森美彦 日本共産党目黒区議会議員 葉っぱ
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森美彦のモリモリ区政報告

281号 駒場に建設中のマンション2棟は大丈夫か

―――何でも官から民へと安全まで丸投げでいいのか



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駒場で建設中のマンション。イーホームズが建築確認したが・・・
 建物の耐震強度をチェックする「構造計算書」の偽造によって、安全が保障されないマンションなどが建設されていたことがわかり、大問題になっています。

耐震強度偽造の背景

 建築士が「構造計算書」を偽造しても、審査に通らなければ、建築確認には至りません。民間機関でも建築確認や完了検査ができるようになったのは、1998年の建築基準法改悪からです。7年間であっという間に8割が民間で建築確認や完了検査が行われるようになりました。
 「安くて早い」というだけでなく、この事件の背景は、「コスト削減迫る業界」と「安全を確保する使命感を自覚しながらもぎりぎり設計を強いられる建築技術者」「確認審査のスピード競争で甘いトンネル審査になっている民間検査機関」…さらに「規制緩和、官から民へを安全より最優先する政治」が浮び上がって…。

イーホームズで確認検査

 目黒区では、まだ明らかにされていませんが、港区の場合、2004年度の建築物の建築確認業務の78%にあたる631件を民間が担い、そのうち166件、26%がイーホームズでした。
 姉歯建築士が偽造していた国交省発表の21件のうち23区中には7区9件もあります。これまで関与した建築物は、東京都72件をはじめ全国194件以上にものぼります。国と自治体は、全容を解明し公表すべきです。

区は確認検査を約束

 駒場地域で、わたしが関っている建築紛争の現場のうち、現在マンション建築中の2件の建築確認業務をイーホームズが行っていることがわかりました。
 さっそく22日、それぞれの住民運動の会の代表と一緒に、「手抜き検査ではなかったか、確認申請書類を取り寄せ、区自ら再確認検査を行うよう」目黒区建築課長に要請しました。課長は、2ヵ所のマンションについては書類を一式取り寄せ確認検査を行うことを約束しました。

公的責任の放棄

 偽造した一級建築士の行為は許されませんが、より本質的には国の公的責任の放棄があります。建築確認・検査を規制緩和した1998年の建築基準法改悪にあたり、日本共産党は、「『安かろう悪かろう』の手抜き検査が増える恐れがある」と国会で追及し反対しました。
 98年当時でも、自治体の建築主事の体制は不十分で、完了検査を3、4割しかできない状況がありました。その体制を強化し、民間機関の確認・検査をチェックできる仕組みにするのであれば、全体としては、前進します。
 しかし、政府が実際にやったのは、規制緩和を絶対視し、建築確認のような人命の安全にかかわる仕事までも、民間任せにすることでした。「何でも『官から民へ』と安全まで丸投げして民間に任せればうまくいくという考え方が破たんし、命を脅かす事態を生んだわけです。

安全の丸投げでいいのか

 小泉首相は、「民間でできることは民間へ」と繰り返しています。しかし、政府として、本来、考えなければならないのは、「民間」では担いきれない公的責任をどう果たすのか、ということです。国民の生命と安全を守る公的な仕事まで、やみくもに営利追求の新たな市場として開放するのは、安全の丸投げです。「改革」の名に値しません。
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 小池晃参院議員(党政策委員長)と笠井亮衆院議員は22日、国土交通省の担当者からこれまでの経過についての説明とともに、 (1)民間検査体制の見直しと再発防止(2)偽造発覚に至った経過と国土交通省の対応(3)国、地方自治体の責任(4)民間検査機関イーホームズの手抜きの実態調査(5)居住者の安全確保と補償問題などについて対策を求めました。
 住宅局建築指導課長補佐は、「民間業者を指定した国の責任はある」と認め、被害者の公的支援についても検討中とのべました。
 また、最高裁が「検査機関による建築確認事項は自治体事務」と判断し、行政にも賠償責任があるとした判決(ことし6月)についても「重く受け止める」としました。
 さらに、(1)設計者への告発、イーホームズへの監督処分を行う(2)構造計算書の審査方法の緊急調査(3)イーホームズが行った昨年の検査実績は13413件にのぼり、さらに広がる可能性もあり調査対象を広げて実施することを明らかにしました。
 



  
 


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