党の政策
石川恭子区議が行った決算反対討論
2014年決算反対討論
私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第50号、平成25年度目黒区一般会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。
決算年のこの年、消費税増税前の不安が広がり駆け込み需要はあったものの、賃金が上がらない中で、アベノミクスの円安による物価の高騰、公共料金の値上げなど国民の暮らしはますます厳しくなりました。さらに年金・医療・介護・子育てを、「自助・自立」の下に負担増と給付の削減を押し付ける社会保障プログラム法と、国民の知る権利を奪う「秘密保護法」をとおしました。
こうした国の動きは、区民の暮らしに大きく影響し、商店街からは、売り上げが伸びないと悲痛な声が寄せられ、廃業するお店が出るなど景気がよくなるどころか厳しさを増す事態でした。高齢者からは「年金が減らされ生活ができない」の訴えがあり、また生活保護世帯は増えました。さらに、非正規雇用の増加や女性の社会参加が進み、子育て層の共働きが増える中で保育園待機児の急激な増加や、家族介護を支えられない介護保険の下で特養ホーム待機者の増加など暮らしの深刻さが増していきました。
だからこそこの年、青木区政は、国の防波堤となり最優先に区民の命と暮らしを守らなければなりませんでした。ところが、財源確保のための事務事業の見直し緊急財政対策を、見直すことなく前年に引き続き実施し、区民への負担増とサービスの切り下げを押し付けました。緊急財政対策によるに削減額は、初年度40億円に加え、2年目のこの年は50億円にのぼり当初の見込みより上回っています。
厳しい区民の暮らしに追い打ちをかけるやり方は、自治体の本来の役割「住民の福祉の増進」を後景に追いやるもので、やるべきではありませんでした。
以下具体的に、反対の理由を6点述べます。
●第一は、厳しい区民の暮らしの下で、負担増を推し進めたことです。
その1番目は、施設使用料の値上げです。
この年4月から施設使用料の値上げを実施し、区民の負担増によって3900万円の財源を区は確保しました。値上げの理由を、受益者負担と「施設利用者と未利用者の公平性」をあげていますが誤りです。公の施設にはそれぞれ設置目的があり、区民の負担を極力抑え誰もが安心して利用できるようにすることです。付加価値の高い施設においては、管理経費の100%を負担させ、さらに減価償却などの資本的経費を使用料に加えるのはもってのほかです。教育的施設でもある碑文谷公園のポニー教室も値上げされ、利用している障害者の団体は利用できなくなると批判の声をあげ、また会費を集め施設を利用し、健康維持の活動をしている団体からは、「年金者が多いので、施設利用の回数を減らさなければならない」の訴えがありました。使用料の値上げは、区民の自主的なコミニティー活動や文化活動などを抑制するものです。
2番目は、保育料の値上げです。
子育て層にとって一番の悩みは「子育てにお金がかかる」こと、さらに年少扶養控除の廃止よる増税は、子育て世代の家計に重くのしかかっています。こうした中で保育園、幼稚園、学童保育クラブの保育料の値上げは、保護者への4900万円余りの負担増となっています。保育料の値上げは、子育て支援に相反するもので、財政的な支援の拡充こそ求められています。
3番目は、緊急財政対策に加え国民健康保険料の値上げをしたことです。
この年、保険料の算定方式の見直しによる激変緩和措置が廃止されるなどによって、加入者の8割が値上げになりました。1万2千を超す世帯が保険料を払いきれず滞納し、区は200を超える世帯の保険証の取り上げ資格証を発行しました。保険料の値上げは、医療を受ける機会を奪い区民の健康と命を脅かすものです。
●第二は住民サービスの切り下げです。
経費削減によるサービスの切り下げは区民の暮らしの全般に及びます。高齢者や障害者の紙おむつ・おむつ代の一部自己負担導入による920万円余の負担、270万円に及ぶ障害者理美容サービスの削減、さらに高齢者配食サービス3200万円削減によって、弁当の質と量が下げられました。弱者と言われる人たちへの冷たい仕打ちです。
さらにこの年、地震の学習館の廃止や母子支援施設の廃止を決定しました。氷川荘母子支援施設の廃止は、経費削減と入居者が少なくなったことを理由にあげていますが、今日DVや子どもの虐待など支援を必要とする母子家庭が増える中で、近隣の自治体では母子支援施設の入居者は減っていません。ところが目黒区は廃止先にありきで、入居者を3年間で5分の一に減らすなど、新たな母子家庭に対する支援や入居勧めの努力も怠り、引き続き母子支援施設での生活を望んでいる人さえ追い出す事態となりました。こうしたやり方は、様々な困難を抱えながらも自立しようとする母子家庭への援助とは言えません。
●第三は、公有地の売却です。
