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平成22年度目黒区一般会計決算の反対討論を石川恭子区議が行いました。

        2010年度決算反対討論
                                                          9月30日

 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第41号、平成22年度目黒区一般会計決算の認定に反対する立場から討論を行います。
 年金・医療など社会保障の切捨ての中で「自民党政治を変えてほしい」という国民の期待の下、民主党政権が誕生し2年が経過。しかし掲げたマニフェスト、後期高齢者医療制度の廃止や労働者派遣法の見直しなど後方に押いやり、さらに国民の生活を切り捨てる政治を進めています。
 リーマンショック以降、大企業の利益が回復する一方で、日本経済の「根幹」である中小企業は依然として深刻な状況です。国民の暮らしは厳しさを増し賃金の下落傾向に歯止めがかからず、「民間給与実態調査」では、97年から12年間で総額30兆円、年収で平均61万円も減少しました。「労働経済白書」は、「平均賃金の低下や格差の拡大により、所得、消費の成長力が損なわれ、内需停滞の一因になった」と分析しています。
 大企業を中心とした猛烈なリストラがすすみ、2008年から2010年の間で、177万人の人員削減が行われました。
 失業しても7割が失業給付を受けることができず、この年生活保護世帯は過去最高の141万世帯にのぼり、子どもの貧困率は15.7%になりました。
 目黒区でも同様に、中小零細業者の景況は部分的な改善はあっても悪化の事態は続き、ワークサポート目黒への就職相談件数は2万3千件を超しました。就職できたのはわずか495件です。生活保護世帯は前年を上回り2129世帯となり、厳しい雇用の実態を反映し15歳から64歳の保護世帯が12.8%も占めます。家計状況は子どもの生活にも影響を与え、就学援助の受給率は、減少していた小学校も引きあがり、中学校では17.52%にもなりました。
 この年、区に最も求められたのは国の流れにくみすることなく、地域経済の発展を図り区民の暮らしを守るために頑張ることでした。
 反対の第1の理由は、緊急財政対策で区民の暮らしを支える立場を投げ出したことです。
 当初予算や暮らしサポート22では、中小企業支援や子育て支援など盛り込まれ、厳しい暮らしへの配慮や、住民の要望や運動の成果が一定反映されました。
ところが秋には、区は「前年度の100億円の歳入減や経常収支比率の悪化によって、3カ年の歳入見通しでは、基金を投入しても不足が生じる。財源確保のためには、歳出削減しかない」として、区民犠牲の緊急財政対策、コストの削減・歳出の抑制を打ち出しました。
 住民も議会も不在の密室の中でつくられた緊急財政対策は、実施計画の17事業を含め36事業の見直しを行い、特別養護老人ホームの建設の延期、東山小学校・碑文谷体育館の改築の延期、箱根保養所の廃止など提示しました。
 目黒の特養ホーム建設の延期は、他区が次々と特養ホームの増設をする中で、対策のないまも1000人近くの待機者を待たせ、日々過重な介護の負担に疲れる家族を放置するものです。
 東日本大震災の経験から、学校や体育館は教育施設にとどまらず災害時の避難所として大きな役割を果たすことが改めて明らかになりました。東山小学校・碑文谷体育館の改築の延期は、区民の命と暮らしを守る区としての責任を果たすものではありません。
 緊急財政対策は、実施計画の変更や条例の廃止を伴うにもかかわらず、パブリックコメントは行いませんでした。これはパブリックコメント要綱に反するものであり、基本構想の 一つである住民自治の確立にも反します。
 緊急財政対策は区民の暮らしを支えるためどころか、新たな犠牲を区民に強いるものです。
 反対の第2の理由は、国の構造改革路線による、職員定数削減や民営化など行革計画を推し進めてきたことです。経費削減の民営化によって、区民へのサービスの低下と公的現場での非正規雇用を増やし、区民からは反対の声が起こっています。
 1つは保育園の給食の委託です。
 委託した自治体では、給食の質の低下や偽装請負など問題が指摘されている中で、関係者の声を無視し民営化に向けた準備が進められました。委託業者の職員採用がなかなか決まらず大変なスタートとなりました。
 2つ目は、保護者の「民営化はしないで」の声を聞くことなく、旧6中跡地の学童保育・児童館の民営化でした。また中根学童保育では、民設民営を推し進めようとしましたが、民設では確保することができず矛盾が露呈しました。
 3つ目は、からすもり・ふどう幼稚園の住民不在の廃園決定です。
 行革計画にもなかった2園の廃園方針は突然示され、保護者の強い要望で開催された説明会は、発言時間は30分間と短いものでした。保護者などから、廃園反対の陳情が多数提出され議会は子ども連れの保護者でいっぱいとなりました。しかし、陳情審査が行われる前に、政策決定会議は廃園方針を決定し、区民の意見募集の締め切りさえ待たずに、幼稚園廃止条例案を提案したのです。廃止条例は、自民・民主・公明党などの賛成で可決されました。こうした区民不在のやり方は、許されざる行為で、区への不信感を募らせるものとなりました。
