党の政策
区議会第3回定例会で行った岩崎議員の一般質問の内容です
私は、日本共産党目黒区議団の一員として一般質問を行います。
まず、大きな1点目は、住民税、保険料の滞納対策は区民の生活再建の立場で望むべきだという点です。
区民が住民税や保険料を滞納する要因はさまざまありますが、格差と貧困が広がる中で、事業がうまくいかなかったり、失業したり、雇用状況が変わるなど生活や家計が変化し、心ならずも滞納してしまうケースも多くあります。滞納分を納めようとしても、なかなか収入がなくて納められない、負債が増えてしまった、あるいは分納の手続きをしても思うように納められないといった人もいます。
区は住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料など、昨年度から滞納対策を本格的に一元化していますが、それ以来、生活費、すなわち給与が振り込まれる預金が差し押さえられ、今後の生活に困るといった訴えが、私たち区議団にも寄せられています。
「給与口座から生活費を引き出すことができなくなった。困った」という声や、「口座が差し押さえられて生活費がおろせない。扶養している娘がいるのにどうしたらいいのか」といった声、「預金口座がいきなり差し押さえられ、区の窓口で相談しても、差し押さえは解除できないとの一点張りだった」など、こうした訴えが寄せられています。
もちろん、差し押さえに至るまで、区として催告状を送付したり、来庁して納付相談することを促すなど、滞納者と接触をはかり実情・現況等を把握する努力をしていることはわかります。また、区民によっては仕事などに手を取られて納付相談に行けなかったり、ちょっとした勘違いがあって、それが結果的に差し押さえになってしまったということもあるでしょう。
区はこれまで、わが党の滞納対策の一元化問題を取り上げた質疑に対し、一元化の目的として「複数の場所ではなく1カ所で対応することにより、区民が生活状況などを繰り返し述べたり何人もの職員と面談するといった心理的な負担や時間的な負担が減少する」あるいは「分納納付を行うに当たり、滞納債権全体の状況から、より実効性のある計画がお互い立てることができる」として、「個別の事情に応じた多様な徴収の対応が期待できる」としています。
しかし、一元化が実施されてから、わが党に寄せられた区民からの相談を聞くと、本当に区民の生活状況に寄り添った対応ができているのか、疑問に思うことも多いのです。
わが党は、税や保険料を滞納することがいいと思っていませんし、「負担の公平性と納付秩序の維持」という区の言い分もわかります。滞納対策のために財産を差し押さえることも一概に否定しませんし、滞納対策にあたっている職員の、税収や保険料収入を確保するための日々の努力を否定するものではありません。しかし、いっそう丁寧な滞納対策が求められていると思い、以下、うかがいます。
1問目は、給与や年金および預金口座など生活費の差し押さえについてお聞きします。
まず、「ア」として、区は、預金の差し押さえは「禁止額の規定はない」と、給与や年金が振り込まれる預金口座についても差し押さえています。しかし、明らかに預金から生活費に回して預金残高が減っている口座から、給与が振り込まれるタイミングを狙って預金を差し押さえることは、事実上、原則的に禁止とされている給与の差し押さえと同じではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に「イ」ですが、群馬県前橋市が住民税と国民健康保険税の滞納処分として給与が振り込まれる預金口座を差し押さえた問題で、前橋地方裁判所は「脱法的で違法」と判断しました。この判決についての区の見解を伺うとともに、一切、やめるべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
そして、「ウ」ですが、区は給与の差し押さえについては「一定の差し押さえ禁止額があるものの、滞納状況の解消が図られるまでは毎月、取り立てを行うことになる」として、滞納者の生活に配慮しているかのような言い方をしています。しかし、国税徴収法76条で必要な費用等に相当する一定の金額について差し押さえを禁止しているのは、受給者の最低限の生活を維持するために必要だからであり、滞納者への配慮をするというのであれば、区として差し押さえる所得基準を設けるなどのルールをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
そして、2問目は、滞納者の生活再建のために総合的な相談窓口を設けるべきではないかということです。
全国の中には、滞納対策を「生活困窮者の生活支援の場」と位置づけて生活再建に取り組んでいる滋賀県野洲市の例があります。野洲市は、滞納を市民生活のSOSととらえ、生活再建につなげる滞納整理を行うことを目的とする「債権管理条例」を制定しています。「滞納は生活状況のシグナル」「債権は市民生活を支える財源」とし、「市民生活を壊してまでは回収しない、滞納を市民生活支援のきっかけとする」と言っています。「生活困窮」を理由に徴収猶予ができることや、「生活困窮」を理由に債権放棄ができるという独自の規定を設けています。