将来的な活用を十分な検討もしないまま、財源確保の理由で貴重な財産である区有地の売却が止まりません。すでに、箱根の保養所跡地や、上目黒福祉工房の跡地が売却されました。今後、五本木など4つの老人いこいの家の土地の売却が進められようとしています。高齢者からは「近くにあるから利用できる憩いの家を、どこに売却するのか」と不安の声が聞こえます。さらにこの年、JR跡地を売却するため東京都に正式に要請し決定しました。そもそもJR跡地は、目黒区と東京都が、福祉住宅や都営住宅を整備するためにそれぞれ32億円だし購入した土地です。17年も放っておき、区民の「売却しないで」の声を無視した決定です。この間区は、保育園や特養ホームの整備については「土地の確保が大変難しい」と言っておきながら、今後購入が困難なJR跡地をはじめ区有地を売却することは、道理がありません。これまでの区政運営の中でも大きな誤りだと指摘します。今からでも売却は撤回し、区民のための施設整備に活用すべきです。
●第四は、保育園の待機児、特養ホームの待機者の問題です。
保育園の待機児の増加が予想される中、認可保育園に入れない子どもは前年度より213人増え810人となりました。さらに待機児の定義が他区と異なり、入園できず育児休業している人を待機児としてカウントしないなど、待機児を少なく見せる実態が明らかになりました。保護者は怒り、保育園不承諾に対する不服申請が提出され、さらに「待機児解消」「認可保育園の増設」を掲げ、ベビーカーを先頭に保護者など150人のキッズパレードを行い、1万1000人の署名と要望書を区に提出しました。この年、認可保育園の増設や定員拡大などあらゆる努力が求められていました。
特養ホームの整備は2000年以降行われておらず、その結果約1000人の待機者が常態化し、四分の一の人が3年以上も待機していることが明らかになりました。日本共産党区議団は、待機者実態調査を行いましたが事態は深刻です。特養ホームの整備は待ったなしです。区が喫緊の課題と言うのであれば、整備計画の前倒しや国有地などの活用に向け積極的な働きかけを行うことです。
●第五は、区有施設の見直し検討の問題です。
老朽化した施設の在り方や新たな施設需要についての判断など決めなければなりませんでした。ところが区長が設置した区有施設見直し検討会の学識経験者は、施設の統廃合と公共の土地を売却することを持論とする学者でした。受益者負担・統廃合・土地の売却などが打ち出され問題です。
加えて、施設総延床面積を、区の人口で割り一人あたりの施設量を2.03平方メートルとし、これを基準に将来人口が減るからと40年後までに施設を15%削減する方針は、あまりにも乱暴で根拠がありません。
また住民参加について区は、公募区民を入れた検討組織を作るとしていましたが反故にし、住民への説明会も開催しませんでした。区民団体から提出された要望書は、有識者会議の下に手渡すこともありませんでした。区民不在のやり方は問題です。
区有施設見直し方針は、有識者会議丸投げによる、住民不在、経費削減のための方針となっています。40年後誰が責任を負うのでしょうか。
第六は、1900人体制に向けて職員削減を推し進めていることです。
目黒区は、2007年度中長期定数管理の考え方を打ち出し、2018年度当初の常勤職員を1900人以下にするとしています。2012年から2014年の行革計画では、200人の職員の削減を計画し、2年間で163人削減しました。
決算質疑で明らかになったように、図書館では、開館時間が短縮される中で、2012年2013年の2年間で常勤職員17人・非常勤職員45人が削減され今後も進められようとしています。全国的にも質の高い図書館が貸本屋になってしまうのではないかと不安が広がっています。さらに今後、民営化などで100人、業務の見直しなどで80人を削減しようとしています。区立保育園の廃止や、学童保育の委託化が進められようとしています。区民と接する現場から区の職員がいなくなり、区民の実態や要望に応えた支援や事業ができるのでしょうか。サービスの質の担保ができません。さらに東日本の震災の教訓や、近年の自然災害などから公務員の役割が再認識され、危機管理体制の強化が求められています。職員の削減は、今まで積み上げてきた技術や知識を継承することができなくなり、住民の生活や福祉を支える行政の役割を後退させます。
最後に、
この決算年は、特別区民税などは大きく増え、施設使用料や保育料の値上げなどを区民に押し付け緊急財政対策と称して、区民生活を大幅に切り下げる事務事業の見直しによって財源を確保しました。それによって2014年度予算では財政調整基金などを取り崩すことなく編成でき、しかも大幅に基金を積むことができました。今からでも緊急財政対策を見直し、厳しい暮らしの区民のために使うことが必要です。日本共産党区議団は、国の悪政から区民を守り住民の福祉向上に奮闘することを決意し反対討論を終わります。