 4つ目は、芸術文化・スポーツ行政の区長部局への移行です。
 芸術文化・スポーツ部門を含む社会教育は、憲法、教育基本法、社会教育法で保障され、行政から独立していることが大前提で、区長部局への移行はこの原則とは相いれません。
 5つ目は、正規職員の大幅な削減です。これに伴い委託による非正規雇用の拡大が進みました。東日本震災は、自治体職員の重要な役割を再認識することとなりましたが、職員の削減は、自治体職員としての専門性の蓄積が損なわれやがては行政を空洞化させることにつながります。
 反対の第3の理由は、区民の暮らしや健康を支えなければならない医療と介護の問題です。
 医療では、自営業者などが加入する国民健康保険は、保険料滞納世帯が22%14000世帯になりました。滞納世帯への短期証の留め置きは昨年7月には、1786件にも上ります。こうした事態は、区民の命を守る責任を持つ地方自治体としてやってはならないことです。さらにこの年、国民健康保険料の賦課方式などに伴う大幅な保険料値上げの決定がされ、今年高い保険料は大問題になりました。
 介護では、年金生活で暮らす高齢者の実態を反映し、介護保険料の所得の低い第2段階をはじめ、第5、第6段階で滞納者が増えました。第5段階普通徴収、月額保険料4620円を支払うことができない人は27.75%、4人に1人となっています。来年介護保険料基準額は5000円を超すのではないかと予想されますが、区は保険料の引き下げのために国・都に働きかけると共に独自の手当てを取ることです。老老介護など深刻な事態が広がり、介護保険だけでは支えきれない介護を支えるために、日本共産党は区独自の介護ヘルパー派遣を提案し続けていますが、いまだに区は応えていません。国の社会保障制度の改悪が進む中で、区民の命に直結する医療と介護の充実は待ったなしで、背を向けていることは問題です。
 以上、反対理由を述べましたが、今決算特別委員会で、180億円の削減に対する審議で明らかになった点を幾つか述べます。
 ひとつは区民の財産である、JR跡地の売却です。
 JR跡地は、区が公的住宅など福祉目的のために区と都が64億円で購入した土地です。民間企業に売り払うことは、区が計画していた街づくりからも反するものです。区は特養ホームや認可保育園など施設整備の土地の確保が困難だと言っていながら、区有財産である土地を区民の反対を押し切って売却することは許されません。
 二つ目は、区立デイサービスの廃止です。廃止の理由を利用率の低下や民間事業者の活用を上げていますが、区立のデイサービスの質の高さと、区民に喜ばれ利用されている実態は明らかです。区は180億円削減では、高齢者や福祉は配慮したと言いながら、デイサービスの廃止をはじめ、おむつ代自己負担の導入など高齢者いじめは許されません。
 三つ目は、母子生活支援施設の廃止です。廃止は、社会的にも経済的にも最も弱い立場にある母子の日常生活を根底から脅かすもので、撤回すべきです。また、心身ともに極限状態で入所してくる母子に対し誓約書にサインをさせることは、早急に改善すべきです。こうしたやり方は、本来の施設の役割から反するものです。
 区民犠牲の姿が明らかになった決算議会ですが、青木区長がしきりに言う「選ばれる自治体」について指摘します。
 区長は今年の所信表明で、「都市間の競争時代」として独自の政策転換、他都市との差別化を図ることにより、「選ばれる自治体」となって他都市から住民を獲得していく都市の経営戦略について発言しています。かつて中目黒駅周辺の再開発を行った結果、外資系企業や高額所得者が目黒に流入する一方、地元の多くの商店や住民は追い出されました。結局区長の「選ばれる自治体」は、一部の大企業や高額所得者を呼び込むための施策で、地方自治体がまず第一に行わなければならない住民の「福祉の増進」という立場を曲げるものです。
 区民生活カットと負担増で180億円の財源を確保し、今後も中目黒駅、目黒駅、西小山駅と大規模な開発を進める区政を転換すべきです。
いまこそ区民の生活を支え、地元業者を活用し福祉や災害に強い街づくりを行うことです。日本共産党区議団は、そのために、東日本震災被災者への支援とあわせ奮闘することを表明し、議案第41号平成22年度一般会計の決算に認定に反対する討論を終わります。
                             
                                                                                                                                                         以上

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