日本共産党目黒区議団 > お知らせ 目次 > お知らせ 詳細

お知らせ

▶ 一覧に戻る

2023年3月定例会で反対討論を行いました。(石川恭子)

 反対討論
               2023年3月23日 石川

 私は日本共産党区議団を代表し、議案第14号一般会計予算案について反対する立場から討論します。
 大きな理由の一点目は、物価高騰に苦しむ住民に寄り添った立場に欠けるということです。
 物価高騰が続き、都区部の2月消費者物価指数は、前年同月比3.3%上昇し18か月連続です。一方、1月の実質賃金は、前年同月比4.1%減少し8年8ヶ月ぶりのマイナス幅となりました。内閣府も「食料品や光熱費などの物価上昇が賃金を上回る形で続いており暮らし向きが低下している」と分析しています。新年度予算案は、特別区税や特別区交付金、補助金などの増額によって過去最高の予算となり、財政調整基金残高は過去最高を更新し続けています。区は、「目黒を飛躍させる未来創造予算」と位置づけていますが、物価高騰で苦しむ区民生活を支えるには不十分です。4点指摘します。

 一つ目です。最も支援が必要な人に支援が届いていないことです。
 生活保護世帯は、生活扶助費の引き下げなど長年にわたって保護費が減らされてきました。さらに物価高騰が追い打ちです。電気代を節約し、エアコンがあっても短時間でガマンしている世帯もあります。健康で文化的な最低限度の生活とはほど遠い状況です。
 高齢者は、年金引き下げの中で、高い健康保険料・介護保険料が生活を脅かしています。必要な介護サービスをガマンし、利用しない高齢者が出ています。困窮する人たちの生活を支えるために財政的支援を行うべきです。

 二つ目です。国民健康保険料の値上げです。
 新年度の目黒区の一人当たり保険料は1万0083円の値上げで14万円を超します。給与年収400万円4人世帯・就学児2人のケースでは保険料は53万8千円となり年収の13.4%を占めます。保険料を引き下げるために、一般財源の法定外繰り入れを拡充すべきです。

 三つ目です。物価高騰に苦しむ中小零細企業への支援についてです。
 国や都の支援を利用しても閉店した飲食店。家賃の負担に耐え切れず先日閉店した輸入雑貨店。地元のクリーニング店は、お客が戻らず、リーマンショック以上の厳しさといいます。物価高騰で苦しむ中小零細業者などに家賃助成など検討すべきです。
 区は、物価高騰対策としてプレミアム付き商品券を盛り込みました。これまでも同様の取り組みを行ってきましたが、十分活用できず予算を余らせました。この事業を否定するものではありませんが、これまでの取り組みの分析や総括もせず取り入れるやり方はあまりにも安易です。

 四つ目です。学校給食費の無償化と難聴高齢者の補聴器助成についてです。
 日本はOECDの中で、GDPに占める子育や教育予算は加盟国の平均以下です。その結果、保護者には大きな経済的負担がかかります。本来、学校給食の無償化は国の責任ですが、いまだに実施しません。全国では自治体独自で小・中学校の給食無償化が進み、5年間で76から昨年末には254自治体に広がりました。東京23区では8区です。年間5万円にもなる給食費の負担に悲鳴がっています。目黒でも無償化に取り組むことです。
高齢者の補聴器助成については、我が党は何度も取り上げ、議会には陳情も提出されています。すでに東京23区では16の自治体が実施しています。
 切実な要求と向き合わず様々な理由をあげ実施しないのは住民に寄り添っているとは言えません。

 大きな2点目です。民営化を拡大し公の責任を後退させる連携についてです。

 「新しい時代に向けた区政検討会の提案」が報告されました。国の公民連携の方針をそのまま受け入れるものです。提案には、公民連携のプラットホームの創設が書かれ、民間事業者のメリットとして「ビジネスチャンスの拡大」となっています。民間企業は、利益になりそうなところには参入しますが、利益が上がらない所には参入しません。公民連携によって行政財産が食い物にされかねません。「行政主導ではなく、民間事業者を対等なパートナーと位置づけ」と書いてありますが、対等という民間事業者に、一貫して区民の立場に立った行政の姿勢を貫くことが出来るのでしょうか。検討会の提案は、大手企業との連携を進めることを目的としていますが、区民生活にかかわる福祉の分野などにおいて民間事業者と連携することが求められています。

