党の政策
9月議会・石川恭子区議が「施設使用料値上げ問題・介護・守屋教育会館跡地活用」について一般質問を行いました。
2012年・9月・一般質問本文
私は、日本共産党区議団の一員として、区政一般大きく3点について質問します。
おおきな1点目は、公の施設使用料の見直し方針に関連し、区の施設の役割、あり方について区長の基本的な考え方を質問いたします。
年金が減らされ、国保や介護など保険料の負担増、賃金が下がる中で子育て層の教育費の増大、区民の暮らしは大変厳しくなっています。
こうした状況に追い打ちをかけるように、区は施設使用料を大幅値上げする「公の施設使用料見直し方針について」を発表しました。
受益者負担を原則として、増えた施設の維持管理経費を利用者に負担させるというものです。付加価値の高い施設においては管理経費の100%を負担させ、さらに減価償却費などの資本的経費も使用料に加えます。また区民の利用の多い時間帯や土・日の料金は引き上げ、近隣区の状況を反映させるなど、値上げ案は2015年には1億2千万円になります。
今後の使用料については、社会情勢や管理経費の変動を定期的に反映させ、原則4年ごとに一斉改定をするとしています。こうしたやり方は、利用できない区民や団体が出てくることが予想されます。すでに、会費を集め施設を利用している団体から「利用回数を減らす検討をする」と聞かされました。募集した区民意見の中でも、「スポーツ施設の利用を減らさなければ」の声が出ています。
見直し案は、区民のための「福祉の増進」に相反するものであり、公の施設の役割を後退させるものです。改めて、公の施設の在り方についてどう考えているか4点質問します。
第一は、目黒区が掲げるまちづくりの方向「ともにつくる・みどり豊かな・人間のまち」から逆行するのではないかということです。
基本構想はでは、「区民こそ区政の主人公で、区民の自治組織に支えられた目黒らしい自治体行政と地域社会をつくる」と明記し「豊かな人間性をはぐくむ香り高いまち」にむけて、社会教育、スポーツ、芸術文化の振興など学ぶことができる諸条件が整備されたまちを目指します」と示しています。区民もこれを誇りとして、行政とともに教育・文化の香り高い街づくりに努力をしてきました。
しかし今回の方針案は、文化ホールなど付加価値の高い施設、たとえばパーシモン大ホールの土日夜間使用は登録団体でさえ、76500円が114700円と38000円の値上げです。演奏会などで利用するとき、夜間だけではなく終日利用や他の施設併用もあり、その負担は観客のチケット代に跳ね返ります。区民センタートレーニング室定期利用・高齢者の場合、800円が2倍以上の1800円になります。年金生活の中で健康で暮らせるためにと利用している高齢者に大打撃です。碑文谷公園にあるポニー教室は、動物に触れ乗馬できる貴重な体験の場で、幼稚園、障害児の団体などが多く利用している教育的施設です。団体利用は3000円が4500円になり、障害児の団体としてポニー教室を利用する母親は「何人かの保護者で使用料を割り勘していたが、どんどん上がっていけば利用できない」と怒ります。子どもの教育や福祉の場が奪われていきます。こうした事態は、教育と文化の香り高いまちづくりに大きく逆行するものだと思いませんか、うかがいます。
第二は、大幅な値上げ額を区民に押し付けることについてです。
2年前、景気悪化と区民の暮らしを考慮し、使用料の値上げを見送った当時と比べても区民の暮らしは依然厳しい状況で、今後さらに消費税の増税や医療や介護の負担増、年金の引き下げなどでよくなるどころではありません。
今年3月に発表した行革計画は、区民に多くの犠牲を押し付けるもので、使用料の値上げによって2014年度には5000万円の財源確保額となっています。それ自体許されるものではありませんが、舌の根も乾かないうちにこれをも大幅に上回る2.4倍の1億2000万円の使用料の値上げをするというものです。行革以上のさらなる負担を区民に押し付けようとするのは許されないと思うのですが伺います。
第三は、公の施設において「施設利用者と未利用者の公平性の確保」を持ち込む誤りについてです。
使用料の考え方として、受益者負担を原則として「施設利用者と未利用者の公平性の確保」を掲げていますが、公の施設は自治体の役割である「福祉の増進」を実現するための施設であり、営利を目的とする民間施設と同様に受益者負担を持ち込むのは誤りです。公の施設は、民間の施設のようにサービスの提供だけを目的としているのではなく、区民の施策の前進ために使用することを前提にしているので公平性を論じる余地はありません。使用料の値上げによって、利用できなくなってしまうことこそ、公の施設における公平性に欠けるものです。「利用者と未利用者の公平性の確保」の考え方は誤りであり、いたずらに区民を対立させるものです。区長はどのように考えているのか伺います。
