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9月議会での岩崎議員の一般質問と答弁

岩崎ふみひろ

 私は日本共産党目黒区議団の一員として一般質問を行います。
第1点目は、区民の介護充実への切実な要望にこたえる問題です。
 その1問目は、特別養護老人ホームの増設に、ただちに踏み出すべきだということです。
2000年度以降、区内の特養ホーム建設が行われず、待機者は1000人を超えています。日本共産党区議団はこの間、待機者および待機家族の方に実態の聞き取り調査を行ってきました。
碑文谷に住む94歳の女性は要介護度5で、3年以上、特養ホームの入所を待っています。在宅を基本にデイサービスやショートステイなどの介護サービスを受けていますが、同居して介護している82歳の妹さんが足を痛めて歩行困難になり、買い物に行けなくなったばかりか、心不全で2週間も入院するといった事態になりました。結局、世田谷に住んでいる84歳のもう一人の妹さんが駆けつけざるをえないという老老介護の弊害が顕著に出ています。
東山の72歳男性は要介護度4でホームヘルプサービスなどを利用していますが、食べられないものを口に入れる異食行為があり、窒息などが懸念され、目が離せない状況であるにもかかわらず、一人暮らしを余儀なくされています。調査にご協力いただいた区民の方からは、どこからも同じような深刻な実態が出されました。一刻も早く対策を打たなければなりません。
区は2016年度に着工し、2018年度に開設予定の特養ホーム増設を計画していますが、昨年9月の第3回定例会で、わが党の質問にたいし区長は「計画の前倒しや定員、規模の拡大について再度検討を行う」としています。早期の増設に踏み出せるかどうか、状況をうかがいます。
 2問目は、「新たな介護予防・日常生活支援総合事業」についてです。
 6月に成立した医療・介護総合法のもとで、介護保険制度が改悪されました。最大の問題は、要支援者が利用する通所介護や訪問介護の見直しです。全国一律の基準で運営される介護給付によるサービスは廃止され、区市町村が独自に実施する「新たな介護予防・日常生活支援総合事業」としてサービスが行われることになります。
 総合事業は2015年度から移行が開始され、17年4月までに全区市町村で実施されるとしています。内容は、運営、人員、単価など国として一律に基準は設けないことや、既存の事業所によるヘルパー派遣やデイサービスとともに、費用削減のためにNPOや民間企業、ボランティアによるサービス提供も可能とすること、事業を委託する単価は現在の介護報酬以下に設定すること、利用料は要介護者の利用者負担割合を下回らないことなど、現在、厚生労働省がガイドラインの案を示しています。
 このガイドラインに沿えば、専門的な介護サービスを受けられなくなってしまう人が生まれ、専門職による介護サービス自体が半減してしまうことや、介護利用者の意向がないがしろにされる危険があります。サービスを提供する介護事業者の経営状態も悪化する可能性があります。
 一方、こうした介護制度改悪のなかで、参議院厚生労働委員会は政府に対し、必要なサービスの担保や地域間格差が生じないよう財源の確保を含めた必要な支援を行うよう付帯決議をあげています。また、特別区長会としても、介護保険制度の見直しにかかる緊急要望を国に出すなど、介護保険制度の引き下げにならないよう求める動きもあります。
 新しい総合支援事業の実施責任と裁量は区市町村にあり、区の姿勢が問われる問題でもあるので、以下、質問します。
その第1は、介護認定の問題です。今回の介護改定では、要介護認定を受けたいと窓口に申請に来た方に対し「チェックリスト」をつくって質問に答えさせ、その判定だけでボランティアらによる掃除やごみ出しなど、専門職ではないサービスに誘導することもできるようにします。「介護サービスを受けたい」という人を「チェックリスト」によって選別するのではなく、介護認定を望むすべての人が認定を受けられる仕組みを維持すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