区としても、「債権回収」というだけでなく、借金などの法律相談や就労支援、生活・介護・福祉分野の相談にも応じ、弁護士などとも連携を図りながら滞納者の生活再建を支援する体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に大きな2点目は、高齢者の介護予防の取り組みの充実をという問題です。
高齢者が要介護状態になるのを防いだり、要介護状態の人が悪化するのを防ぎ、改善を図ることが重要な取り組みになっています。現在、区内でも企業やNPO法人、自主的な団体、ボランティアなど、さまざまな「介護予防」の活動がされています。特に、早期から介護予防に取り組むことの必要性が強調されている中で、こうした活動を保証していくために、区がいっそうの支援を行っていくことが必要であると考え、以下、うかがいます。
まず、1問目は「筋トレ教室」を一般介護予防事業として実施したらいかがかということです。
介護予防にとって「筋力向上トレーニング」は効果的だといわれています。特に、マシンを使ったトレーニングは効果的です。先日、区内で自主的に「筋力向上トレーニング」に取り組んでいる会の活動を見学しました。この会は「筋力向上トレーニング教室」で効果を実感した人が、トレーニングを継続するために自主的に始めた会です。マシンを使用するという特性上、会員は教室でマシンの扱い方など一定の知識を得た人が対象になります。4つのトレーニング器具が置かれ、それぞれどこの筋肉を鍛えるのか、その効果はどういうものかが説明されている紙が貼られていました。会員一人ひとりのチェックリストもあり、個人の体力などに応じたトレーニングができます。会員からは、「階段の昇り降りが楽になった」「体調がよくなる」など、効果を実感する声が上がっていました。また、「介護を受けることを意識し始めてから筋トレを始めるのではなく、早期から継続的に取り組めば、いっそう効果が発揮される」と指摘する方もいました。
この自主的な会の会員になるための条件である「筋力向上トレーニング教室」は現在、「介護予防・日常生活支援総合事業」のなかの「介護予防・生活支援サービス事業」の「短期集中予防サービス」に位置づけられています。これは、医療専門職により集中的に機能改善をはかっていくための事業であり、ケアマネジャーにケアプランをつくってもらうことが必要となります。こうした条件がある影響もあり、「筋トレ教室」の参加者が定員に満たないという状況が続き、ひいては「筋トレ教室」を卒業して自主的な筋トレの会に加入する人が減少するなど活動に影響が生じています。
マシンによる筋トレ教室に参加できる区民を増やしていくためにも、また、自主的な筋トレの会に入って継続的にトレーニングを続けていける条件を広げるためにも、ケアプランなしで教室に参加できるよう一般介護予防事業でも同様の事業を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
2問目は、「総合事業」のメニューや内容を定期的に「めぐろ区報」で発信すべきだという点です。
介護予防のためには、総合事業に位置づけられている訪問型、通所型、生活支援型、そして一般予防向けのさまざまな取り組みへの参加が必要になってきます。現在、さまざまなサービスメニューは「介護予防通信」という形で区民に発信されていますが、介護予防活動に携わっている区民から、区報などを使って、もっと取り組み内容を広めてほしいといった要望を聞きます。もっと多くの人に参加してもらって介護予防の中身をアピールしていくためにも、「めぐろ区報」でも定期的に発信し、多くの高齢者の目に触れることが重要だと考えますが、いかがでしょうか。
3問目は、介護予防を支える自主的組織への援助を強化すべきではないかという問題です。
介護予防を支える自主的な組織には、現職時代に医療・介護施設や福祉施設で働いていた人などが、その経験を生かしてボランティアなどで活動している人もいます。今、自主的な活動をしている人たちにとって、ボランティアの育成がうまくいっていないとか、年金暮らしの中で活動資金を出し合って企画や運営を任されているため、資金面でも援助してほしいといった声が出されています。運営に携わっている人たちの交通費や、自主団体が独自に講師を頼んだときの講師料や交通費への補助があれば、もっと安心して活動に取り組めるのにといった話も聞きます。
地域の高齢者の介護予防や孤立防止など、さまざまな地域団体や自主的な団体による支援活動が、高齢者に張りあいを与え、孤立を防ぐ貴重な役割を果たしています。行政は、要支援者への介護サービスに代わる“代替サービス”を多様な実施主体に任せっきりにするのではなく、多様な実施主体への支援をきちんと行っていくべきだと考えます。
