党の政策
目黒区環境基本計画改定素案への意見を提出しました。
目黒区環境基本計画改定素案への意見
2017年1月10日
日本共産党目黒区議団
第1章 計画の基本的考え方
1.福島第1原発事故と省エネ・再生可能エネルギーの推進、地球温暖化対策の新しい国際ルール「パリ協定」が発効したことはこの間の大きな変化であり、目黒区環境基本計画改定にあたって、こうした激変に対応した区の計画にすることを基本的な考え方としてしっかり位置付ける必要がある。素案の記述では、何が問題になっているのか、国際水準が日本に求めているのは何なのかがわからないので記述すること。
2.地球的規模での開発や経済活動による環境破壊への国際的な対応と同時に、区の環境基本計画は、都市計画道路や再開発をはじめとする開発に対し、環境を守るという立場からチェックし、必要なら修正することができるような仕組みをつくる計画にすること。
基本方針1 省エネのまちづくり 地球温暖化対策を推進する
(省エネルギー対策の強化)
3.目黒区は、エネルギー消費量を2010年比で2020年度において7%以上削減する目標としているが、東京都は、エネルギーの消費量を2000年比で2030年までに38%削減するという目標を「東京都環境基本計画」で定めた。都の目標を上回る意欲的な目標設定とすること。また、東京都環境基本計画の目標との対比がわかるようグラフを含めてわかりやすく説明すること。
4.二酸化炭素排出量の推移グラフだけでなく、エネルギー消費量の推移グラフも掲載し、目標と実績の関係がわかるようにグラフを工夫すること。1990年度比何パーセントの削減目標になるのか明記すること。そのためにも、1990年からのグラフを掲載すること。グラフは、目標で使用した西暦で統一するか、目黒区地球温暖化計画のように和暦と西暦を併記すること。
5.目標を確実に達成するため、毎年の削減目標の進捗管理をどうするか明記すること。目標達成に責任を持った意欲的な施策を進めること。
6.主な施策の再生可能エネルギーや省エネルギー機器設置費助成件数の実績を経年グラフで表示すること。また、省エネルギー設備のある区内住宅の現況をグラフなどで示すこと。
7.テナントビルを含めた中小規模事業所の省エネルギーを促進するため、無料診断とともに普及・啓発を強化し、高効率機器の導入に対する支援を拡充すること。
8.病院や診療所、学校、保育園、幼稚園がすすめる自家発電設備・非常用電力の確保や、省エネルギー化(LED化、ガラスへの遮熱フィルム装着、遮熱材やカーテンの設置、冷温水ポンプのインバーター化など)に対し、助成などの支援を拡充するとともに、区総合庁舎と区有施設の省エネ対策を促進すること。
9.一般家庭住宅への省エネ化のためのリフォーム助成をLED化のみならずガラスへの遮熱フィルム装着、遮熱材やカーテンの設置などにも拡充すること。
10.24時間営業・深夜営業の自粛、自動販売機の抑制など、小売業の電力削減の促進対策を区として講じること。
(再生可能エネルギーの抜本的拡大)
11.2030年までに電力の4割を再生可能エネルギーでまかなうという目標をもって取り組むことは世界の再生可能エネルギー先進国に追いつくための最低限の目標である。この道は、温室効果ガスの排出削減、地域経済の振興と雇用創出、エネルギー自給率の向上にとっても大きな効果がある。
区の改定素案には、再生可能エネルギーによる電力利用割合に関わる目標数値がないので設定すること。設定するに当たっては、「東京都環境基本計画」の再生可能エネルギーによる電力利用割合は、2024年までに20%程度、2030年までに30%程度に拡大するという目標になっているので、目黒区の計画は、これを回る意欲的な目標設定とすること。また、目標を確実に達成させるために、再生可能エネルギーの導入を急速かつ強力に推進すること。
12.区の施設への再生可能エネルギー機器設置を強力に推進すること。
13.再生可能エネルギー導入対策への支援を拡充すること。目標達成に必要な導入量について試算し、実現に向けた進捗を管理すること。
14.目黒川に小水力発電所を設置し、見学スペースや表示盤を設けて、再生可能エネルギーの普及啓発や環境教育に活用すること。
15.湖南市をはじめとして地方自治体で再生可能エネルギーの基本条例の制定が進んでいる。区内の再生可能エネルギー導入ポテンシャルと技術開発について全面的な調査・研究を行うことなどを位置づけた自然エネルギー条例の制定について、目黒区においても検討することを今度の改定で明記すること。
