日本共産党目黒区議団 > 党の政策 目次 > 党の政策 詳細

党の政策

▶ 一覧に戻る

2010年 第1回定例会代表質問

image
2月25日、第1回定例会の初日に行われた森美彦区議会議員の代表質問は、次の通りです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、区長の所信表明に対して代表質問をいたします。
 

第1は、区民生活の深刻化と緊急経済対策についてです。

 目黒区内の中小零細業者をめぐる経営環境は、中小企業センター相談員の話では、「昨年9月くらいから受注がさらに落ちていき、この2月は先が読めない状態になっている。ある町工場では、7割も売上が落ち従業員の給与を下げている。廃業が後を絶たない」と言います。南部地区のある金型技術者の話では、「大企業による下請け単価の買いたたきはひどい。時給にすれば300円にすぎない単価で仕事を注文してくる」と言います。区内業者団体の事務局の話では、「ぎりぎりの精神状態の人から相談がくる。軽はずみな受け答え一つで命にかかわる取り返しのつかない事態を招くかもしれないと気が抜けない」と言います。区内業者の実態は秋からさらに深刻化したことは明らかです。
 雇用や家計をめぐる状況も、地元スーパーの立ち話では「30代40代の誰々が解雇された」ということが話題になるような状況と聞きます。倒産・リストラなどで12月の完全失業者数は前年より50万人も増え過去最大の増加率を記録するとともに、12月の一時金の減少率は過去最大の落ち込みとなりました。このように、雇用や賃金の状況も深刻化しています。
 以上のような区民生活の深刻さを見れば、くらしを応援する施策の充実は、1年前よりいっそう求められているのではないでしょうか。
 そこで、その1は、暮らしサポート22についてです。
 暮らしサポート22の内容は、住宅リフォーム助成、路上生活者宿泊施設、応急福祉資金など充実されたものもありますが、深刻化する区民生活の状況から見ればたいへんに不十分です。
 一方、新年度予算編成の方針では、区税と特別区交付金の減収でたいへんだということを真っ先に打ち出し、全庁的に3%カットの指示を出しました。これによる区民生活への影響は見逃せません。いっそう深刻になっている家計や営業の実態及び支援すべき課題の集約を優先すべきではなかったでしょうか。
 「暮らしサポート」として緊急対策を打ち出すにあたって区長を本部長とする緊急経済対策本部を設置しましたが、十分にその機能を発揮すべきです。融資、税務、国保、生活福祉、介護、保育、住宅など暮らしや営業の実態にふれる所管から、区民生活の実態と支援すべき課題を報告するよう指示すべきであります。暮らしサポート22については、秋以降ますます深刻化してきた区民生活を十分反映させるべきではなかったか、おたずねします。
 

その2は、低所得者負担軽減策、とりわけ住民税減免策についてです。


 これまでの税制改正は、庶民増税として区民生活にたいへんな影響を与えてきました。その結果、住民税、国保料、保育料などの滞納世帯が増え続け、滞納率は、住民税26%、国保料26.8%にもなっています。住民税の増税が「雪だるま式」負担増につながることを考え合わせれば、低所得者への負担軽減策や支援策の強化は待ったなしの課題になっているのではないでしょうか。
 とりわけ、失業・廃業など急に所得を失うという状況に応じた住民税の減免制度が目黒区にも必要になっています。折角ある目黒区の減免規定が生かされない、PRも積極的でない、昨年のわが会派の一般質問以降もホームページの記述が改善されない、という状況が続いています。
 日本共産党区議団は、失業・廃業などで急に所得を失った場合にも活用できる尼崎市の住民税減免制度を視察してきました。尼崎市では、社会経済情勢の動向から所得制限を450万円に拡大し失業者の9割が減免対象になるよう設定しました。所得は前年の2分の1以下になれば減免の対象です。担税力の低下のみに着目し貯蓄要件も資産要件もありません。失業している事実が確認できれば、失業者は自主申告で減免を受けられます。PRも、行政サービスセンターに減免申請書を置くとともに、尼崎コールセンターのホームページには、失業・廃業も対象になることや、所得制限の金額まで詳しく掲載しています。減免実績は、2008年度に5800件以上あり、このうち半数は、失業・廃業が理由でした。
 目黒区における住民税の減免制度については、失業・廃業などで急に所得を失うという事態に適応した減免規定がありません。区税条例を変えなくても、区長が認める場合の規定を使って、規則で、失業・廃業なども対象にすることを明記すればすぐにでも実施できるのであります。
 目黒区においても住民税の減免制度については、失業・廃業など急な事情で困っている区民を含め区民生活の実態にあった支援ができるよう改善すべきではありませんか、おたずねします。
 

