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■304号 一二郎池の自然と風の道
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一二郎池の再生を
東大駒場キャンパスの中に通称「一二郎池」と呼ばれている池があります。本郷キャンパスにある「三四郎池」にちなんだ呼び名ですが、地元の人たちは、昔から「深池」と呼んで、子どもたちの遊び場にもなってきたといいます。
全長150m最大幅25mのヘチマのような形のこの池は、随分前から、荒廃した状況のために立ち入り禁止の措置がとられてきました。
2003年12月、東大の学生がつくった環境三四郎「水プロジェクト」のメンバーが、「一二郎池ビオトープ化案」という企画書を発表しました。地域住民、小中学生にも「憩いの場」「自然観察の場」として開放する目的もあります。
東大と懇談
5月17日、駒場3丁目の東京大学構内にある一二郎池の整備問題について、駒場にお住まいの2人の方と共に、東大当局と懇談しました。
2004年から2005年にかけて、一二郎池の水涸れがおこりました。昨年は、水がほとんどない状態まで悪化していましたが、この日は、水位は低いものの「池」といえる状況にはなっていました。
「一二郎池ビオトープ化案」を実施するには多額の経費を要しますが、東大の施設計画から優先度は低いといいます。
できることから一歩ずつ
そこで、まず、野鳥やトンボなど昆虫が飛来できるよう、水面が見えるように木の枝を切り、下草を刈り、風の道をつくるとともに、枯葉の除去などこれ以上水位が浅くならないよう池の底のヘドロ化を進行させない手立てを進めているということでした。職員の方々の努力も感じられ、実現に向け期待が持てました。
駒場の湧水と井戸涸れ
一二郎池の湧水の枯渇化の原因については、中央環状新宿線の地下工事によるものばかりではないようです。東大の施設担当者の説明によれば、地下トンネルの上部土被り部分には今でも細々とした水脈が流れていることを確認できるといいます。一二郎池の湧水はこの浅い層の水脈で、駒場周辺民家の相次ぐ井戸枯れは、開発が進み全体として地下水の涵養が不足してきたからではないかとしています。
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