介護予防を支える自主的組織については、地域コミュニティーを支える社会的資源と位置づけ、多様な実施主体の本来の役割発揮のために、区や他の区民団体との連携の促進、講師への講師料や交通費など財政的な支援の強化、後継者づくりへの協力など、いっそう拡充させるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
大きな3点目は、大阪北部地震の教訓を生かし、耐震助成、住宅リフォーム助成制度の充実をはかるべき点です。
大阪北部地震は、改めて都市部の直下型地震対策の強化の必要性を示しました。倒れてきたブロック塀に巻き込まれ、女子児童や、子どもの見守り活動に向かっていたボランティアの高齢者が命を奪われました。火災や家の倒壊も起き、各地でけが人も数多く出ました。直下型の地震の恐ろしさを改めて浮き彫りにしています。
多くの人が家を出て学校や仕事に向かうピークの時間帯に大地震が起こると、通勤や通学する人、子どもたちの安全確保が特に必要です。子どもたちのすぐ近くで建物の外壁が崩れたり、瓦が落下したりした場所も少なくありません。ブロック塀などの対策をはじめ、建物の耐震強化をいっそう進めることが求められています。そのためには、既存の助成制度の拡充も必要です。よって、以下、うかがいます。
1問目は、住宅リフォーム工事費助成制度の対象拡大をすべきだということです。
先日の大阪北部地震は、改めてブロック塀や万年塀など危険な構造物をどうなくしていくかが課題として浮き彫りになりました。区には道に面したブロック塀を撤去し生け垣などに改造するときや、生け垣などを新設する、または道路わきに中高木を植栽するときの造成費の一部助成制度がありますが、ブロック塀への改修助成も必要です。また、区内の中小・零細業者の仕事の確保のためにも、制度のさらなる拡充が必要だと考えます。
また、住宅と直結している店舗などについても対象とすることは、面的な防災街づくりを進めていく上でも、個人事業者への支援という上でも必要だと考えます。すでに全国では100自治体以上で助成が行われています。
よって、「ア」として、個別住宅などの危険なブロック塀の改修なども視野にいれ、外構部分や門扉、車庫など住宅本体以外、および個人の住宅と直結している店舗、事業所も助成対象とすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
また、現在、リフォーム助成制度の申請資格は対象となる住宅に居住していると同時に、所有物件が申請者の名義になっていることが条件になっています。そのため、二世帯住宅などで、建物の名義は親の名義になっているけれども、実際の申請者はその子どもといった場合、手間がかかるといったことが起こります。
よって、「イ」として、申請に対する煩雑さの解消のため、申請資格は住宅の持ち主の名義ではなく、住民票があるかないかを基準にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
2問目は、耐震助成制度の拡充についてです。
まず「ア」の木造住宅の耐震診断・改修助成について、2000年以前の新耐震基準の建物も対象にすべきだという点です。
私は今年度の予算審議の中で、杉並区が今年度から、都内で初めて新耐震基準の木造住宅への耐震化助成制度を始めたことを紹介しながら、目黒区でも実施すべきだと質問しました。そのときの区の答弁は、住宅リフォーム等の機会に接合部の部分の確認、改修をすることと、新耐震木造住宅検証法について周知活動を積極的に行っていきたいというものでした。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査では、1981年以降に建てられた新耐震基準住宅であっても、9割が耐震基準に適合していないことが分かったとして、「2000年6月の改正が反映されていないため現行の耐震基準を満たしていない住宅が大半」という見解を示しました。
こうしたことからも、2000年以前の新耐震基準の建物も木造住宅の耐震診断・改修助成の対象にすべきだと考えますが、お聞きします。
そして、「イ」の木造住宅の耐震診断助成についてです。
区は今年度から5割補助から6割補助へと助成額を増やしましたが、耐震助成制度を導入した当時の10割負担をまだ、回復させていません。現在、23区の中でも16区で、木造住宅の耐震診断を10割負担にしています。2020年度までに耐震化率を95%にするという目標達成に向けて、取り組みの早急な推進が必要になっています。木造住宅密集地域の耐震化率も、まだ不十分です。建設に携わる方々からも、「耐震診断を行い現状を把握することが、実際の耐震改修に向けて計画を立てていくための第一歩ではないか」との指摘が出されています。
首都直下地震や南海トラフ地震の切迫性が指摘されている中で、発災後の対応とともに発災前の対応の重要性が強調されている中で、早く木造住宅の耐震診断助成について、全額助成へと戻すべきだと思いますが、いかがか、伺いまして、一回目の質問を終わります。
以上