11月20日森美彦議員が行った一般質問です。
私は、日本共産党目黒区議団を代表して、区政一般について質問します。
明日、国会が解散され総選挙となります。今度の総選挙は、消費税増税、集団的自衛権行使、原発再稼働など安倍政権の暴走政治に対する国民の世論と運動が追いつめた結果です。沖縄知事選では翁長氏が圧勝し新基地は造らせないという安倍政権への痛烈な審判となりました。
総選挙の結果は、暮らしの問題でも平和や人権の問題でも、区民生活に大きな影響を与えるものとなります。また、来年4月のいっせい地方選挙では、区政と区議会のあり方が直接問われます。
こうした区政を取り巻く情勢の中で、区長に大きく4点について質問いたします。
第1は、区民の暮らしを守るために区政が果たすべき役割についてです。
その(1)は、消費税10%大増税の問題です。
消費税8%とアベノミクスによる円安が、暮らしと日本経済を直撃しています。賃金はふえないのに、物価が大幅にあがり、消費が冷え込んでいます。
区民の声を紹介します。「ギリギリの生活をしていたのに4月から消費税が8%に上がった。あらゆるものをガマンしている。電気代も上がり水光熱費の節約も限界で、必要な日用品も買えなくなった。」また、あるクリーニング店主は、「ワイシャツばかりでドライものが来なくなった。消費税増税後、売り上げがだいぶ落ちこみ経営が厳しくなった。10%増税なんてとんでもない。」
こうしたなかで安倍政権は、消費税10%の実施を、一年半先送りすることを表明しました。民主党、維新の党なども延期、凍結という立場です。しかし、来年10月であろうと、多少実施を先延ばししようと、消費税10%の大増税が庶民におそいかかることに違いはありません。
消費税10%大増税は、暮らしと日本経済を決定的に破壊し、取り返しのつかない事態になることは明らかです。先送り実施ではなくきっぱり中止すべきであります。
消費税増税に道理はありません。「社会保障のため」と増税を強行しながら、介護も医療も年金も、切り捨てや負担増ばかりです。「財政再建のため」と言って増税しながら、安倍政権は、大企業には法人税の大減税を行おうとしています。「財政が苦しい」と国民から搾り取り、大儲けし莫大な内部留保をため込んでいる大企業に減税をばらまくとは、国民への裏切りに等しいやり方です。
日本共産党は、消費税増税に頼らずに、社会保障の充実と財政立て直しをすすめる、新しい経済政策を提案しています。一つは、大企業や大資産家ほど税負担が軽い不公平税制を見直し、能力に応じた負担を求めること。もう一つは、大企業の莫大な内部留保を活用し賃上げをすすめ、国民の所得をふやし、税収を増やすことです。
先延ばし実施ではなく、きっぱり中止すべきであります。区長の見解をおたずねします。
その(2)は、年末緊急対策についてです。
7〜9月期のGDPが2期連続マイナスでした。消費税8%増税による景気の落ち込みは、区内中小業者や自営業者を直撃し、廃業・倒産が進行しています。12月から年の瀬を迎えるにあたって、いまこそ、区の支援が必要な時です。
10月発表された目黒区世論調査によれば、暮らし向きが苦しくなった区民が27%、楽になった区民はたった4%です。また、中小企業の景気は大きく落ち込んだままですが、世論調査でも、営業不振で収益がよくない自営業や事業主の方々の実態が深刻に反映しています。また、就学前の乳幼児がいる家庭で生活の苦しさが際立っています。
数か月前、区内で、40代の男性が、電気もガスも止められ餓死寸前で救出される事件も起きましたが、これは氷山の一角にすぎません。区政が、こうした区内で広がる生活の苦しさのなかで、経済的な支援策が時期的にも切実に求められているのではないでしょうか。
即効性のある支援策として、無利子融資や信用保証料の復活、プレミアム付き区内商品券発行など、暮らしと営業を応援する年末緊急対策を打つべきではありませんか、区長の答弁を求めます。
その(3)は、非婚みなし控除についてです。
婚姻届を出さずに子どもを生んだ非婚のひとり親世帯は、税法上の「寡婦控除」が適用されず、結婚歴のある人に比べ、高い税や保育料の負担を強いられています。所得税法は、寡婦に対し所得から27万円〜35万円の控除を認め、その分税金が安くなります。所得を基準に算定する住民税や国民健康保険料、保育料、公営住宅家賃などにも反映されます。
母子家庭の中でも、非婚のひとり親世帯は生活困窮度が高く、国の調査によると、平均収入は死別が256万円、離婚が176万円、非婚は160万円にすぎません。「子どもの貧困」「貧困の連鎖」を防ぐためにも対策が急がれています。日本弁護士連合会が「母にとっても子にとっても合理性のない差別」として警鐘を鳴らし、法律改正やみなし控除の実施など国や自治体に改善を求めています。こうした中で、実施する自治体が次々に広がっています。