第2は、専門職によるサービスを受ける権利を奪わないことです。とりわけ、認知症の方は重度化してから手厚い支援を受けたとしても、もとの生活に戻すのは困難です。早いうちに発見し、専門家による早期治療を施してこそ、認知症の進行を遅らせ、家族にかかる負担を軽減することができます。一律に「多様なサービス」に投げ込むことは、必要な対策を見逃してしまうことにもなりかねません。認知症利用者らのサービス内容について、一律に「多様なサービス」に切り替えるのではなく、専門職のヘルパーやデイサービスを望む場合には、必ず本人や家族の意向を尊重し、そのようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
第3は、地域福祉の拠点となる地域包括支援センターについてです。これについては、第1回定例会でもわが党議員が質問し、その答弁は、「今後その果たすべき役割はますます大きくなっていくことから、さらに機能強化を図ることが重要だ」と述べ、「保健医療福祉計画改定及び第6期介護保険事業計画策定の中で論議し、審議会の意見を踏まえて区として判断をしていく」という内容でした。
そこで改めて、地域包括支援センターの数を倍増させ、1か所は区立直営のセンターを設置すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
3問目は、介護保険料にたいする区の対応についてです。
 国は第6期の介護保険料について、各自治体とも保険給付費の増加などで大幅な増額になるだろうと見込んでいます。
第5期では、国が保険料抑制の手段として、都道府県の財政安定化基金の取り崩し額の3分の1を区市町村に交付する措置をとりました。また、目黒区として、介護給付準備基金を引き続き、保険料抑制のために取り崩す措置をとりました。それでも、区の現在の平均月額保険料の基準額は4960円であり、前期と比べ760円あがり、高齢者からは「高すぎる」との悲鳴があがりました。
 第6期に向けての保険料については、低所得者の保険料軽減策に、はじめて国が2分の1、都が4分の1の公費負担をする意向を示していますが、都の財政安定化基金の活用など、保険料全体をどう抑制していくのかといった方策は、現在のところ明らかになっていません。しかし、放っておけば、介護保険料は大幅に値上げし、消費税増税や年金収入の減少など、経済的にも大変になっている高齢者の生活に追い打ちをかけてしまうことになります。区としての保険料抑制についての考え方をうかがいます。
4問目は、区独自の介護サービス利用料の軽減策の充実をはかるべきだという点です。
区では、低所得者を対象に区独自の介護保険利用者への負担軽減策を行い、訪問介護など予防給付10事業、介護給付13事業で、自己負担分の10%を5%へと軽減しています。消費税増税や年金の引き下げなど高齢者の実質収入が奪われているもとで、利用料の負担軽減がいっそう求められています。23区の中では、すでに渋谷区は7%支援を行っています。これまで継続してきた介護サービス利用料の軽減策については、5%支援から7%支援へと引き上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
5問目は、介護を支える人材と質の確保にむけて区としても支援をすべきだという点です。
国会でも介護職員などの人材確保をすすめる法案が議論され、結果的に2015年4月までに、「財源の確保も含め検討を加え、必要があると認めるときは必要な措置を講じる」と、介護職員の処遇改善を国会の意思として示しました。
介護労働者の賃金は、他産業に比べ10万円近くも下回り、人員不足の背景には低賃金、長時間労働、健康の不安があり、離職が多いのが特徴です。目黒区社会福祉事業団を例にとれば、2013年度の介護士の採用は24人、退職も同数の24人と依然、退職者は多く、平均の勤続年数は約6年です。厚生労働省の調査でも、全国的な福祉介護職員の平均勤続年数は5.5年となっており、いかに経験ある質の高い人材を確保しなければならないか明らかです。
厚生労働省は福祉人材確保対策検討会議を設置し、今秋ごろに報告書をまとめるとしています。もちろん、国の積極的な対応こそ必要ですが、国まかせにするのではなく、区としても、介護労働者の人材と質の確保をすすめるべきです。そこで、介護労働者向けの賃貸住宅の空き室あっせんおよび家賃助成制度をつくるべきだと思いますが、どうでしょうか、うかがいます。

