森美彦 日本共産党目黒区議会議員 葉っぱ
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森美彦のモリモリ区政報告

256号 中学校の教科書採択はじまる



2005年度目黒区立中学校の教科書採択について、4月26日文教委員会に報告がありました。

採択の基本方針

採択の方法は、4月19日に教育委員会で決定した「教科書採択基本方針」や区教委の教育目標の実現をめざし、「基本方針」で定める採択の基準に基づいて採択するものとしています。その基準は、考える力を育成する創意工夫。基礎的・基本的な内容の確実な定着を図る工夫。適切な分量、配列、構成、使いやすさ。分かりやすさ、見やすさ、読みやすさ、発達段階に応じた表現。発展的な学習、目黒地域の実態に応じた学習活動の展開、など生きる力を育成する観点からまとめています。

教師の意見こそ

採択は、8月31日までに行われます。5月上旬に教育長が各学校に調査研究を依頼し、9教科15種目(国語・書写、地理的分野・歴史的分野・公民的分野・地図、数学、理科第1分野・第2分野、音楽一般・器楽合奏、美術、技術・家庭、保健体育、英語)全種について、5月下旬に「学校調査報告書」(支持数ではなく文章記述式)を提出します。
また、「教科書調査研究部会」(校長又は副校長9人、主幹又は教諭45人以内で構成)は、採択の基本方針に基づき全種について調査研究を行い、「研究部会報告書」を作成し「教科書採択調査委員会」に提出します。
この「採択調査委員会」(学識経験者2人、校長又は副校長9人、PTA関係者2人で構成)は、「研究部会報告書」等に基づき全種目について調査研究を行い、月下旬までに「調査委員会調査研究報告書」を作成し、教育長に提出します。

見本本を展示

6月7日(金)から24日間、守屋教育会館の教科書センターで教科書見本本展示会を開催するとともに、総合庁舎区政資料室でも見られます。
このような現行の採択制度のもとで,よりよい教科書を採択するためには、できるだけ多くの教師の目に触れるように, 教科書の見本本は, 各学校へ配付されるようにする。すべての学校から調査委員が出せるように, 教科書の調査研究部会員を増員する。各学校や現場教師の意見が尊重されるようにするために, 学校票を設けるなどして, 現場の希望が通るようにする。保護者や子どもの意見を反映させるシステムをつくることなどが大切です。4月26日の文教委員会では、この立場から質問を行いました。

「つくる会」の歴史教科書

日本をアメリカいいなりに「海外で戦争をする国」につくりかえるために憲法を変えようという状況のなかで、小泉首相は、靖国参拝を繰り返し、文部科学省は、「新しい歴史教科書をつくる会」の改訂版中学校教科書(歴史・公民)を再び教科書検定で合格としました。「日本は正しい戦争をやった」と子どもに思いこませる異常な中身です。「反日デモ」など中国の最近の一連の問題については、根底に、このような日本がおこなった侵略戦争にたいする態度の問題があります。ところが、町村信孝外相(父親は元特高警察幹部)は、4月24日のNHKや民放テレビ番組で、日中首脳会談を受け、反日色が強いとされる中国の歴史教科書について政府として実態を調査した上で中国側に改善を申し入れる意向を明らかにし、中国の歴史教科書に問題があるかのように主張しました。

採択をねらう動き

「つくる会」は、「教科書の採択権は教育委員会が有しており,現場の教師にはない」と主張していますが、根拠はありません。教科書採択権の所在を、明確に規定した法律はありません。教育委員会に採択権があったとしても、実態として「調査研究部会」や「採択調査委員会」が採択すべき教科書を選ぶのは, 何らおかしなことではありません。むしろ、教科の内容や子どもの実状を熟知していない教育委員(目黒区は5人)が、すべての教科の、すべての種類の教科書の選定・採択を行うべきだという主張こそおかしなものです。

教師に採択権が

実態として「調査研究部会」や「採択調査委員会」日々教科書を使用し、子どもの実情を熟知している学校現場の教師が、使用する教科書を選ぶのはきわめて当然のことです。
「教育基本法」は,教育が不当な支配に服することなく行われるべきことを規定しています。また、「学校教育法」は「教諭は,児童の教育をつかさどる」と規定しています。「採択権は教育委員会が有す」との解釈は,教師の教育権に介入することになり,これらの法律に違反する疑いすらあるものです。
 さらに,ILO・ユネスコ共同の「教師の地位に関する勧告」も,原則として教師が教科書の採択権を有するとしています。日本教育学会も, 教師に採択権があるのは当然のことだと主張しています。また、政府の「行政改革委員会」が,近い将来,教科書採択が義務教育においても学校単位で行われるべき旨を提言し(1996年12月、1997年12月)、これは閣議決定(97年3月)されています。
「教科書採択基本方針」で定める採択の方法と基準に基づいて採択すれば、つくる会の教科書が採択される余地などないといえます。


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