党の政策
みんなの党提案の区議会議員定数削減条例に対する、岩崎議員の反対討論
みんなの党目黒区議団が提案した、区議会議員定数削減条例案が10日の本会議で審議され、日本共産党、自民党、公明党、刷新(民主党)、生活者ネットが反対し否決されました。無所属独歩の会は退席しました。本会議で岩崎ふみひろ議員が行った反対討論は次の通りです。
私は日本共産党目黒区議団を代表して、議案第85号 目黒区議会議員定数条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論を行います。
条例案は、緊急財政対策による事務事業見直しや公の施設使用料の改定が検討され、区民に負担を強いていることを考慮し、区議会議員の定数を36人から32人へと削減して経費を削減し、区財政の健全化に資することを目的に提案されています。
しかし、日本共産党目黒区議団としては、この条例案に賛同できないいくつかの理由があるので、それを述べます。
第1は、議員定数を削減すれば、区民と議員とのパイプが細くなり、区民の多様な意見をくみあげ、区政に反映していく役割が弱まるとともに、行政のチェック機能を弱め、政策を提案する機能も弱まってしまうからです。
区民のなかには様々な要求が渦巻いています。「生活が苦しくなってきている。区の支援施策はないのか」といった声、「十分な介護が受けられず、区の施策で何とかならないか」「保育園を増やしてほしい」「高齢者が住み続けられる住宅対策をとってほしい」「大地震対策をもっと強めてほしい」など、切実な声が多くなっています。
行政では拾いきれない区民の要求や声を拾い、生活相談にも応じながら、区政へ施策を提案していく議員の役割は強まりこそすれ弱まることはありません。議員が区民の暮らし、防災、福祉、健康、安全を守るために、何が優先され、何が不要不急なのかを住民の立場からチェックし、政策も提案し、区民の生活を支えるために懸命に活動することが求められています。
さらに、議会は憲法の地方自治の原則に基づき、住民から選挙を通じて負託を受けた、住民を代表する代議制の機関です。議員は多種多様な住民の意思を代表するのですから、男女を問わず年代的にも職業経験でも地域的にもできるだけ多様な議員が選出され、議論をつくし、合議体としての機能を果たすことが求められます。こうした議会の役割と照らしても、議員定数の削減は議会本来の機能を弱めることになります。
第2は、区が「財政的に厳しい」といって緊急財政対策や行革で区民へ負担を押し付けているから、議会も議員を減らして経費を削減すべきだといった議論は、結局、区民犠牲押し付けの区政運営を許し、いっそう区民に我慢を押し付けることになるからです。
区が緊急財政対策と「行革」計画で、700項目に及ぶ185億円の区民生活カットを容赦なく進めることについて、「ここまで切り捨てるのか」との声が上がっています。施設使用料値上げの方針についても、「多くの区民の生きがいや楽しみを奪うものだ」など、疑問や反対の声が上がっています。介護などお年寄り施策はカット、子育て分野も保育料の値上げ計画など新たな負担が押し付けられる、大地震対策も求められている水準に達していないなど、区の財政対策・行革方針で区民は我慢の強いられっぱなしです。ここで、議員定数を削減による「経費カット」となれば、結局、区民生活向けの経費の際限のない引き下げへとつながってしまいます。
そもそも、これまでの目黒区政は、都立大跡地の開発や総合庁舎移転のために基金を大幅に取り崩し、駅前再開発事業や都市計画事業などを優先的に進める区政運営を続け、その財源づくりのために「行革」計画による区民向け経費のカットを続けてきました。区当局は、そうした区政への反省はありません。
昨年度決算は、区税収入で約4億3千万円増収になるなど、歳入は予算比で約2%増、黒字額は前年度比5割増と財政は悪化しているわけではありません。23区の平均にまで基金を上積みしたとして何に使うのか、また、計画されている駅前の整備計画の費用がどれくらいかかるかもわからず、緊急財政対策や行革計画の可否についても、区と議会との間でこれからも議論していかなければなりません。
緊急財政対策や行革計画を鵜呑みにして議員の定数を削減すべきではありません。経費削減という観点からみれば、いったい、何人の議員を減らせば経費削減といえ、財政確保といえるのか、その基準は定めようがありません。結局、際限のない議員定数の削減につながってしまうのではないでしょうか。
以上、反対の理由を述べました。私たちの立場は、都道府県議会制度研究会の報告でも指摘されています。読み上げると、
「議会は地域における政治の機関であり行政体制の一部ではない。したがって、議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない。議員定数は、議会の審議能力、住民意志の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な定数の一律削減論は適当ではない。また、競って定数削減を行うことは、地域における少数意見を排除することになりかねない点にも留意すべきである」という指摘です。的を射たものではないでしょうか。
最後に、「議員が多すぎる、減らすべきだ」「議員が議会で何をしているのかよくわからない」などとの声は私たちも耳にします。このことをどう見るかという点です。
その背景には、国民・区民の政治不信があります。政党や議員が平然と公約を破ったり、国民不在で繰り返し行われる党利党略の離合集散、不透明な収支報告など、国民や区民の政治家に対する根深い不信があることは明らかです。議会の多数を握る勢力が、区民生活よりも区民に犠牲を押し付ける方針を次々に通してしまう現状も不信を招く原因でもあります。
議員にとって求められていることは、区民の負託を受け、目黒区から報酬が支給されて活動しているわれわれが襟を正して、研鑽を積み、施策を提案できる力量を持ち、区政を区民の立場でチェックできる目を養い、審議能力を高める努力することではないでしょうか。
現在、国でも地方でも目黒区でも、行革による人件費削減を理由に公務員の削減が進められています。しかし、国民・住民の医療・福祉・子育てを支えるためにも、大地震や水害などから住民のいのちと財産を守るためにも、公務員は確保すべきです。同様に、区民の代表である議員が、区民と力を合わせて福祉、子育て施策、防災など、あらゆる分野で果たさなければならない役割はたくさんあります。それが憲法の地方自治の原則を推し進める力になると確信しています。
以上、反対討論とします。