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党の政策

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住区会議室条例の改定案への反対討論です(岩崎議員)

 私は日本共産党目黒区議団を代表し、議案第49号、目黒区立住区会議室条例の一部を改正する条例について、反対の立場から討論を行います。

 この条例改定案は、区が示した「貸室のあり方見直しの基本的な考え方」に基づく、会議室や研修室、集会室などの位置づけの見直し、団体登録制度、利用時間割のそれぞれの見直し、および、改定された「公の施設使用料の見直し方針」に沿ったものであり、会議室や集会室、研修室などに係る規定は、住区会議室条例を改定してコミュニティルーム条例とし、各施設設置条例から会議室、集会室、研修室などに係る規定を削除するという内容です。私たちは、会議室などの見直しと施設使用料の考え方や方針についてはこれまでも区に意見を提出していますが、多くの問題点を抱えるものであると考えています。

 1点目は、各施設条例に基づいて設置してきた会議室や研修室、集会室などをコミュニティルームに転換し、それに伴って各々の施設の設置目的に沿った活動を支援する団体登録制度を見直して一元化することが、かえって区民の自治的・自主的な活動を阻害しかねないということです。

 それぞれの施設の目的については法や条例で規定され、それに基づいて運営されています。社会教育でいえば、社会教育団体に対する活動の場の提供、各種講座の開設など区民に対する学習機会の提供、指導者派遣や相談等による社会教育団体への援助、文化活動の推進および文化財の保護が役割です。男女平等共同参画センターでいえば、女性問題の解決及び男女が平等に共同参画する社会の実現に資することを目的とした学習の場、女性やLGBTQの人権擁護の場、また交流や活動の拠点として役割があります。各施設の目的に沿った施策推進のために、行政と区民、団体が力を合わせて取り組む場が会議室や研修室、集会室です。

 区は各施設がこれまで行ってきた登録団体への支援は引き続き行っていくとしていますが、社会教育団体がこれまで無料で借りることができていたピアノやプロジェクターなどの一部備品が有料になるなど、支援が後退します。さらには、各施設で実施している各種講座や講演会の実施などの事業や担っている機能は、今後、検討・整理を行ったうえで見直しを図るとしています。

 ただでさえ、以前と比べて登録団体は減っています。登録団体としての要件の厳格化などが影響し、各施設と団体との連携関係も薄くなっています。各施設や団体活動の関係を維持しながら区政の発展につなげていけるかは全く不透明です。
 現在でも、区は、住区会議室や社会教育館などの一部施設では、当該施設の設置目的に沿った登録団体以外の団体にも使用料に関する団体支援策を適用することで、施設の相互利用による活動の場の拡大と施設の有効活用は図られているとしており、コミュニティルームに転換する必要はありません。

 2点目は、施設の総面積を減らすとしている、区有施設見直し方針および計画に基づくコミュニティルームへの転換であることです。

 このことについては、貸室見直しの基本的な考え方のなかで、「貸室の総量については、区有施設見直し計画の考え方を踏まえ、複合化・多機能化を図りながら各地域
における利用実態に合わせた規模としていくとともに、利用率を1つの指標として、効果的・効率的なものとしていく」との考え方が示されています。

 区有施設の利用率は、施設の立地環境も大きく影響し、他区との境目や交通環境のあまりよくない場所では、利用率は当然、低くなります。しかし、そういう施設であっても、近隣住民や団体は自主的な活動のために施設を利用しています。利用率が低い施設については、効果や効率を優先するのではなく、区民、利用者の視点と理解での検討を優先すべきです。

 3点目は、コミュニティルームへの転換と合わせ、「受益者負担」を強化した使用料の設定にしていることです。

 「公の施設使用料の見直し方針」では、自治体会計には本来存在しない、税金を確定させるための固定資産の耐用年数への分配方法である「減価償却費」を含む資本的経費を導入することが強調されています。今回の施設使用料の改定は、全体的には必ずしも大幅な引き上げとは言えませんが、午後の区分を2つに分けたことにより、午後を2区分通しで利用する団体にとっては使用料の引き上げになります。特に、社会教育館のコミュニティルームは午後の通し使用は大幅な引き上げになります。社会教育関係の登録団体からは、「公の施設料金使用については、利用者の立場に立った再検討をお願いする」「午後2区分時間は、2区分通しで予約できる措置を講じ、その場合の使用料の減額措置も検討してほしい」との陳情も区議会に寄せられました。各施設の付帯駐車場については、大幅な引き上げになっています。

 受益者負担の考え方や、「施設を使う人と使わない人の負担の公平性」という考え方、「近隣の類似施設との比較」を持ち込む議論は、住民の権利とこれを保障すべき行政との関係を、市場原理と同様の関係に置き換えようとするものであり、区民の所得格差も考慮しないものです。その行き着く先は「負担を賄いうる者のみが施設や制度・施策のサービスを受けることができる」「負担できない者は利用できない」という、格差の押しつけと自治体のあるべき姿からかけ離れたものになってしまうでしょう。

 区民の地域活動への参加、また生涯学習・社会学習などの場において、所得の格差が影を落とすようなことがあってはなりません。行政の果たすべき役割は、どんな所得状況にある区民であっても、社会活動、自主的な活動に参加する権利や公益性が保障される条件をいかに整えるかという点にあります。だからこそ、公共施設の使用料は料金を取る場合でも極めて低廉で、区民の権利保障を行うために運営されるべきであり、そこに民間の貸会議室などとは決定的に違う点があります。再考を求めものです。
 
 さて、この定例会では、区内区有施設の使用料や付帯駐車使用料、学校施設の使用料などの改定案が一斉に区側から提出されました。そのなかで、区立体育館施設条例の一部を改定する条例のなかで、一部体育施設の使用料算定で誤りがあったことが明らかになりました。委員会の質疑の中で、一部の体育室の使用料が高く算定されたことがわかったもので、もし、議員からの質疑がなければ、誤った算定による使用料が区民に押し付けられるところでした。他の自治体でもこれまでに例がないと区側も認める重大な間違いです。

 こうした事態を生んだ根底に、効率性や受益者負担、財政問題を優先し、区民の施設を使用する権利や公益性を軽んじたということはなかったか、区民に寄り添う姿勢が問われます。
 
 以上、本条例案への反対討論を終わります。

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