第2は、産業振興ビジョン改定についてです。

 区内中小業者の営業を守り、地域経済の活性化をめざして目黒区は、2000年中小企業振興条例を制定しました。
 これに基づく取り組みとして、翌2001年3月産業振興ビジョンが策定されました。
 第1次産業振興ビジョンには、4章から9章までに商業・商店街振興策、製造業振興策、建設業振興策など産業別振興策の具体化が必要であると盛り込まれました。翌2002年3月商店街振興プランが作られ2007年3月改定されましたが、製造業振興策や建設業振興策の具体化には至らないままです。先の見えない不安を抱える中小零細企業にとって区は自治体としての「展望を示してほしい」という声が渦巻いています。
 来年度に向けて改定作業が進められている第2次産業振興ビジョンは、3月には諮問した産業戦略会議から最終答申が出される予定です。ところが昨年3月出された「中間のまとめ」について聞く限りでは、第2次産業振興ビジョンは、観光産業ビジョンと商店街振興プランを包括したものだとし、第1次産業振興ビジョンにあった、製造業振興策や建設業振興策の独自の位置づけは見送られています。
 製造業や建設業が直面している経済危機を乗り切る上で、いま最も支援が必要なときであります。そのためにも目黒の建設業や製造業をいかに振興していくかというビジョンを持つ必要があるのではないでしょうか。地域の防災、介護のための住宅改修、福祉のまちづくりのためにたいへんに役立っているこうした産業の未来なくして目黒の防災、介護、福祉のまちづくりは困難です。建設業・町工場の灯を消してはなりません。
今国会でのわが党の質問に首相は「中小企業と大企業の格差を是正する必要がある」「下請け法の厳正な執行のための態勢を強化していきたい」と答え、「機械のリース代については…検討してみたい」と表明しました。
 産業振興ビジョンの改定にあたっては、不況の中で倒産や廃業に追い込まれようとしている製造業や建設業を守り育てていくために、家賃助成、機械のリース代補助など固定費にたいする直接支援を含む実効性のある具体策を盛り込んだ計画にすべきではないでしょうか。
 第3は、公の施設使用料値上げなどの「行革」についてです。
 

その1は、公の施設使用料値上げについてです。

これは、受益者負担原則に立って区民負担増を押し付けるものであり、ますます厳しくなる暮らしのもとで、高齢者や子育て世帯などへの影響が極めて大きく、実施すべきではありません。
 最も身近な住区会議室の場合、午前中の利用料が約4割、午後の利用料が約2割値上げされます。私の地元の東山住区センターでも午前中に多く手芸の会や囲碁の会などが行われていますが、今回最も値上げの影響を受けるのは、午前・午後の利用が比較的多い高齢者の団体です。こうした高齢者のみなさんに値上げの方針が出されていることを話すと本当に困惑した様子です。年金で暮らしている高齢者にこれ以上の負担増を押し付ければ、健康と生きがいのためにやっている趣味の楽しみを奪うことになりはしませんか。
 また、子育て世帯は、経済的支援を最も強く求めている世代です。親子リズムの会などの自主的サークルに集まって、子育ての悩みを語り合う場さえ奪いかねません。
区は、「公の施設使用料の見直し方針(改定案)」で、受益者負担の原則に基づき、維持管理経費の一部を利用者に負担してもらう。1998年以降据え置いてきたので維持管理経費と使用料に差がでてきたので縮めたいとしています。この値上げを行えば、区民生活への影響額は6100万円もの負担増となります。
 こうした「行革」方針案に対し多くの個人・団体から施設使用料の値上げに反対する意見が出されました。「30年余にわたって区と協働し、区民の消費生活向上のために活動してきた…受益者負担の観点で施設使用料を課せられては納得がいかない…不本意だ」とまさに怒りの声であります。区民・関係団体の意見を十分に聴くことが不可欠です。いま区がやろうとしている説明は、値上げの方針を決定してから、区民・団体に対し、理解を取り付けるための説明です。これでは区民が納得できないのも当然です。
区民・関係団体の意見を十分聞いた上で再検討すべきであります。見解を伺います。
 

