日本共産党目黒区議団 > 党の政策 目次 > 党の政策 詳細

党の政策

▶ 一覧に戻る

「行革計画」改定素案に対する意見書を提出

目黒区行革計画(行動計画)改定素案についての意見書
                      
                            2009年11月30日
                             日本共産党目黒区議団
 行革計画(行動計画)改定素案が示されました。しかし、この改定素案は、国の「構造改革」路線言いなりの経費削減・民営化中心のものとなっています。
区はこれまでにも行革を行ってきましたが、その問題点を指摘します。
第一は区立施設の民営化を推し進めてきたことです。
「効率化とサービスの向上」を掲げ、高齢者や障害者施設、保育園や体育館など91施設に指定管理者制度導入による民営化と、学校給食や学校警備などの委託化を進めてきました。
効率化による経費の削減は人件費を大幅に削減し、特養ホームでは深刻な事態に陥りました。正規職員を賃金の安い契約社員などに変えた結果、低賃金と福祉現場の厳しい労働の中で、職員が次々と退職し欠員が埋まらない状況となりました。そのため、利用者の着替えもままならないなど、サービスの質を確保するのも困難になりました。
また、初めて公設民営となった保育園では、初年度に栄養士を含む7人が退職する事態となり、区は対応に迫られました。
保育園や福祉施設においては、職員の定着が質の向上を担保すると言われていますが、民営化は不安定雇用をもたらし全く逆行するものです。
先日、指定管理となっている勤労福祉会館のアーチェリー練習場で、死亡事故が起きましたが、あらためて、公の施設の管理のあり方が問われています。
民営化は、経費削減と職員削減以外のなにものでもなく、現場で働く職員の犠牲の下で公共サービスが成り立っているのです。効率化を追求しこのまま進めば、サービスの向上どころか低下につながり、住民の福祉を大きく後退させるものです。
第二は補助金の削減・廃止と受益者負担の公平性の下での区民への負担増です。
格差と貧困が拡大される下で、生業資金の貸し付けの廃止や生活保護世帯への見舞金の廃止、心身障害者福祉手当の減額、高齢者福祉電話代補助の廃止など福祉の切り捨てを行いました。生活保護世帯への見舞金の廃止は、せめて冬場暖かい下着を購入しようとしていたささやかな願いさえつみ取るもので、生活困窮者への冷たい仕打ちとなりました。
また、子育て支援の拡充が求められている下で、保護者の負担となる学童保育クラブ保育料の導入を行いました。さらに、公の施設の駐車場の有料化など区民への負担増を強いてきました。しかし、その一方で、中目黒駅前再開発や大橋周辺再開発など再開発には、行政改革として一つも手をつけませんでした。
 
この間、国の財界・大企業中心の「構造改革」路線は、雇用の破壊、社会保障制度の改悪など格差と貧困を拡大し、国民のくらしを苦しめてきました。区は、この改革路線の下で、2004年度から5年間、経費削減と職員削減を最優先に取り組んできました。財政状況が厳しいといっていた期間ですが、バブル期を超える区税収入と特別区交付金で財政計画よりも400億円以上も増収となりました。
今、区民のくらしは、昨年からの急激な経済悪化のもとで、中小業者の仕事激減や資金繰りの困難、若者の就労問題など厳しさは深刻となっています。このまま従来の行革を進めていけば、区民のくらしと福祉をますます切り捨てるものとなります。
先の総選挙では、国民は「構造改革」を推し進めてきた自公政治に審判を下し政治の転換を求めました。
目黒区に求められているのは「構造改革」路線に基づく行革計画を改め、自治体本来の役割「住民の福祉」の立場にたち、格差と貧困の拡大と、経済悪化の下で苦しむ区民のくらしを支えることです。
以下行革計画(行動計画)改定素案について問題点を指摘します。
1、保育園、障害者施設、社会教育館へのさらなる指定管理者制度の導入はやめること。
  「行政サービスの委託などを進めるにあたっては、サービス水準の維持・向上や
安全性の確保など、行政としての責任が果たせるように、委託業務等について適切な点検・評価が行えるようにしていく必要がある」と記されていますが、民営化による問題点はすでに明らかになっています。指定管理者制度導入による影響を抜本的に総括し、これ以上の指定管理者制度の拡大をやめること。
2、児童館の民間委託は行わないこと。
指定管理者制度導入に向けた、児童館の業務委託は行わないこと。
3、保育園の調理業務の民間委託を撤回すること。
 目黒区の保育園給食は、安全で質の高い全国でも誇れるものです。離乳食やアレルギー食については、一人一人の状況を把握し個別にあった調理をし、アレルギー食では、調理する鍋を区別するなど細心の注意の下でつくられています。その給食の大きな要となっているのが栄養士、看護士、調理師、保育士四者の密な話し合いです。しかし委託では、調理師と話し合うことは偽装請負となり、栄養士や看護士などが、直接調理師に指示することもできません。これでは乳幼児の成長発達を担う給食はつくれません。委託計画をやめ引き続き直営で行っていくこと。
 