 
青木区長答弁

まず第1点目、介護充実への切実な要望についての第1問、特別養護老人ホームの増設についてでございますが、本年8月1日現在の特養ホームの待機者は970名であり、区として特養ホームの整備は喫緊の課題であると認識しております。
 現在、実施計画では、民間特別養護老人ホームの整備支援として、1ヵ所、定員120名の整備目標を掲げておりますが、地価の高い本区では、まとまった土地を確保することが困難なことから整備が進まない状況でございます。
 しかしながら、特養ホームのさらなる増設につきましては、待機者も多く、整備が真に急がれていることから、現在、実施計画改定及び第6期介護保険事業計画策定等の中で今後の特養ホームの整備手法について、国公有地誘致等の活用や建築費補助、多様な民間活力の活用を図るなど、早期の増設を含めた検討を進めているところです。
 なお、特養ホーム等の施設整備とともに、介護度が重度になってもできる限り在宅での生活が継続できるような在宅サービスや地域密着型サービスの充実に努め、高齢者の状況に応じてサービスが選択できるよう、今後とも介護基盤の充実を進めてまいります。
 次に第2問、新たな介護予防・日常生活支援総合事業のもとでのア、チェックリストではなく、これまでのように介護認定を望む全ての人が認定を受けられる仕組みを維持すべきについてでございますが、新しい総合事業のもとにおきましても介護サービスを希望する方は、まず地域包括支援センターで相談を行うこととなります。制度改正後の手続きにおきましても、明らかに要介護認定が必要な場合や介護予防訪問介護などの予防給付によるサービスを希望してる場合には、従来どおり、要介護認定の申請をしていただくこととなります。それ以外の場合は、基本チェックリストを活用して利用するべきサービスの区分の振り分けを行います。
 そして、この振り分けは利用者本人の状況やサービス利用の意向を十分に聞き取った上で行うこととなります。したがいまして、介護認定を希望する方は、基本チェックリストが導入されましても、全て申請をしていただくことになり、利用者の心身の状況に応じた適切なサービスが提供されるものと考えております。
 次にイ、認知症の方のサービス内容について、専門職のヘルパーやデイサービスを望む場合には、本人の意向を尊重すべきについてでございますが、認知症につきましては、早期からの適正な対応と認知症についての正しい知識と理解に基づく、本人や家族への支援を包括的、継続的に実施する体制をつくることが必要であり、地域包括ケアシステムを構築する際には、認知症施策を推進していくことが重要でございます。
 お尋ねの認知症の方については、予防給付の訪問介護や通所介護を一律に民間NPOや民間事業者などによる多様な担い手による多様なサービスに切りかえるのではなく、専門的なサービスを必要とする人には専門的なサービスの提供が行われるものであり、介護サービスの低下にはつながらないものであると考えております。
 次にウ、地域包括支援センター設置箇所数の倍増及び一部直営化についてでございますが、包括支援センターは平成21年度から地区サービス事務所と併設する形で5ヵ所に開設し、その事業は全て民間法人に委託しております。
 今年度中に目黒区保健医療福祉計画の改定及び第6期目黒区介護保険事業計画の策定をする予定でございますが、地域包括支援センターのあり方などについては、地域福祉審議会において御審議をいただいており、中間のまとめとして御報告いただいたところでございます。
