかと盛んに宣伝しています。しかし、当の防衛庁ですら、2004年の「新防衛大綱」で、「わが国に対する本格的な侵略事態が生起する可能性は低下している」と指摘しています。にもかかわらず、架空の事態を想定して不安をあおり、国民保護法、国民保護計画をつくり、まさに国民を戦争協力へと駆り出そうとしています。
 こういうときに目黒区が戦場になることを想定した「無防備地区宣言」は、結局、戦争への対処という戦争推進勢力と同じ土俵の上の議論となってしまうのではないでしょうか。

九条を守る世論と運動こそ

 いまこそ、戦争する国にさせないためにも、戦争しないことを宣言している憲法九条を守る世論と運動こそ、強めるべきです。
 憲法九条を守ろうと結成された草の根の「九条の会」の数は、昨年11月には全国で5600をこえたと発表され、目黒でも地域、職場、学園などで20組織され、多彩な活動をおこなっています。昨年12月にパーシモンホールで九条を守れと開かれた音楽会には、1200人の区民が参加しました。九条守ろうとの世論と運動は思想・信条や政治的立場を超えて確実に広がっています。

地方自治は平和のとりで

 最後に、無防備平和条例案への区長意見についてです。区長は「(無防備地区)宣言は日本においては国においておこなわれるものであり、地方公共団体がおこなうとはできない」として、地方自治法14条第一項に抵触することを理由に条例制定に反対しています。
 私たちは、その立場をとるものではありません。そもそも地方自治法は、憲法が掲げた「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」主権者である国民が地方自治体を通し行動できることを保障するために、唯一、憲法制定と同時につくられたものです。

憲法擁護の目黒区平和都市宣言を生かし

 目黒区は「平和憲法を擁護」するとした平和都市宣言の立場に立ち、いまこそ憲法九条改憲に反対し、憲法九条を将来にわたって守ること、戦争はしない、戦争協力はしないという誓いを積極的に内外に示し、行動に移すべきです。そして、区民を戦争協力へと動員する「国民保護計画」策定もやめるべきです。
 日本共産党区議団は、平和都市宣言をつくることを積極的に提案し平和の自治体づくりの先頭に立ってきました。また、最近は議会でも平和都市宣言をより発展させた「平和条例」を制定すべきことも提案してきました。今後も憲法九条擁護、核兵器廃絶をめざす運動の先頭に立って力を尽くしていく決意を表明し、討論を終わります。


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