党の政策
第3回定例議会 石川恭子が反対討論を行いました
私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第52号平成26年度目黒区一般会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。
決算年のこの年、安倍政権の目玉であった「アベノミクス」は日本経済に格差の拡大とマイナス成長をもたらしました。大企業は、円安による大きな利益を得る一方、中小企業は物価の高騰などによって経営悪化に拍車をかけました。また雇用は増えても派遣など非正規雇用がほとんどで、実質賃金は減り続けました。こうした下で、消費税増税や、保険料の値上げ、年金などの引き下げが行われ区民の暮らしはますます厳しくなりました。だからこそ目黒区は、住民の福祉の増進の立場に立ち、国の悪政からの防波堤になり、最優先で区民の暮らしを守らなければなりませんでした。ところが緊急財政対策に基づく財源確保策を優先しました。これは大きな誤りで、以下、反対理由を5点のべます。
第1は、消費税増税を評価するとともに、区民の暮らしを守るどころか、追い打ちをかけ、さらなる負担増を強いたことです。
国民の大きな反対の中で消費税が8%になりました。8兆円を上回る大増税で、労働者の年収が1997年以来70万円も減収、平均的なサラリーマン世帯で10万円もの負担増を強いるものです。実質賃金が目減りする中で、増税が家計消費を落ち込ませました。
所得の少ない人に重くのしかかる消費税は、貧困と格差に追い打ちをかけ、また中小企業は、消費税を価格に転嫁することができず廃業などへと追い詰められました。区内では、飲食店など多くの個人店が姿を消しました。
増税による増収分は、社会保障の充実に充てるといっていましたが、社会保障の充実に充てるのは全体の増税分の1割、それどころか、介護保険給付の削減や高齢者の医療費窓口負担など負担増を押し付けるものとなりました。区長は消費税については、「社会保障費に持続的に対応し、長期的には区民の暮らしを支えていく貴重な財源」と消費税増税を評価し、区民の暮らしには目を向けていませんでした。
増税で苦しむ区民に、障がい者・高齢者のおむつ代の補助の引き下げと有料化、子育て世代には、保育園のおむつ代無料を自己負担に、さらに保育料の値上げなど追い打ちをかけます。高齢者からは「年金が下がり、負担ばかりが増え、死ねというのか」子育て世代からは「保育料が値上げされ、消費税で体操着も値上げ、ますます子育てにお金がかかる」などの声が寄せられました。
消費税増税に苦しむ区民の暮らしの実態をつかむこともせず、生活を支える支援どころか負担増を強いてきたのは自治体の役割を放棄するものです。
第2は、緊急課題である認可保育園と特養ホームの整備に真摯に取り組まなかったことです。
保育園待機児ゼロについては、目黒区基本計画の成果指標として掲げ、子ども総合計画では、2014年度末に待機児をゼロとしました。ところが、今年4月認可保育園に入園できない子ども1022人。希望する59%の子どもが入園できない異常な事態となりました。開設予定である認可保育園は、定員の縮小や、保育園が開園できない事態となり予定定員さえも確保できませんでした。
保護者からは、「目黒区はひどい」と声が上がり「私たちの声を聴いて」と区長への面会の申し入れがあったにもかかわらず、区長は区民の要望を反故しました。今後区は、経費削減のため区立保育園の廃止をし、民間事業者に任せようとしています。しかし民間事業者もなかなか手が上がらない、保育士が集まらない事態が広がる中で、区立保育園の廃止は待機児解消にはつながりません。待機児ゼロを2019年に引き伸ばしましたが先行きが見えず、真摯に子育て支援する姿は見られません。
特養ホームについては、23区を調査しましたが14年間整備してない区はどこにもなく、青木区政の下では一つも整備されていません。決算年・待機者は1000人近くとなりました。共産党区議団は、待機者実態調査をしましたが、老老介護で家庭崩壊寸前や認知症の独り暮らしなど事態は待ったなし。
旧6中跡地に特養ホームの計画ができましたが、完成予定は4年後の2019年です。他区では、待機児や待機者が問題になる中で、すでに公有地など活用し施設整備に取り組んできました。こうした取り組みと比べても、目黒区の対策は遅く、真摯に取り組んだとはいえません。
第3は、地方自治体の役割を投げだし、経費削減と負担増を押し付けるアクションプログラムを見直すことなく、最終年も区民に押し付けたことです。
一つ目は、アクションプラン実施と3年間の総括についてです。
暮らしの厳しさが増すなかで、3年目のアクションプログラムを実施。事務事業の見直しや学童保育・保育園の保育料の値上げなど区民サービスの切り下げと負担増です。当初の財政計画より区民税など増える中、3年間の実施の結果は、財源活用可能基金は前年度79億円から計画以上の139億円となりました。