 そこでは、他の自治体と比べて設置箇所数が少ないが、1ヵ所当たりの職員数が多く、運営の安定性や専門性の発揮につながっていると、現状について評価されています。また一方で、今後の超高齢化に伴う業務量増加への対応や支援の充実など、さらなる機能強化に取り組むことも求められています。
 したがいまして、設置箇所数は今後、社会福祉委員会の答申の内容に沿って検討し、区として総合的に判断してまいりたいと存じます。
 また、1ヵ所の直営化につきましては、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種の配置が必要であり、区の任用制度や効率的運営の面から適当でないと考えますので、区の直営の予定はございません。
 次に第3問、介護保険料に対する区の対応についてでございますが、介護保険料は3年ごとに事業計画に定めるサービス見込み額等に基づき介護保険法により定まっている負担割合に応じて設定しており、現在65歳以上の方は費用の21%を負担し、その基準額は本区の場合、月額4, 9 6 0円でございます。保険料の値上げはできる限り行わないことが望ましいと考えますが、介護認定者数の増加に伴い、介護サービスの利用増が見込まれることから、第6期における介護保険料については、現状では一定程度上昇することはやむを得ないと考えております。
 今後、国における報酬体系等の検討の意向を注視しながら、第6期のサービス費用見込み額等を算定し、適正な保険料を設定してまいりたいと存じます。
 あわせて、低所得者に対する配慮として、弾力的な所得段階の設定や区独自の保険料減額制度の継続を検討するとともに、介護保険制度の持続可能性の確保のための重点化、効率化にも努めてまいりたいと存じます。
 次に第4問、区独自の介護サービス利用料の軽減策の充実についてでございますが、現在、目黒区では独自の介護サービス利用者の負担額を軽減する制度を設けております。具体的には、在宅でサービスを利用されており、住民税が非課税の世帯で利用者本人の合計所得金額がゼロ円の場合などの要件を満たすときに、申請により利用者負担を5%に軽減するというものでございます。
 さて、今般の介護保険法の改正により、一定以上の所得者の利用者負担の見直しが行われました。これまで一律1割であった介護サービスの利用者負担について、一定以上の所得がある方の自己負担割合を2割とするというものでございます。
 このような状況のもと、この軽減の割合をさらに拡大すべきだという御提案でございますが、適正な利用者負担の観点から、今後、適切に判断してまいりたいと存じます。
 次に第5問、介護を支える人材と質の確保に向けて区としての支援についてでございますが、全国的に見て、介護保険制度の創設以来、介護職員数は増加し、10年間で2倍以上となっており、団塊の世代が後期高齢者となる2 0 2 5年にはさらに1.5倍以上、約100万人が必要であると推計されております。
 一方、介護職員の賃金について見ますと、現在、介護報酬に一定の介護職員処遇改善加算がされ今日に至っておりますが、他の職種と比較して低くなっているという状況がございます。
 介護を支える人材と質の確保につきましては、介護を必要とする高齢者が今後とも増加していく状況を考えますと、重要な課題であると認識しております。
 お尋ねの介護職員向けの賃貸住宅の空き室あっせんや賃貸助成制度の創設についてでございますが、区の住宅政策は、住宅セーフティーネット法で示された住宅確保要配慮者への居住の安定確保を優先すべきと考えており、現在のところ、特定の業種の従業員向けの施策の拡大は考えておりません。