4、めぐろ区報編集の民間委託は行わないこと。
   自治体の役割は「住民の福祉の増進」です。当然区報も、その視点に立ち行政の責任の下で、区民の利益を最優先に情報発信を行うものです。利益を追求する企業広報と一体となった編集は相容れず、編集業務の委託は行わないこと。
5、試験検査業務の委託は行わないこと。
検査業務の委託では、区民の緊急な食品の安全や健康などのための調査に対応することができなくなり、保健・健康の危機管理を後退させるものです。検査業務の委託は行わないこと。
6、学校警備の機械化の促進はやめること。
7、老人いこいの家の非常勤職員はやめること。
 老人いこいの家の管理運営は職員一人で行われています。準デーサービスなど多様な業務をこなしており、非常勤化では十分な対応はできなくなります。非常勤職員は止めること。
8、学校・保育園の用務、学童擁護の業務への非常勤職員はやめること。
学校・保育園の用務職員や学童擁護の業務は、一般的な用務だけにとどまらず子
どもの様々な行事にも参加し、職員としての役割と子どもとの関わりも担っています。非常勤化をやめ正規職員とすること。
9、地区サービス事務所窓口職員の非常勤化は行わないこと。
地区サービス事務所は、地域の中にあり区民にもっとも密着した支援の窓口です。その役割に担った体制をつくり、職員の非常勤化は行わないこと。
10、 認証保育園など認可外保育園に対する保育料補助を引き続き継続すること。
    緊急経済対策として、認証保育園などの認可外保育園に対する保育料の補助の拡大をしました。今年度で中止することなく引き続き継続すること。
11、 区施設の使用料の値上げは行わないこと。
   この10年あまり、景気が悪いという理由で施設使用料の値上げは行ってきませんでした。現在、区民のくらしがさらに厳しくなっている中で、使用料の値上げを行えば区民の自主的活動や住民自治を狭めるものとなります。使用料の値上げは行わないこと。
12、 保育料の値上げは行わないこと。
   子育て層の一番の悩みは、子育てにお金がかかることです。経済悪化の下で、不安定雇用が拡大し、若い子育て層の経済的な不安はますます大きくなっています。子育て支援の拡充が求められている中で、公平性の名の下でさらなる負担を強いる認可保育園の保育料の値上げは行わないこと。
13、 区立中学校の統廃合は行わないこと。
   学校規模の適正化の下で、各学年3クラス以上なければ活力ある学習ができないと統廃合を行うとするものですが、活力ある学習の根拠は示されていません。統廃合は、一クラスの人数を限りなく40人に近づけ、少人数学級が主流となっている中で逆行するものです。さらに学校区域を拡大し、学校と地域の関わりを希薄にしています。学校の統廃合は行わないこと。
14、 シンクタンクの創設は中止すること。
    23区の中で自治体シンクタンクがつくられている一方、全国で廃止も相次いでいます。区の企画行政を充実させ、専門家の援助が必要なときは従来のように課題ごとに対応することです。安易なシンクタンク導入は行わないこと。
15、 スポーツ・芸術分野の区長部局への組織変更は行わないこと。
    スポーツ・芸術分野を教育委員会部局から区長部局へ移そうとしていますが、内容については明らかにされていません。組織の改変については、住民や議会に知らせ検討については住民参加の下で行うこと。
15、 職員削減計画を見直しすること。
   この5年間行革の下で、職員の削減は目標を超え282人になっており、その削減はもっとも区民のくらしに密着した福祉や教育、子育て分野となっています。本来自治体の役割である「住民の福祉の増進」を実現するためには、正規職員は重要です。くらしや福祉を大きく後退させる削減計画は止めること。
                  
                                    以上


このページの先頭へ ▲