お知らせ
2021年12月定例会で、芋川ゆうき議会議員が一般質問を行いました
私は、日本共産党目黒区議会団の一員として、南部・西部地区の区立中学校の統廃合についてお聞きします。
区立第七、八、九、十一中学校の統廃合は、「望ましい規模の区立中学校の実現を目指して」の下で進められようとしています。また、区有施設見直し計画においても、該当中学校の統合の計画を示しています。しかし、「望ましい規模の区立中学校の実現を目指して」は策定されて20年近く経過しようとしています。当時と比べて、全国規模では少子化、高齢化が進み人口が減っている状況ですが、目黒区においては、近年、人口が増えています。そうしたなかで、一度は区立第七、八、九、十一中学校の統廃合計画の進行を保留にした経緯があります。こういう目黒の状況で中学校の数をへらし、小規模校から大規模に変えていくことが適切なのか、もう一度考えるべきです。子どもたちを取り巻く環境はさらに複雑になっています。その結果として、内閣府における、子ども若者白書では、諸外国と比べて日本の子どもたちは自己肯定感が低いと示されています。また、ネットいじめなども存在し、自殺にまで追い込まれることも起こっています。そうした下、コロナ禍によって感染症対策の強化や、タブレット端末が全員に配布されるなど、この20年で、大きく変わってきています。多様化する一人一人の子どもたちにどのように関わっていくのか。今、公教育の在り方が大きく問われています。今回の区立中学校の統廃合の計画は現在も適切であるのか見直しを求める立場で、以下質問します。
1点目は子どもの意見を聞く機会を設けよという点についてです。今回の統廃合の対象校の児童や卒業生、対象学区の小学校の子どもたちなどに対し、区教育委員会が主体となって、十分に子どもたちの意見を聞いているとはいえません。地域説明会では、区立中学の卒業生から、対象学区の小学校でプリントが配られたのみで、子どもたちから直接意見を聞くなどが行われていないことが発言されました。目黒区が掲げる、目黒区子ども条例はその一条に”児童の権利に関する条約いわゆる、子どもの権利条約の理念に基づいて子どもの権利が尊重され”と始まっています。「子どもの権利条約」の子どもの権利は大きく4つあり、その中で重要なものが、自由に意見を表すことができる、参加する権利です。目黒区子ども条例では第12条に、自分にかかわりのあることについて意見を述べることや、子どもの年齢や成長にふさわしい配慮をしなければならないとあります。このことが、今回、全く生かされていないことは、条例を定めた目黒区としては反省し、あらためなければなりません。目黒区子ども条例に基づいて、今後子どもたちの意見を広く聞くべきではないのかお聞きします。
2点目はこの統廃合による大規模化が子どもたちにとってどういう影響を及ぼすのか検討せよという点です。区教育委員会は適正規模の必要性に関して、教職員の配置が少ないこと。小規模では活力ある学習活動や部活動の展開に制約を生むことや、多様な人間関係など充実した教育環境の整備には不十分であるとし、11学級以上300人を超える規模が望ましいとしています。しかし、部活動においては、種類が増えるから良いという、そんな単純なものではありません。実際に場所がないために活動回数が減るなどの制約があり、継続ができなかったという住民からの意見も説明会では出されています。そもそも、部活動は教育過程外の活動であり、教員の善意と努力の上に成り立っていることを忘れてはなりません。いずれ、部活動が学校から切り離される日がくることもありえます。そして、大規模、大集団に馴染めない子どものことも考慮せよと保護者から指摘がでました。小規模校だからこそ子どもたちはお互いに一人一人の顔と名前が認識でき、お互いに深く関わり合うことができることや、教員がしっかりと児童に向き合えるという効果もあります。発達障害の生徒がいても、全校生徒がわかっているから、みんなでその子の特性を受入れられ、支えることができたという区民からの報告もありました。この計画が現在、子どもをめぐる環境が複雑化するなかで、子どもたちにとって本当に大切な学びと人格形成に資するものなのか。あらためて、統廃合が子どもたちに与える影響について検討したのかお聞きします。
3点目は学区が広がることによる子どもたちの負担についてです。学区が広がると通学距離が延びることになり、さまざまな地域から通学するため、大人たちの見守りなど、地域で見守ることが難しくなります。区民からは、不登校になりがちな生徒は、物理的な通学距離が延びることで、さらに学校との距離を感じてしまい、よけい登校ができにくくなるという声が寄せられました。このような生徒を切り捨てることにもつながってしまうのではないかと思います。区教育委員会は目安として徒歩30分圏内を一つの基準としていますが、一部では30分を超える地域が出てくることを認め、公共交通機関の利用も想定をしているという説明がありました。また、昨今の異常気象による、大雨や連続真夏日の状況、冬には降雪による坂の路面の凍結など安全面が危惧されます。また、自転車通学の話題が説明者側から出た会もありました。学校が遠くなると夏休みの補習など、参加が大変になる子どもも出ることや遅い時間の帰宅時、心に一生の傷を負う、痴漢被害の可能性も増えます。学区が広がることによる、子どもたちに負担がかかることをどう検討したのかお聞きします。
4点目は統廃合を契機とした魅力ある教育活動という部分についてです。区教育委員会は望ましい区立中学校の適正規模での統廃合を契機に、魅力ある学校づくりにしていくことを挙げています。しかし、公教育の在り方は、学力の向上、人格の形成、市民道徳を身につけさせるなどの本来の学校教育を達成するためであり、学校規模のいかんに関わらず、全ての学校で等しく努力していくべきではないのでしょうか、伺います。
最後の5点目は、地域との関わりについてです。この統廃合は地域のコミュニティに貢献する拠点がなくなることに繋がります。生徒にとって学校の存在が遠くなるとともに、家庭における共働きが増えるなか、保護者は、授業参観や保護者会、学校行事に関わる意欲が、さらに希薄になってしまいます。地域と児童、コミュニティの拠点としてどう考えているのか。子どもが安心して集うのは、家に近い地域であることは、誰も否定できないはずです。また、避難所運営者からは、避難所は近いところにたくさんあることが安全確保の要であり、住民の安心につながるという意見もありました。地域の防災の観点からも地域避難所が遠くなるが、どのように検討しているのか伺います。
以上、壇上からの質問を終わります。