岩崎ふみひろ

第2点目は、消費税増税の大きな影響から、区内中小・零細業者の仕事確保に向けて取り組むべきだという点です。
 今年4月からの消費税増税で、4〜6月期の国内総生産(GDP)は年率換算で前期比6.8%も減少し、7月の家計調査では、消費支出が前年同月比で5.9%もマイナスになるなど、日本経済にとって大きな影響が出ています。目黒区としても区内事業者、とりわけ中小・零細業者への影響を緩和する営業支援と仕事確保が求められています。
 1問目は、区内業者の仕事確保をすすめるための契約制度改善をすすめることです。
 現在、建設産業は技術労働者や現場の職人がたいへん不足し、安倍政権による大型公共事業ばらまきといった施策とも相まって、全国的に建設・土木関係の入札の不調・不落が相次いでいます。目黒区でも、区立東山小学校の改築工事が3回にわたって不調という事態になっています。
 国は2013年4月1日の入札から15.1%と大幅な公共工事設計労務単価の引き上げを行い、新設計労務単価が建設労働者の賃金引き上げおよび社会保険加入促進につながるよう、建設業界はじめ公共および民間発注者に要請しました。さらに、今年2月には、再び労務単価を7.3%に引き上げました。こうした措置は、建設労働者の賃金の保障や生活維持、社会保険への加入促進を進めるうえで積極的な意義があり、こうした動きを区内業者にも生かしていく必要があると考えます。
そのためには、価格や技術だけでなく、地域への貢献度などを加味した総合評価方式による入札を広げることが必要です。区内事業者からも、公共工事において区内業者の活性化へ向けて優先発注をいっそう進めてほしいとの要望が強く出ています。そこで、以下、質問します。
第一は、2008年度の導入以来、まだ試行となっている総合評価方式による入札について、本格的な実施に移行すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第2は、総合評価方式の地域貢献度について、区との防災協定の有無だけでなく、防災をはじめ環境、雇用など評価項目を広げるとともに、区への具体的な貢献度を判断できるものに拡充すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 そして、2問目は、住宅リフォーム助成制度のさらなる拡充に向けて取り組むべきだという点です。
 住宅リフォーム制度は全国的にも、地域活性化の「起爆剤」ともいわれ、制度をつくる自治体も増えてきました。目黒区は他の自治体に先駆けて住宅リフォーム助成制度をつくり、今年度からは5%から10%へと助成率を上げるなど拡充してきましたが、引き続き、区内の中小・零細業者の仕事の確保のためにも、さらに拡充していくことが必要だと考えます。
また、区内の戸建て住宅に住んでいる方の中には、「住宅が古くなり、風呂はぼろぼろで、台所の壁からは雨水がしみだしてくる。改修したいが退職して収入が減り、後継ぎもいない。そんな躊躇を助成制度は後押ししてくれる」と区民からの期待の声も上がっています。そうした区内業者や区民の拡充を求める声にこたえるべきだと考え、以下、質問します。
第1は、予算枠の問題です。住宅リフォーム助成にかかわる今年度の予算は、品川区は2000万円で区民一人当たり約54円、大田区は4000万円で約57円、目黒区は960万円で約36円と、近隣区と比べてもまだまだ低いのが実態です。さらに予算枠を拡大すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 第2は、環境配慮型やバリアフリーへの改修、および門扉や外構など、助成対象となる工事を広げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第3は、とくに個人消費が落ち込み、消費税増税の影響を大きく受けている個人の商店や事業者などへの支援という意味も込め、個人の住宅と直結している店舗、事業所も助成対象とすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

