2019年6月定例会で、松嶋祐一郎区議会議員が一般質問を行いました
2019年6月定例会 一般質問 松嶋祐一郎
私は、日本共産党目黒区議団の一員として、区政一般について大きく三問質問します。
大きな一問目は、目黒区の子どもたちの安心安全を確保する取り組みと保育の質を守ることについてです。
その一つ目は、保育園などの通園や園外活動の安全確保について伺います。5月8日に、滋賀県大津市で保育園児と保育士の列に車が突っ込み、園児など16人が死傷する痛ましい事故が発生しました。その後も、車と歩行者の交通事故が続発しています。
2017年交通安全白書によると、日本は諸外国に比べて、交通事故の死亡者のうち、歩行者の割合が高い国であり、歩行者の安全の確保、とりわけ子どもなど社会的弱者の交通事故を未然に防ぐことが求められます。そのために、学校のみならず、就学前の子どもが通う、保育園や幼稚園、学童保育クラブや児童館などの児童施設に対して、通園や園外活動などの安全対策を行うことが急務です。それについて2点伺います。
1点目は、交通事故から子どもを守る緊急的な取り組みについてです。
目黒区として、保育園などの散歩コース、通園コースその他園児の外出に係る経路についての実態を調査し記録するとともに、「危険個所」を把握した場合は、警察と目黒区関係所管が連携し、合同点検を実施すべきではないでしょうか。また、そうした「危険個所」に対して、歩車分離や歩道の確保、キッズゾーンの指定など、道路交通環境の改善を図るべきと考えますがいかがでしょうか。
2点目は、園外活動の安全確保のための職員配置についてです。目黒区は、今回の大津の事故を受けて、「児童の園外活動の安全確保の徹底について」という通知を各保育園に出しました。その中では、園外活動においては適切な人数の職員を配置することとしています。目黒区が言うように、適切な職員配置のもと大人の目が行き届いてこそ、危険な事故や事件から子どもの命を守ることにつながります。しかし、保育の現場では、ぎりぎりの職員体制の中で、保育をしています。適切な職員配置を行うためには、財政的な支援が欠かせません。人の確保を各保育園に任せることなく、目黒区として支援すべきと思いますがいかがでしょうか。
二つ目は、保育の質を確保し安心安全の保育を実施するための、企業主導型保育の指導監査体制について伺います。全国の企業主導型保育園で保育士の一斉退職や突然の休園が相次いでいます。世田谷区の企業主導型保育所では、この間5園で休園や事業譲渡など不祥事が相次ぎ、経営者が助成金の不正受給で逮捕されるなど、保護者に不安が広がっています。その原因としてあげられているのは、インターネットで簡単に設立申請できる上に、行政と事業者の面談が不要で、保育士の有資格者の配置基準が認可施設の半分で良いなど、企業が簡単に設置し儲けられる仕組みがあるからです。今年3月に国から出された「企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告」の中でも「保育の質の視点が不足している」ことが指摘されています。そして、地方自治体と連携して指導監査を実施することや施設運営の状況を定期報告する仕組みの検討などが盛り込まれています。現在、目黒区では15施設277名の子どもたちが入所しています。すでに目黒区は東京都に同行し、何件か巡回支援指導を行っているそうですが、一部にすぎません。保育の実施義務がある目黒区として、国の報告にもあるように、目黒区が区内すべての企業主導型保育施設の運営状況を把握し、指導監査を実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
大きな二問目は国の幼児教育、保育無償化における給食費の扱いについてです。
今年の10月から保育料無償化が実施される。幼稚園、保育所、認定子ども園等を利用する3歳から5歳の全ての子どもたちの利用料が無償化されます。しかし、国は給食費などを、無償化の対象外とするため、各自治体で給食費を別途徴収するのかどうかが大きな問題になっています。もし徴収した場合、保育料2800円未満の世帯では、いままで保育料に含まれていた給食費の副食費部分を実費徴収されるために、現在の保育料よりも高くなる逆転現象が生じます。さらに、給食費の実費徴収によって、私立園では膨大な事務作業に追われることになり、利用者や保育関係者からは、給食費も併せて無償化にすべきという声があがっています。給食は子供の成長発達を保障する保育の重要な役割を果たすものであり、本来無償にすべきです。保育無償化に伴う、給食費の実費徴収は、やめるべきだと考えますがいかがでしょうか。
大きな三問目は、子どもの虐待防止につながる婦人保護事業の強化拡充についてです。
2019年1月に、千葉県野田市で父親の暴力によって、小学3年の女児が死亡する虐待事件が起きました。目黒の事件も、野田の事件も、虐待を防止する現行の支援制度の網の目からこぼれ落ちた結果です。二度とこのようなことを起こさないためにも、支援の網の目を細かくし、あらゆる手立てをとって、子どもの命を守る支援体制が必要です。現在目黒区では、ゆりかご目黒などを行う子育て包括支援センターや、子ども家庭支援センター、児童相談所などの連携で、リスクの程度に応じて児童虐待を防ぐ取り組みを行っていますが、もうひとつ児童虐待を防止する上で重要な役割なのが、家庭内暴力すなわちDVから女性を守る婦人相談事業です。野田市の事件では、父親の暴行を黙認したとして、母親が傷害ほう助罪に問われています。この母親は、夫にDVを受けていたと報告されています。女性への暴力根絶に取り組むNPO法人全国シェルターネットは、野田市の事件を受けて、DV家庭には虐待あり、虐待の陰にはDVありと指摘し、DVと虐待を一つのものととらえ、女性と子供を連動して守る支援システムが必要と指摘しています。野田市の事件で、母親がもし婦人相談員とつながって、支援の手が差し伸べられていたら、幼い命が失われるという最悪の事態は免れたのではないでしょうか。そこで目黒区に2点伺います。
一つ目は、配偶者暴力相談支援センターの設置についてです。
配偶者暴力相談支援センターは、23区ですでに16か所設置されていて、婦人相談員が相談に乗るなど、ワンストップで必要な支援へとつなげている例が多くあります。しかし、目黒区にはまだ設置がありません。一方で、人権政策課が実施している心の悩み何でも相談では、2017年度DVの相談は358件ありました。その他の暴力として54件ありました。こうした相談を深刻化させないためにも、配偶者暴力相談支援センターを目黒区にも設置し、ワンストップで支援できる体制を備えるべきと考えますがいかがでしょうか。
二つ目は、福祉総合課にも婦人相談員を配置できないかについてです。
婦人相談員は、困難を抱えた女性の生活支援だけではなく、母子父子貸付、DV被害やJKビジネスなど性暴力からの保護など職務を兼務し、あらゆる女性の総合相談員です。高い専門性を持つ婦人相談員が、所管を超えて横断的に対応することが求められています。現在、目黒区の婦人相談員は、子ども家庭課に4名配属されていますが、支援が必要なのは子どもがいる女性だけとは限りません。子ども家庭課の範囲にとどまらない医療面や生活保護、就労支援など多様な支援につなげる必要があります。目黒区は、今年4月から福祉の各分野を超えた包括的な支援を目指して、福祉総合相談窓口「福祉のコンシェルジュ」を開設しましたが、この窓口に婦人相談員を配置し、福祉の観点から、総合的に女性や子どもの支援につなげる仕組みを作るべきと考えますがいかがでしょうか。