第四は住民参加についてです。
今回の具体的な使用料の値上げ案は、7月26日議会に報告され、審議の時間も十分確保されない中で、意見募集は議会は8月10日、区民は8月20日の締め切りでした。全区民に説明する場を設けず一か月にも満たない期間でした。9月議会で条例改正をし来年の4月には実施するというのですが、これは住民をないがしろにしたやり方です。区民から提出された意見への区の回答もなく、あまりにも住民参加が形式的です。区の憲法ともいえる基本構想は、住民自治の確立と、区民が区政の主人公であることを高らかにうたっています。今回のやり方は、住民自治の確立に向けた住民参加とは相反するやり方だと思いますが、区長にうかがいます。
おおきな2番目は、高齢者が介護を受け、安心して生活を送ることができるように3点質問します。
社会全体で支える介護の名の下で、介護保険制度が導入されました。しかし度重なる改定によって、経済的負担増、厳しい利用制限、施設整備の遅れによる特養ホームの待機者の増大、さらに悲惨な介護殺人まで起きています。
昨年、介護保険法・介護報酬が改定され、今年4月から実施となりました。
介護保険法の改定は、現場の問題点を放置したまま、「地域包括のケアの実現」と「持続可能な制度の実現」を掲げ、「給付の効率化・重点化」を打ち出しました。国がめざす地域包括ケアは、在宅を推し進め公的給付はできるだけ削り家族やボランテァなどによる安上がり体制を作るというものです。介護報酬の改定は、「効率化」の下で生活援助の時間短縮など徹底的な削減と適正化を行うというものです。こうした改定は、重大な影響をもたらします。そこで一点目の質問は、在宅介護を支えるために介護報酬の見直しする事についてです。
その一つは、洗濯や食事など生活援助の時間短縮についてです。
この短縮によって、今まで受けていた援助が受けられないと利用者からの苦情が広がり、厚生労働省は「利用者の意向を踏まえずに、新たな時間区分に適合させることはあってはならない」と都道府県に指示をしました。しかし、かえって混乱が起きました。全日本民医連の調査では、「洗濯物を干せない」「調理する時間が足りず配食サービスにかえた」など利用者の生活が後退する実態が明らかになりました。
区内のAさんは、目が悪く一人暮らし80代の男性、要介護1。今まで、買い物、食事の準備、片付けの援助を受けていましたが、時間短縮によって買い物ができなくなり、全額自腹の介護保険外となりました。別の一人暮らし80代女性のBさん、足が悪く要支援2。歩行改善のための歩行リハビリを受け効果を上げてきましたが、リハビリ時間の短縮となりました。
あるヘルパーは「高齢者のところに行くと、まず連絡ノートと本人の体調を確認するのに5分かかる。洗濯、買い物など44分ではできない」と怒ります。
生活援助は、利用者の状況を把握するために相手との会話を大切にしています。とりわけ一人暮らし高齢者の場合欠かすことはできません。しかし、短縮によって「ヘルパーさんが忙しそうなので声をかけられない」と利用者から声が出ています。短縮による利用者への援助の低下と、きつくなるヘルパーの仕事など現状を区として調査し、国に対して生活援助の報酬の見直しを行うように働きかけるべきだと思いますが伺います。
その二つ目はデイサービスの改定についてです。従来どうりのデイの時間だと事業所の報酬は引き下がり、7時間以上の時間にすれば報酬は上がる仕組みです。しかし長くするには、職員を増やさなければならず人件費がかさみ簡単にできません。長い時間に移行した事業所では、職員を増やさずに実施しシフトは複雑化し、ヘルパーへの負担は大きくなっています。長い時間に移行できないある事業所は、区内2ヶ所でデイサービスを行っていますが、年間600万円の減収となり厳しい運営となってます。区として、デイサービスの事業者やそこで働くヘルパーの実態を調べ、国に対し報酬の見直しを行うように働きかけるべきだと思いますが伺います。
二点目の質問は、介護職員が働き続けられるために処遇改善交付金を当面復活させることについてです。