 公の責任に関連し2点指摘します。

 一点目は、民間保育園で起きている問題についてです。
 不適切保育が社会問題になっています。許されない事ですが、その根底には、低い職員配置と低賃金があります。区は不正受給が起きたことを契機に、指導検査や労働モニタリングを実施するとしています。評価できるものですが、実施件数が限られています。株式会社保育園が多く占める中、公費の弾力運用が認められています。運営費に占める人件費の割合は、本来70%台といわれていますが、株式会社保育園では半数以上が50%を下回っており、問題だと指摘してきました。保育士が定着しない理由は、厳しい労働環境と低賃金にあります。行政の責任として、世田谷区のように賃金のルールを示すことと、検査指導を拡充することです。公立保育園は地域の保育拠点であり災害時の避難所など大きな役割が明らかになっています。重要な公立保育園の削減はやめるべきです。

 二点目は、民間学童保育の問題です。
 民間委託した学童保育で、パワハラ問題が起きました。職員の悩みを解決することが出来なければ、職場を退職するケースとなります。区には、「職場におけるハラスメント防止に関する指針」があり相談窓口があります。民間であっても公的な役割を担っている学童保育などに、区として同様の窓口を設けることです。さらなる民営委託計画は止めることです。
 現在、学童保育に入所できない待機児が大きな問題になっています。ランラン広場などによって解消することなく学童保育の公設公営の整備を推し進めていくことを求めます。

 大きな三点目です。区民の声を後方に追いやる区有施設の再編についてです。
2点指摘します。

 一つ目は、区民センターの建て替えの問題です。
 区有施設見直し方針の下、複合化・多機能化の区民センター建て替えが行われていきます。区民の声を聴いたとしていますが、各施設利用者の直接の声を聴く場を設けませんでした。区民からは、公園の在り方や周辺まちづくりなどへの疑問の声が出ています。芸術文化関係者からは、美術館そのものが芸術・文化であり、効率性を優先し建て替えるのは問題だと指摘があります。改めて区民の声を聴き計画を進めることです。

 二つ目は中学校の統廃合の問題です。
 統廃合に関連した陳情書が提出されました。いずれの陳情にも、子どもの声を聴いてほしいというものでした。子どもの最善の利益、意見表明権を掲げた子ども条例を持つ区として当然なことです。現在、不登校やいじめなど増え、子どもの置かれている教育環境は厳しいものがあります。一人一人に寄り添った丁寧な教育環境が求められています。11学級以上、300人を根拠とした学校づくりは安易です。方針案は、撤回し区民目線で再検討すべきです。

 大きな四点目です。安定した教育環境の確保の問題についてです。

 教員の過重労働と教員不足が大きな社会問題になっています。これを背景に小学校では、クラスが落ち着かないことや年度途中の担任交代が起きています。落ち着いた環境をつくるために、教育支援員の拡充や教育委員会事務局に配置している教員活用の拡充を図ることです。教員の働き方については、区独自の研修を削るなど、作成した「働き方改革実行プログラム」を具体化することです。

 大きな五点目です。人権の尊重と平和都市 宣言区としての姿勢についてです。

 多様性やジェンダー平等に対する国民の意識は大きく変化し社会は前進しています。検討ではなく、早急にパートナーシップ制度を作ることです。
 国は専守防衛の立場を覆し、集団的自衛権の行使、敵基地攻撃の保有を認め「戦争出来る国」に大きく転換しようとしています。相手国へのミサイル発射も可能となり、日本が戦場になりかねない事態が懸念されます。平和憲法を擁護する平和都市宣言区の長として、平和憲法が脅かされようとしている今、専権事項として答えないのは問題です。国に対して憲法順守の声を上げることを求めます。

以 上、5点述べました。最後に、私は、国の悪政に追随することなく、自治体の本旨「住民の福祉の増進」を追求する目黒区である事を切望し討論を終わります。

このページの先頭へ ▲