その2は、芸術文化・スポーツ行政の区長部局への移行についてです。

 芸術文化・スポーツ行政は、区民の教育権を保障する立場から教育委員会の所管になっていたのであり、区長部局への移行は、社会教育権保障の観点からみた多くの問題があります。
 すべての国民は、生存権的基本権として学習によって成長発達する権利があります。国民は学習権を実現させるために国・行政にたいして積極的条件整備を要求することができ、これによって「教育を受ける権利」が保障されています。また、社会教育法には、社会教育の定義として、体育及びレクリエーション活動を含むことを明記しています。
 芸術文化・スポーツ行政の区長部局への移行については、社会教育法における社会教育及び社会体育事業を、教育委員会の職務権限からほぼ丸ごと外すということであり、これを区長部局の主導で行うことは、自主性・自発性が本質とされてきた社会教育行政の独立性を損ないかねないものです。
 さらに、社会教育団体、社会体育団体など、芸術文化・スポーツ団体の育成はどこが責任をもつかという問題もあります。体育館に続き社会教育館まで民営化しようとしていますが、社会教育行政の原点に立ち返った再検討が求められています。自主性・自発性を前提とした公的責任が問われているのではないでしょうか。
 すでに移行した他区の調査においても、様々な課題があることがわかります。「文化財の保護に関する事務が、法律上、区長部局で管理・執行ができないため、区として文化事業の一元化を図ることができない」「体育館等の学校施設の利用に関する権限などが教育委員会にあるため…区長部局との調整を要する場合がある」など移行後の課題が出されています。
 国民の社会教育権保障の観点から十分な区民的な議論を経ないで、組織再編という内部的な課題として処理するのは重大な禍根を残しかねません。
 区民・関係団体の意見を十分に聴いた上で再検討すべきではないか、おたずねします。
 

第4は、区の財政基盤の強化についてです。

 今後の「地方分権改革」の課題は、「三位一体」改革によって大きく後退した地方財源の充実・回復をはかることです。しかし、この間の新政権の動きをみると、期待するような地方財政強化は打ち出されていません。都区制度は「地域主権推進一括法」後、本格的な検討に入ります。いまこそ、23区の自治権拡充にふさわしい税財政制度が求められています。
 都区のあり方検討委員会での重要な課題となっているのが税財政制度をどうするかです。とりわけ、都区財政調整制度は、23区の財政基盤強化にとって不可欠です。住民の暮らし福祉を守る上でますます重要な財源となっているからです。
一方、東京都は配分率の協議で、大都市事務の中に、大型箱ものや大規模都市計画関連事業を主張した経緯があります。実際、東京都新年度予算は投資的経費が肥大化しています。
 こうした中で、区民の暮らしや福祉に係る財源を安定的に確保するためには基準財政需要額の算定引き上げが必要です。例えば、払いたくても高くて払えない国保料問題をみても、国保料の算定・測定単位は、2000年以来ずっと上がっていません。これを引き上げることが重要です。国保料や高齢者等医療費助成、介護関連の測定単位の拡充など医療保障や福祉保障の行政需要に対応した算定に改善せよと主張すべきです。
 国においては、調整3税のうち固定資産税を吸い上げようとする動きさえあります。「財調制度」を解体されてはなりません。また、都区関係にあっては、これまで、区側の配分率57%の主張は都の強引なやり方で55%に抑えつけられてきた経緯もあります。
 こうした状況にあって、23区の統一性を保ちながらの改善運動は区長会が区民の暮らしを守る立場から責任を持って進めるべきであります。国保料の基準財政需要額算定を引き上げるなど暮らしを守る算定項目を拡充するとともに、都に対する区の配分率を大幅に引き上げるよう区長会として都に働きかけるべきではないか、見解を求めます。
 

第5は、中目黒駅周辺地区整備構想の改定についてです。


 中目黒駅周辺地区整備構想は、1988年に作られたバブル期の計画です。このときに再開発推進地区に指定された東横線の南側、上目黒2丁目再開発と上目黒1丁目再開発がそれぞれ、100億円、88億円の巨額な税金投入によって推進されました。
 そして、いま、東横線の北側地域一帯の動きが強まってきたという経過です。東横線の北側地域一帯は、東京都の計画では都市再生プロジェクトの再開発誘導地区に指定されています。また、一昨年は、先行まちづくりプロジェクトに指定されましたが、こうした計画は、区民にとっては寝耳に水、決して住民主導で決められたものではありません。
 目黒区都市計画マスタープランは、東京都の計画との整合性を取る、としていますが、住民の立場からは、知らないうちにつくられた計画を押し付けないでほしい、という人が多くいます
 区は、1988年の構想を改定するという目的で懇談会を立ち上げ、これまで3回開催されましたが、その中でも、「今住んでいる人が追い出されるようなコンクリート優先の開発はよくない」という意見が出されています。実際、上目黒2丁目再開発は、住民・商店のほとんどが転出しました。上目黒1丁目再開発は100%合意を目指すと言いながら、実際には地権者68人のうち14人の合意がないまま組合設立を推進しました。また、公共施設・まちづくり調査特別委員会でも「再開発手法の押し付けはしない」と答弁してきました。
 中間のまとめを3月にだすこと自体拙速であります。出すときには懇談会で出された住民の意見を忠実に反映させることは当然のことです。
 長年住み慣れた町を出て行った多くの住民がいることを忘れてはなりません。住民合意のまちづくりが大前提です。住民合意に基づかない計画はやめるべきではないか。区長の見解を求め、檀上からの質問を終わります

このページの先頭へ ▲