介護労働者の賃金は、他の産業と比べて6割から7割と低く、そのために離職者も多く、福祉の質を確保するうえでも賃金の引き上げは課題です。国は、介護労働者の賃金を引き上げるために「介護職員処遇改善交付金」を時限措置で行いました。しかし、今年3月には国庫負担を減らすために廃止し、介護報酬に盛り込み処遇改善加算を新設しました。その結果利用者への利用料の引き上となり、最も多く使うホームヘルプに4%の高負担率をかけるなど、利用者いじめの何者でもありません。職員の賃金の引き上げは、介護保険料や利用料が上がらないよう国の負担で行うことです。介護報酬から介護職員処遇改善加算をはずし、当面、廃止した処遇改善交付金を復活させるよう国に働きかけるべきだと思いますが伺います。
三点目は、特養ホーム待機者の解消と、在宅介護の更なる支援について3つ質問します。特養ホームの待機者は、年々増え8月は1021人で、今後1000人台が続くことが予想されます。こうした中で待機者家族の実態は深刻で、手術を終えたばかりの妻が退院後要介護5の夫を介護していたり、車椅子で全面介助が必要な80歳代要介護5の夫を、77歳の妻が介護しています。
まず一つは、待機者を解消するために、介護保険の保険者として延期している第四特別養護老人ホームを早急に整備し、さらに不足している特養ホームの整備計画を作成すべきだと思いますが伺います。
二つ目は、待機しているとりわけ重度の要介護4・5の在宅介護の支援を拡充することについてです。在宅介護を支えるには、ホームヘルプとショートステイとデイサービスの拡充が重要です。しかし現状は、経済的負担から居宅サービスを限度いっぱい利用している人は半数に過ぎません。また要介護4・5の場合、限度額目いっぱい利用しても、在宅介護を支えることは難しい状況です。
待機中に利用者の身体状況が悪化したり、家族が共倒れするケースも珍しくありません。保険者の責任として、特養に入所できない要介護4・5に対し少しでも人間らしく在宅で過ごせるために区独自のホームヘルプを行うべきと思いますが伺います。
三つ目は区立デイサービスの役割と必要性についてです。
デイサービスには、一般と認知症の2種類があります。現状は一般デイの事業者が多く、ここに多くの認知症の方が参加しています。一方認知症デイは、個別対応を掲げていますが経費などかかるため少なく、さらに認知症の不理解から周囲の人に知られると恥ずかしいなどの理由で利用者も少なくなっています。
区立デイには、在宅酸素の人やインシュリン投与の人、遺漏の人、吸引が必要な人など半数は看護の処置が必要で、民間事業所ではなかなか受け入れてもらえません。区立デイは利用者が少ないといわれていますが、重度の人が多いためショートステイを利用したり病気による欠席が多いのが影響しています。先日厚生労働省は、300万人を超す認知症数を発表しました。目黒区では現在約6000人の認知症の方が予想されます。特養ホームが不足する中で、認知症デイの役割はますます重要となってきます。区立デイサービスの利用者募集を復活させ、現在利用している人を残しながら、個別対応を必要とする重度の人・認知症の人などに対応する役割を担ったデイサービスと位置づけ存続させるべきだと思いますが伺います。
大きな3番目は、守屋教育会館跡地の活用について2点質問します。
守屋教育会館跡地には、現在保育園仮説園舎が建てられ今年12月には活用が終り、その後については決まっていません。周辺住民の皆さんが、この跡地利用についてアンケート調査を実施し、100通を超える声が集まりました。「保養所をなくし区民サービスを切り捨てた中、せめて深刻な特養ホームや保育園を急いで作ってほしい」「若者向けの住宅を」「母は97歳。特養ホームに申し込んで3年経過まだ何年も待たなければならないのか。特養ホームを作ってほしい」などをはじめスポーツ施設、防災公園と多様で、区有地の売却が計画されている中では「守屋跡地も売却されるのでは」の不安の声もありました。何より圧倒的な声は、高齢者のために7割、子育てのために4割の人が活用して欲しいでした。住民の皆さんは、この声に基づいて署名活動をし短期間で1000筆以上あつめ区に提出しました。
一点目は、区民財産である貴重な守屋教育会館跡地の活用について、どのような検討してきたのか伺います。
二点目です。跡地は、区民の方から寄贈された土地で教育や住民のために役立ててほしいというものです。土地に託された思いと住民の要望を考慮し、跡地利用については、周辺住民など区民参加の検討委員会を作るべきだと思いますが伺います。
以上、私の壇上からの一般質問を終わります。