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2023年12月定例会で議案第76号、「目黒区立学校設置条例の一部を改正する条例」に反対討論を行いました。(芋川ゆうき)

私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第76号、目黒区立学校設置条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論を行います。
 本条例は、区立第七、第九中学校を統廃合し、目黒南中学校に。第八、第十一中学校を統廃合し、目黒西中学校として設置するものです。
以下、反対の理由を大きく4点述べます。
一点目は
 教育委員会が統廃合の理由としている「望ましい規模の区立中学校を目指して」は、教育の観点において科学的根拠がなく、今の子どもの抱える問題を正面から捉えていない点です。この計画は2001年12月(平成13年)、区立中学校適正規模検討委員会からの中学校の適正規模・適正配置を求める答申を踏まえ、2003年9月(平成15年)に策定されました。教育委員会は適正規模の必要性に関して、教職員の配置が少ないこと、小規模では活力ある学習活動や部活動の展開に制約を生むことや、多様な人間関係など充実した教育環境の整備に不十分であるとし、11学級以上、300人を超える規模が望ましいとしています。
 しかし、この内容は、方針策定から20年が経過し、子どもたちを取り巻く環境は複雑になっている中で、現状の問題に合っていません。内閣府における「子供・若者白書」では、諸外国に比べて日本の子どもたちは自己肯定感が低いと示されています。また、ネットでのいじめなども存在し、自殺にまで追い込まれることも起こっている中、コロナ禍を経験し、タブレット端末が児童生徒全員に配布されるなど、状況は大きく変わっています。多様化する一人一人の子どもたちにどのように関わっていくのか。説明会において、大規模、大集団に馴染めない子どもの保護者などから不安の声も出されました。
 魅力ある学校とは、子どもの個人の尊厳を尊重した、子どもの声にていねいに応える教育であり、一人ひとりに目が届く教育環境を、子どもの状態に応じて教育をすすめられる自主性が発揮できる仕組みを作ることです。魅力ある学校にするために、少人数学級の実践が必要です。
 また、部活動においては、小規模の課題として取り上げています。実際に、過去の統合校において、場所がないために活動回数が減るなどの制約があり、継続ができなかったという住民からの意見も出されています。全国では周辺校と合同で部活動を行うなど工夫をする動きもあります。
二点目は
 肝心の子どもたちの声が十分に聞かれていない点です。
目黒区子ども条例では、第12条の2に「大人は、子どもの意見を受け止めるよう努めなければなりません。この場合、その年齢や成長に応じてふさわしい配慮をしなければなりません。」とあります。
 私たちは何度も、「子どもたちに、統廃合の可否を問うこと」「子ども向けの説明会など」を求めましたが、行われることはありませんでした。
 ある区立中学校の卒業生は今回の統廃合計画において、子どもの意見が聞かれていないと、まさに上意下達であると言いました。この計画は大人の都合で進められていると言いました。校章、校歌、標準服だけでなく、「学校がどうあるべきなのか」を、統廃合の影響なども聞かれていなかった事が一番の問題です。
三点目は
 子どもにとっても地域にとっても大きな負担を強いられることです。
 その一つは、通学距離が遠くなることについての影響です。このことは不登校の生徒が増えている増加している中で、さらに子どもたちに負担をかけることになります。体力がない子や学校生活に不安を抱えている子は、物理的に学校との距離が遠くなることでさらに精神的にも学校の距離が遠くなります。また、特別支援学級の保護者からは不便を強いられるという声も噴出し、現在署名活動なども行われています。
 二つ目は、地域住民の不安や疑問が払拭されていないことです。
区が進めてきた地域の協議会において、委員から「協議ではなく区の説明でしかない。」という声が出されました。また、会の終了後に、「異を唱えることができない環境になっている」「地域住民が区の後ろ盾に使われている」などという声が聞かれました。学校は、単なる公共施設ではなく、歴史的に地域コミュニティの中核を担っています。そのような地域との関わりが希薄になるのではないかという不安もあります。また、避難所としての機能など、地域の住民自治にも大きく関わるものであり、地域や保護者が分断されかねません。
四点目は
 区有施設の見直し方針において、公共施設を40年で15%の総量削減を掲げています。目黒区においても学校は区有施設の延床面積の40%を占めるとし、再編の対象にしており、中学校に関して統合ありきで進められてきたことです。これは国が全自治体に計画を要請した公共施設等総合管理計画が強力なインセンティブとなっており、自治体は全ての公共施設を維持すると、将来的に改修・建て替えのための多額のコストがかかるという観点からおしつけられているのです。そのように、あらかじめ施設延べ床面積などを減らすことを自治体に自主的に計画させてきました。少人数学級の必要性が求められている中で、学校の規模全体を削減する事は逆行する流れです。

以上、大きく4点にわたって反対の理由を述べました。
 最後に、今、子どもの貧困や虐待など、子どもの成長環境が大きく脅かされています。そのような中で、公教育のあり方が大きく問われています。目黒区子ども条例を生かし、統廃合については辞めるべきであり、反対討論といたします。

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