青木区長答弁

次に第2点、区内中小・零細業者の仕事確保に向けての第1問、区内業者の仕事確保を進めるための契約制度改善のア、総合評価方式による入札の本格実施への移行についてでございますが、本区におきましては平成20年7月から、一定の工事案件について、施工能力審査型総合評価方式の試行を実施しているところです。平成25年度末までに17件の工事案件で総合評価方式による入札を実施しましたが、全体の件数がまだ少ないことに加え、未実施の工種も残っております。
 また、平成24年度には新たに地域貢献度を評価項目に加えたことなどもあり、十分な検証を行うためにはさらに試行の実績を積み重ねる必要があると現時点では考えております。
 特別区においても、多くの区が同様の段階でありますので、他区の動向も踏まえながら、最終的に判断してまいりたいと存じます。
 次に第1問のイ、総合評価方式の地域貢献度の評価項目の拡充についてでございますが、総合評価方式は、公共工事における品質の確保と不良・不適格業者の参入防止を図り、価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされることを目的としています。
 平成24年に地域貢献度としての防災協定の締結を評価項目として導入するに当たっては、外部有識者で組織する入札監視等委員会でも御議論をいただきました。本来は品質確保にかかわる項目でない地域や社会への貢献を加味するべきではないという御意見もございましたが、防災協定に関しては、工事業者がその有する機材や能力を駆使して防災に協力するもので、総合評価方式で行う工事案件と一定の関連性があることも踏まえて導入を可とする結論をいただいた経緯がございます。
 こうしたことから、現状では防災協定の締結の有無を対象として考えていますが、項目の追加や具体的な運用方法につきましても、他の自治体における事例なども参考に、入札監視等委員会の御意見をいただきながら、引き続き調査研究してまいりたいと存じます。
 次に第2問、住宅リフォーム助成制度のさらなる拡充に向けてのア、住宅リフォーム助成予算枠の拡大についてでございますが、住宅リフォーム資金助成事業は、居住水準の向上に対する支援及び区内建設関連企業の振興を図ることを目的として実施しております。
 住宅リフォーム資金助成事業にかかわる予算でございますが、今年度においては住宅リフォームにかかわり一般リフォーム工事が760万円、アスベスト除去工事が100万円となっております。
 一般リフォーム工事につきましては、今年度から助成率を5%から10%に引き上げることにより、予算も160万円増額し拡充したところでございます。
 また、本年度から新たに賃貸用住宅の空き家、空き室の高齢者や障害者等が住みやすくするためのバリアフリー工事についても助成することとし、100万円の予算措置をしているところでございます。住宅リフォーム資金助成につきましては、これまでも当初予算額で対応できない場合は補正予算や流用等により対応しており、昨年度は100万円余を予算流用により増額措置をしてまいりました。
 今年度の実施状況でございますが、8月19日現在で申請件数59件、執行予定額が541万3,000円でございます。これは予算総額960万円に対して56%の執行予定率となっております。今年度は助成率を10%に拡大したことにより、1件当たりの助成額も咋年度と比較して1万3 , 0 0 0円余の増額となっております。
 このような状況の中、今後、予算枠を超えるような状況になった場合には、補正予算等で適切に対応し、居住水準の向上に対する支援及び区内建設関連企業の振興を図ってまいりたいと存じます。
 次に第2問のイ、住宅リフォーム助成対象工事の拡大についてでございますが、住宅リフォーム資金助成事業の一般リフォーム工事の対象工事は、家屋のリフォームに限定しており、門扉や外構、車庫などの部分は助成対象外としております。これは限られた予算の中でより多くの区民の皆さんに住宅リフォームを実施することにより、居住水準の向上を図っていただきたいため、助成対象工事を家屋のリフォームに限定しているところでございます。
 現在、住宅リフォーム資金助成の申請も多い中で、家屋以外の門扉や外構、車庫などの部分まで助成対象を拡大することは、家屋のリフォーム助成対象世帯の減少にもなり、困難であると考えております。
 なお、環境配慮型やバリアフリーへの改修でございますが、住宅リフォーム資金助成事業の一般リフォーム工事は、環境性能を向上させる家屋の工事やバリアフリー化の工事であれば対象としておりますので、現時点でも助成対象となっております。
 次の第2問のウ、住宅リフォーム助成対象工事の店舗等への拡大についてでございますが、現在、住宅と併設した店舗や事業所の住宅リフォームについては、店舗や事業所の部分については助成対象としてはおりません。店舗や事業所を併設した住宅を一度にリフォームする場合には、住宅と店舗等の面積等を案分し、住宅部分について住宅リフォーム資金の助成をし、支援しております。
 先ほどの門扉や外構工事部分と同様に、住宅リフォーム資金助成は、より多くの区民の皆さんに居住水準の向上を図っていただきたいと考え、住宅を対象に実施しておりますので、住宅以外の店舗や事業所の部分までは助成対象とすることは困難と考えております。