目黒区として、非婚みなし控除を適用し、来年度から保育料などを軽減すべきではないか、答弁を求めます。
第2は、緊急財政対策を口実にした、史上最大の区民施策の切捨てについてです。
年金は下がり続け、国は税と社会保障の痛みを押し付けるなかで、区は、国と一緒になって、区民に追い打ちをかけています。とりわけこの3年間、緊急財政対策を口実にして、国と一緒になって区民に痛みを押し付けてきました。
区は、財政危機を振りまき、福祉・くらし・教育など600事業にわたり区民の骨まで削るその額は、3か年で180億円。史上最高の黒字決算が続き、財政が好転しても、途中で見直しされぬまま、緊急財政対策は大きく超過達成される見通しで、歴代区長のなかでも突出した額です。
区は、緊急財政対策を検証すると言ってきましたが、区民にどれだけ削減の影響が及んだか実態把握がほとんど行われていないことは重大な問題です。以下、経済問題に絞って2点おたずねします。
その(1)は、オムツ代助成など経済的な給付の復活についてです。
介護の中で、オムツ代は大きな経済的負担になっています。負担を軽減するためのオムツ代助成は、家計を応援し、目黒区が高齢者を大切にする施策の表れとして介護家族に受け止められてきました。おむつ代助成の削減は、こうした思いに冷水を浴びせ怒りを広げています。高齢者や障害者が良好な生活を送ることができるようにするためにオムツ代助成をはじめ、配食サービス、障害者理美容サービスなどの区民負担増と給付削減はもとに戻すべきではないか、おたずねします。
その(2)は、保育料値上げ問題です。
保育園・学童保育クラブ・幼稚園の保育料値上げは、年少扶養控除の廃止によって家計が厳しくなっている時に追い打ちをかけるものでした。年少扶養控除の廃止の影響は区民税だけで5億円。保育料値上げの影響は、5000万円です。区は増収ですが、逆にこの合計額が子育て世帯に襲い掛かったのですから、国と区による強烈なダブルパンチを食らわしたのも同然です。
子育て支援が大切と本当に考えるなら、保育料こそ元に戻すべきではないか、おたずねします。
第3は、高くて払えない保険料を軽減し安心できる医療・介護を保障することについてです。
その(1)は、国民健康保険料値上げ問題についてです。
国民健康保険制度は、低所得者の加入が多いこと、年齢構成が高く医療給付費が高いこと、所得に占める保険料負担が重いことなど構造的な課題を抱えています。もともとこの制度は国庫負担などの公費負担を前提とし、国民皆保険制度の下で、他の医療保険に入ることのできない自営業者や高齢者、無職者などのために国や自治体が責任を負う保険制度です。命と健康を守る公的医療保険が、負担能力を超えた保険料などによって、住民の生活苦に追い打ちをかけ、医療を奪ってはなりません。
目黒区では、世帯の3分の1、5万世帯、7万人余が加入しています。10年以上連続値上げのもとで、滞納は12000世帯にもなり、所得の少ない世帯ほど滞納率が高い状況です。資格証は10年前よりも2倍の発行数です。医者に診てもらった途端に入院となったある区民は、「年々上がる国保料の支払いが厳しくなってきた。何とか無理してでも払ってきたが、体調が悪くて医者に行きたくても金もないのでつい我慢してしまった」と高すぎる保険料が受診抑制を招いている実態を告発しています。
23区の国保料算定方式が旧但し書き方式に移ってから、多人数世帯や生活困窮世帯により多くの負担がかかっています。給与所得200万円夫婦と子供一人の3人家族で2年連続して2万円以上の大幅な値上げとなりました。子どもが増えればさらに負担が大きくなります。
保険料値上げの原因の大本には、国庫負担の削減や自治体の一般会計繰入の減少があります。こうした状況をふまえ、以下3点おたずねします。
1点目は、国保の「都道府県化」についてです。
国は、国保の「都道府県化」をめざしています。都は保険者として財政運営に責任を担うことになり、標準保険料率を定めて、区に対して事業運営に必要な費用を分賦金として割り当てることになります。これに基づいて区は条例で保険料を定めて被保険者に賦課・徴収します。分賦金方式なので区は都に100%納付することが求められます。都による給付費の抑制、保険料値上げと滞納処分への監視や圧力が加速することが危惧されます。このような国保制度の社会保障としての性格を後退させる「都道府県単位化」には明確に反対すべきではないですか。
2点目は、高額療養費の一般会計からの繰り入れ削減問題です。
すでに今年度から23区では、一般会計から拠出していた高額療養費が段階的に保険料に賦課され、これによるものだけでも保険料への影響は一人当たり4年間で8000円にもなります。都市部における保険料抑制策としての原点に立ち返るべきです。今まさに増税不況、負担能力を超えて高すぎる国保料を抑制するために、2015年度以降の高額療養費の保険料への賦課は中止すべきではないですか。