しかし、今後も行財政改革を進め、強固な財政基盤の確立に向け取り組み、「これからの財政運営を考えれば基金はなるべく積み立てていく」と区長は言いました。アクションプログラム実施直後から区民からは「楽しみにしていた踊りの会が使用料の値上げで、回数を減らさなければならない」「障害者の車いす付きバスがなくなった」等驚きと怒りの声が上がっていました。サービスの削減と負担増の押し付であるアクションプランはすべきではありませんでした。
3年間の総括では、「区民の暮らしを支えるために必要な対応を図ることを基本としている」と述べています。しかし、歳入の財源確保額2億7000万円の内訳を見ても、70%以上が施設使用料や保育料の値上げによる区民負担で占め、とても区民生活の影響を極力抑えたとは言えません。また「アクションプランの取り組みは、支えあいの多様化等成熟した地域社会をもたらす、大切な礎となる」とより一層推進しようとしていますが、サービスの削減と負担増は成熟した地域社会をつくるものではありません。
二つ目は、区有資産の売却の問題についてです。
喫緊の課題である認可保育園や特養ホームの増設は、ただちに必要であったにもかかわらず、区は「整備するための土地の確保ができない」と言い訳をし続けていました。その一方で貴重なJR跡地を売却します。重大問題です。その他にも、箱根の保養所、上目黒福祉工房跡地、旧大橋図書館を売却してきました。今後も区は売却をする方針ですが、やめるべきです。
第4は、区有施設見直し方針が、区民要求を阻んでいることです。
この年、区有施設見直し方針に基づく検討が始まりました。ハコモノ三原則は、新しい施設は作らない、施設の更新は多機能化・複合化、1人当たりの面積を決め区有施設の15%を削減するというものです。これが区民の要求を阻むものとなっています。質疑で明らかなように目黒区は公営住宅が少なく、都営や区営住宅の募集には、何十倍と高い比率です。今後高齢化が進む中で、公営住宅の需要は多くなります。ところが3原則によって1人当たりの面積が決められ、新しい施設は作らないというのであれば、都営住宅の区移管や区営住宅などの新たな計画もできません。品川区では、待機児解消に向け区立保育園の整備が進められていますが、新規の施設は作らない原則によってこれもできません。すべての計画の上位に優先しているハコモノ3原則は、やるべきことをやらない、自治体の役割を放棄するものです。
第5は、人員削減による労働強化とサービス低下の影響についてです。
人員削減が進められ、すでに2009年から3年間で122人の職員を削減し、さらに2012年からの3年間で193人を削減。今年4月現在2023人の職員を2018年度に向け1900人以下に削減しようとしています。職員削減によって労働強化やサービスの低下の懸念が広がっています。
一つ目は、職員の長時間労働です。
月の残業時間が80時間を超えると過労死ライン。ところが職員の残業は、月80時間以上の人が80人、そのうち100時間以上を超える人は72人です。長時間の多い職場は、生活福祉課や保育課など福祉の職場です。有給休暇の取得が大変低い職場は、保育士や看護師など女性の多い職場です。こうした事態は、男女平等・共同参画計画で自ら掲げたワーク・ライフ・バランスの推進にも反するものです。区長は、「23区全体・目黒区の立ち位置踏まえ検討」と言いましたが許されません。職員削減によって事態は深刻化しています。
二つ目は、委託の拡大によるサービスの低下です。
図書館ではありえない経費削減のための開館時間の短縮。加えて、図書館資料費の大幅削減と、1億円以上の人件費の削減。今年度は、職員削減による委託化が拡大する中、図書館業務で最も重要なレファレンスが大きく後退し苦情が絶えません。図書館は貸し本業とは異なり、住民の知る権利と学習を保障する公的機関です。目黒の図書館は、これまで、現場で働く職員を育てレファレンス水準を高める中で、利用者の相談や要求にこたえ全国の図書館の中でも高い評価を受けてきました。職員の削減は、サービスの低下をもたらし“文化の薫り高い目黒”を崩壊していくものです。
また生活福祉課では、ケースワーカーが担当する生活保護世帯は1人平均100近くにも増え、複雑で困難ケースが増える中で、きめ細かな支援ができるのかと懸念されます。区民サービスを充実させるためには、職員削減を進めるのではなく必要な部署に職員を増やすべきです。
以上反対理由を5点述べました。最後に、今議会中、憲法違反の安保法制が強行可決されました。区長は、この戦争法について「賛否の態度は適切ではない」と自らの態度を明らかにしませんでしたが、憲法擁護の平和都市宣言を掲げる区であれば反対すべきです。立憲主義、民主主義、平和主義に反する戦争法は、絶対許されません。日本共産党は、戦争法廃止の1点で個人・団体・野党などの皆さんと力をあわせ廃止させる決意を述べ、決算の認定に反対する討論を終わります。