岩崎ふみひろ

第3点目は、「中長期の定数管理の考え方」に基づく1900人への常勤職員削減計画は見直すべきだという質問です。
 目黒区は2007年度に「中長期の定数管理の考え方」を打ち出し、2018年度当初の常勤職員を1900人以下にするとしています。そのために、今後さらに民営化などで100人、業務の見直しなどで80人削減しようとしています。2012年度から14年度までの行革計画では、200人の削減目標で193人の削減を実行してきましたが、今後もそれに匹敵する削減計画をすすめようとしています。
 その結果、社会教育館では常勤職員の削減と非常勤化がすすみ、講座が減るなど区民サービスに影響が出ています。区立図書館では委託化が進み、開館時間が短くなるなど、利用者から是正してほしいという強い要望が出されています。今後の区立保育園の廃園・私立化や学童保育クラブの民間委託などについても、子育て世代の方々から「質が保たれるのか」「区の直営だから安心して預けられたのに…」と不安の声が噴出しています。
 職員からは、「1900人体制の根拠が不明確」「どういう目黒区にしていこうとしているのか、まったく見えない」「これ以上、どこを削減するのか」との声が上がっています。
 「定数管理の考え方」が打ち出されてからの7年の間には、東日本大震災という未曽有の大災害がありました。都市型豪雨対策の充実やインフルエンザなど危機管理にも対応しなければなりません。施設の老朽化対策や公共工事の契約への対応など技術職員を確保しなければならない問題もあります。高齢者施策や子育て施策の充実を願う区民の要望も高まっている中で、改めて自治体職員の役割が欠かせないことが実証されています。「人件費の抑制が必要」などといって職員を減らし続けるべきではありません。計画はただちに見直すべきではないでしょうか。そこで、以下、質問します。
1問目は、2013年10月1日現在、55歳以上の常勤職員が416人であることからみて、今後は常勤職員における若年層の割合が増え、計画通りの常勤職員削減を行わなくても人件費は下がるのではないか、うかがいます。
2問目は、これまで、福祉、子育て、教育業務含め、民間委託や指定管理者制度導入、常勤職員を非常勤職員への置き換えが進められてきました。病気などで50人程度の休職者もいるなかで、常勤職員にかかる仕事の負担が増しています。こういう状況では、区民の要望にこたえる行政運営はできないことは明らかで、少なくても福祉、教育、子育てにかかわる常勤職員の削減は見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、壇上での質問を終わります。

青木区長答弁

次に第3点目、中長期の定数管理の考え方に基づく常勤職員削減計画の見直しの第1問、年齢構成による今後の人件費の減少についてでございますが、本区の常勤職員に占める55歳以上の職員の割合は約20%となっており、単純に55歳以上の職員が退職し、同じ人数を新規に採用したと仮定した場合、職員給与につきましては、御指摘のとおり減少することは想定されますが、人件費は職員給与のほか退職手当などもあり、また再任用制度などさまざまな変動要素がございますことから、年齢構成の推移に伴う人件費のシミュレーションは困難と考えております。
 いずれにいたしましても、中長期的な定数管理の考え方では、財政の硬直化が進む中で、人件費の抑制を図りながら行政サービスへの的確な対応を目指すとしており、今後も新たな行政課題に的確に対応し、区民サービスをより効果的、効率的に提供していくために職員数の適正化による人件費の削減に向けた取り組みを着実に推進し、強固な財政基盤の確立を図ってまいりたいと考えております。
 次に第2問、福祉、教育、子育てにかかわる常勤職員の削減を見直すことについてでございますが、基礎自治体としての目黒区は、社会経済状況の変化と多様化する区民ニーズに的確に対応し、区民福祉の向上を図っていく責務があると認識しております。
 一方、財源や人材には限りがあるため、効果的、効率的な行政執行に努め、最少の経費で最大の効果を上げることが求められております。
 こうした観点から、職員定数の適正化につきましては、中長期的な視点に立って進めていくため、19年に中長期的定数管理の考え方を策定し、平成30年度当初の常勤職員数を1 , 9 0 0人以下とすることを具体的な目標として計画的に取り組んでいるところでございます。
 これまで行政内部の組織や執行体制の見直し、民間活力の活用などにより人件費を削減するとともに、行政が直接担わなければならない事業に人材を重点的に配置し、新たな行政需要や喫緊の課題に的確に対応してまいりました。
 今後につきましても、区民生活を守り支えていくため、限りある行政資源を最大限に活用し、区民福祉の向上に取り組んでまいりたいと考えてございますので、福祉などの部署であるだけを理由に職員の削減を見直す考えは持ってございません。
 以上、お答えとさせていただきます。
以上

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