3点目は、保険料引き下げの財源問題についてです。
まず、国庫負担の抜本的増額を国に強く求めることは当然です。7月全国知事会は、国による公費投入の規模について1兆円が必要との認識を示しました。国による国庫補助の削減が国保料値上げや財政運営を困難にさせてきた原因であり、消費税増税の如何に関わらず、国は直ちに1兆円規模の国庫補助を増額すべきです。
都に対して保険料抑制や負担軽減策のための補助金など新たな状況に対応する都独自の財政支援の強化は不可欠です。以上のことを、区長として国や都に強く求めるべきであります。
また、目黒区としても保険料抑制に必要な一般会計からの繰り入れを行うなどして、保険料を引き下げるべきではないか、答弁を求めます。
その(2)は、介護保険料値上げ問題についてです。
介護保険料の値上げがさまざまな負担増と相まって、区民を苦しめています。年金18000円以下の所得層の滞納だけではなく、国保料の滞納と一体的に介護納付金分が払えない区民が増えています。介護サービスの対象年齢となっても一定以上滞納していればペナルティがあり介護サービスが制限されます。目黒区でも「保険料が払えないから、もう介護サービスは使わない」と言う人が出ていることは深刻で、これ以上の値上げは許されません。
来年4月からの基準保険料が、現在の4960円から6000円前後に大幅値上げになることが予想されます。何としても軽減策を講じる必要があります。
介護保険料算定に関わり、国が低所得者の保険料を軽減するための財源を公費で補てんする仕組みを新たに導入しました。改定のたびに介護保険料が高くなって、国も低所得者対策を無視できなくなったからです。もともと保険料軽減策として自治体が一般会計からの繰り入れを行うことについては、法的な制約や制裁措置はありません。必要な財源を一般会計から繰り入れ、第6期介護保険料を引き下げるべきです。答弁を求めます。
第4は、貴重な区有地であるJR跡地の売却についてです。
JR跡地は、この20年間、目黒区の財政状況を理由に、コロコロと計画変更が行われてきました。
そもそも、JR跡地は、1995年3月、東京都と目黒区が公的住宅建設のため32億円ずつ出して購入した公有地です。都は、老朽化し危険な都営住宅を建替える計画でした。一方、目黒区は、高齢者福祉住宅、障害者福祉住宅など福祉系住宅を整備するために購入しました。
ところが、目黒区は、2001年1月、都立大2期工事に続いて、計画外の新庁舎移転で区財政が厳しくなったことを理由に、JR跡地の福祉住宅建設を凍結したと一方的に東京都に通告し、当初の購入目的に沿った実施計画を頓挫させました。
2006年、都区は、土地を貸して地代収入を得ることを目的に定期借地権を活用する基本協定を結びました。福祉系住宅の建設という当初の購入目的を大きく変質させる計画変更でしたが、高齢者福祉住宅と区民住宅を整備するという区民施策がわずかながら盛り込まれました。結局、定期借地権方式もうまくいかず失敗に終わりました。
2013年9月、目黒区は、「緊急財政対策」を理由に、一方的にJR跡地を売却する方針に転換しました。1年間の都区協議の末、今年9月、都も売却する方針に転換しました。公有地を住民福祉のために活用するという行政としての最低限の姿勢さえ投げ捨ててしまったのであります。
以上の経過からわかる通り、目黒区は、財政状況を理由に2度も計画変更し、そのたびに区民と地元住民にこれを押し付けてきたのでした。目黒区に方針転換を迫り、または容認してきた区議会勢力の責任は重大であることを指摘しておきます。以上を踏まえ、以下2点質問します。
その(1)は、公募型プロポーザル方式についてです。
JR跡地は、公募型プロポーザル方式で売却する事業者が決定されます。これまでの先行まちづくりプロジェクトや都市再生ステップアッププロジェクトの都有地売却などの例では、区民の意見を反映する仕組みがないまま、5〜7名の民間有識者による審査会が決定しました。
同様に、JR跡地の売却は、審査会の運営を東京都が行い、外部有識者による審査会が、提案内容と買収金額を検討して事業者を決定します。これでは、ますます区民の声が届かなくなり、区民の求めるまちづくりには到底ならないのではないか、おたずねします。
その(2)は、JR跡地の売却中止についてです。
区民からJR跡地を売却しないで区民のために活用を求める陳情が区議会に出され、区長にも売却反対の多くの署名が提出されました。日本共産党区議団が、不足している特養ホームや保育園、避難所の確保などを提案するたびに区長は、「土地が高く用地の確保が難しい」と答弁してきました。
その一方で、まとまった貴重な区有地であるJR跡地を売却することに道理は全くありません。JR跡地は、目黒区民全体の財産であり、要求の強い福祉施設などに活用すべきであり、売却を直ちに中止すべきではないか、区長の答弁を求め、壇上からの一般質問を終わります。