(地球温暖化対策、ヒートアイランド対策の強化)
16.温室効果ガスを2020年に1990年比(京都議定書 基準年)25%削減することを日本政府は国際公約としている。この公約によって、2020年に30%以上削減、2030年に40〜50%削減、2050年に80%以上削減する目標こそ求められている。世田谷区は、1990年度比10%削減をめざしており、すなわち2008年度比で2020年度において25%削減を目標としている。こうした中で、目黒区は、二酸化炭素排出量の削減目標について、2010年比で2020年度において7%以上削減するとしているが、あまりに低い目標と言わざるを得ない。環境との共生を基本理念に掲げている目黒区としては、近隣区以上かつ国際水準にあたる意欲的な目標とすること。
17.環境アセスの対象評価項目に二酸化炭素排出量を加えること。 事業計画区間を短めに細分化した道路計画路線については、事業の一体性から、全体の環境アセスメントの対象にすることを、東京都と連携して実現すること。
18.都市型水害対策として、雨水タンクの導入を促進すること。現在の助成内容を使いやすいよう実態に即して改善すること。区有施設や民間事業者にも普及促進を図ること。
19.目黒区は、現行の都市計画マスタープランに、熱帯夜が特に多い自治体と明記されている。コンクリートやアスファルトで覆われる大型開発や都市計画道路優先のまちづくりに対して、環境面の立場から、規制をさらに強化する施策を追加すること。
基本方針2 循環型社会づくり ものを大切にして循環型社会を実現する
20.一人1日当たり100グラムのごみ減量を達成し、2025年度までに一人1日当たり451グラム、リサイクル率は31・7%にすることを目標値としている。積極的な目標を実現する具体策として、製造段階での廃棄物の発生抑制など企業の責任を明確にした減量対策を強化すること。小規模小売店、消費者、福祉施設等中小・零細業者へのリサイクル・再資源化のための負担軽減、 生ごみ等のコンポスト化の取り組みを拡大するため助成、事業系食品残渣のバイオエネルギー化など、リサイクル・再資源化を推進すること。
21.サーマルリサイクルという名の廃プラの焼却政策を見直し、分別回収の徹底で本来のプラスティックのリサイクルを促進すること。
基本方針3 みどりづくり みどりをはぐくみエコロジカルネットワークを形成する
22.これまで、目黒区内の巨木は何本あったのか、いま何本に減少してきたのか、記録がなく把握していないことは問題である。早急に調査し当面記述できる範囲で示すこと。
23.昨年4月に改定された緑の基本計画では、みどりの質を重視することを位置づけたが、その一環として大木の保存に係る有効な仕組みがない。保存樹の指定を拡大するとともに、伐採前の住民への説明の義務付けなど大木を保全・創出する規制強化の具体策の必要性を明記すること。生垣助成についても小規模なものへの対象拡大を含め拡充を図ること。
24.2022年のいっせい更新にむけ、生産緑地を区が取得し、生産緑地公園などで活用する方向性を打ち出すこと。また、そのために必要な国や都への補助制度の拡充を要望することを明記すること。
25.緑被率20%達成へ向け、あらゆる手立てを講じること。とりわけ、緑被率の少ない地域への取り組みは重視すること。
基本方針4 生活環境づくり 健康で快適に暮らせる生活環境を確保する
26.PМ2・5については、大阪橋自動車排気ガス測定局などのデータを経年グラフにして示すこと。
27.中目黒駅周辺などへの飲食店の深夜営業やイベントなどでの騒音など住環境が問題になっており改善が課題となっていることも明記すること。
基本方針5 ひとづくり 環境を守りはぐくむ人を育てる
(環境審議会のあり方について)
28.環境審議会のあり方については、環境問題にかかわる幅広い問題が取り上げられるようにすべきである。羽田低空飛行ルート計画に係る騒音問題、豪雨災害から命を守る地下室マンション問題、超高層ビルによる風害問題など大型開発や都市計画道路など環境破壊からいのちとくらしを守る問題を審議の対象にすること。
(環境を守る住民運動などへの対応について)
29.目黒区内でも多くの環境問題に関わる住民運動が起こっている。また、環境問題に関わる区民の不安の声や具体的な提案が広範に存在している。区として、区民の環境問題に関わる自主的な行動については、住民自治の確立に向けた取り組みとして位置付け、尊重し支援すること。
以 上