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党の政策

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目黒区基本構想案に賛成しました。岩崎議員が討論。

 目黒区議会第1回定例会が開会中。3月9日の本会議で、目黒区基本構想案に対し岩崎ふみひろ議員が討論しました。内容は次の通りです。

 日本共産党目黒区議団を代表し、議案第1号 目黒区基本構想の策定について討論を行います。

 日本共産党は20年前、現行の基本構想について「人権と平和の尊重」「環境との共生」「住民自治」を基本理念として明確に位置づけたことを評価し賛成しました。この3つの理念のもと、まちづくりの方向性や基本目標、基本方針を明確に掲げ、公共の安全の保持、福祉の増進、生活環境の保全及び個性ある地域社会の形成と発展を目的として、区民の声を踏まえ、自らの責任と判断により政策を決定・実施していく責任を目黒区が区民に宣言したのが現行の基本構想です。

 それに比べ、今回の基本構想案は全体の構成が最小限に抑えられ、現行の基本構想のような確固とした理念は明記されていません。まちの将来像についてもあまりにも漠然とし、基本構想の目標についても「区と区民が共有し地域社会全体で実現すべき目標」にされ、目黒区が基礎自治体として区民にどう責任を持つのか、その確固たる姿勢に欠けるものになっています。自治体の憲法ともいえる基本構想としては、かなり物足りないものと言わざるを得ません。

 ですから、この基本構想案への賛否はかなり迷いましたが、以下の理由で賛成することにしました。

 まず、第1は、基本構想素案に対する日本共産党区議団の意見が、一定、反映されたことです。

 素案には基礎自治体としての位置づけや役割、また理念が明記されていませんでしたが、案の段階で、「憲法で定める地方自治の本旨に基づき、区民福祉の増進を図るために、地域における行政を自らの判断と責任において総合的に実施する役割を広く担う、区民に最も身近な基礎自治体」であることが盛り込まれました。

 また、案には「人権と平和の尊重」「環境との共生」「住民自治の確立」の理念を普遍的とし、引き続き区政運営の根底において住民参加により政策を実行していくとの文言も挿入されました。本来ならば、「はじめに」の部分ではなく本文でしっかりと明記すべき文章ですが、盛り込んだことは評価します。

 また、「平和と人権・多様性の尊重」の部分で、素案では「すべての人の人権が尊重され、個性や違いを認め合うことができる意識の醸成をはかる」との記述にとどまっていたものを、「すべての人が互いの人権を尊重しあう地域社会をつくる」と、一歩踏み込んだ記述にしたことは評価できます。

 第2は、基本構想策定に向け、一定程度、区民参加の努力がされたことです。

 基本構想など長期計画に関する議論を進めてきた長期計画審議会は、1年間に9回行われ、最終の審議会ではグループディスカッションが行われるなど審議会委員の議論と意見表明の場が一定、保障されました。改定にあたって、区は庁内職員の意見聴取などを行い、素案へのパブリックコメントには206件の意見が寄せられました。コロナ禍のもとで説明会の開催ができないなど、大きな制約があったなかで、区民意見の反映に努めたと考えます。

 以上が賛成する理由ですが、冒頭述べたように、全体的には将来像が漠然とし物足りない内容になっており、今後、基本計画や実施計画をつくる上でも、個別施策の計画を策定する上でも、広く区民の意見を聞くとともに、住民参加を積極的に行って具体的な施策を進めていくことが求められます。

 特に、区政の運営方針のなかにある「区民と区がともに力を出し合い連携・協力する区政の推進」の項目は、住民自治の確立を明確に掲げ、区が区民にたいして説明責任を積極的に果たすことや、公正・透明で開かれた区政運営に努めること、住民参加システムの構築を図ることなどを明記した現行基本構想の記述に比べて不十分になっています。本来、行政が果たすべき役割を住民に押し付けるのではなく、行政が区民生活をきちんと支えるまちづくりの推進こそ求められます。

 現在、地域課題など部分的な施策では住民が参加したグループワークなどを実施することがありますが、区全体にかかわるような大きな課題では、政策策定過程での住民参加がまだ弱いのが現状です。この20年間に協働推進方針をつくる区民と行政の取り組みがありましたが、現在に生かされているとはいえません。住民参加システムを早急につくることを求めます。

 人権・多様性の尊重では、日本が現在、ジェンダーギャップ指数121位の「ジェンダー平等後進国」といわれ、多様な生き方が認められる社会の実現が阻まれているなかで、区としての積極的な取り組みが求められます。新型コロナウイルス感染拡大のなかで、解雇や雇い止め、育児や介護などの負担の集中、暴力や虐待の増大が女性を襲いました。女性の自殺が急増したことは、深刻な事態です。非正規雇用が多く、家族のケアをより多く担う女性に、政治や社会のゆがみが集中しています。元首相の女性蔑視発言は、ジェンダー問題の深刻さをあらわにしました。こうした状況を打破しようと現在、女性を中心に大きな運動が起こっています。

 国際社会は2030年に向け「持続可能な社会」をつくる目標を掲げて取り組んでいます。貧困の撲滅、気候変動の抑止、平和と公正の実現など17ある目標全てを実現する上でも、目黒区がジェンダー平等と個人の尊厳と多様性が尊重される地域社会をめざして本腰を入れて取り組むことを望みます。

 そして、「自助・共助・公助」の名の下に、地域社会に「自己責任」を押しつけるようなことがあってはなりません。新自由主義による行政の役割を小さくしていく方向では、区民のくらしと命を守ることはできません。区民一人ひとりを責任を持って支える行政の役割を握って離さないことを求めます。

 また、「未来を見据えた持続可能な行財政運営」では、「選択と集中」を名目に、区民施策の切り捨てとならないよう求めます。

 基本構想は今後20年間の区政運営の目標や政策の基本方向を示すものです。その間には何度か区長が交代し区政執行にあたっていくことでしょう。また、政治や社会状況も変化していくでしょう。しかし、誰が区長になっても、区政のすべての局面において、基本構想が引き継ぐとしている「人権と平和の尊重」「環境との共生」「住民自治」の3つの理念を堅持することを求めまして、討論を終わります。

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