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党の政策

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2009年 第一回定例会の代表質問

 2月26日、第1回定例会の初日に行われた森美彦区議会議員の代表質問は、次の通りです。
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 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、区長の所信表明に対して代表質問をいたします。

「構造改革」路線について

 第1は、貧困と格差を拡大させてきた「構造改革」路線について区長の基本的認識をおたずねします。
 いま、日本経済と国民生活は、空前の危機的事態にみまわれています。
昨年10―12月期のGDPは、年率換算で12・7%という34年ぶりの大幅マイナスとなりました。株価も大暴落しています。
 10年連続して3万人を超す世界有数の自殺者、年収200万円にも達しない1000万人を超えるワーキングプア、今後万単位で増加が懸念されるホームレス、3月末にかけて製造業だけでも40万人と言われる失業者、ますます深刻化する倒産・・・今、目の前で噴き出している問題は、アメリカ発の金融危機という問題だけでなく、「構造改革」路線の結果として起こっているものであります。
 ここまで、危機的な事態を作り出してきた要因は3つ挙げられます。
 1つは、人間らしい労働のルールを破壊してしまったことです。労働法制の規制緩和によって、非正規労働者を急増させたことが、「派遣切り」「期間工切り」のような「高速首切り」を可能にする社会をつくってしまいました。それは雇用悪化と景気悪化の悪循環をつくりだし、日本の経済と社会の前途を危うくし、結局は、財界・大企業の前途をも危うくする事態をつくりだしているのであります。
 2つは、極端な「外需頼み」、とくにアメリカに依存する脆弱な経済をつくってしまったことです。大企業の「国際競争力」を強化せよ、強い企業が多くなればなるほど日本経済は強くなる――これが「構造改革」の名でおこなわれたことでした。その結果、一握りの輸出大企業は空前のもうけをあげましたが、勤労者の賃金は引き下げられ、非正規雇用への置き換えがすすみ、庶民増税と社会保障切り捨てが追い打ちをかけました。内需を犠牲にして、外需だけで稼ぐ。このゆがんだ路線をつづけた結果、日本経済も個々の大企業も、強くなるどころか、外的ショックにきわめて脆弱な体質となってしまいました。その脆さが、景気の墜落につながりました。内需主導への転換がこれほど求められているときはありません。
 3つ目は、証券市場を「外資頼み」の投機的市場にしてしまったことであります。金融規制緩和路線によって、東京証券取引所の株式の売買の6〜7割は、アメリカを中心とする外国人投資家によるものとなり、そのほぼ半分はヘッジファンドといわれています。金融危機が起こると、ヘッジファンドは手持ちの株を投げ売りし、株の大暴落を引き起こしました。日本経済と国民生活に甚大な打撃を与えています。 
 このように、「新自由主義」の経済政策を極端にまですすめ、「外需頼み」「外資頼み」という経済・市場構造をつくってしまったことによるゆがみと脆さが、景気悪化を前例のない急速なものとし、国民生活と日本経済に未曽有の困難をもたらしているのであります。
 こうした「構造改革」にたいして、青木区長は、2007年3月議会で「構造改革そのものの必要性や大きな方向性は間違っていない」と答弁し、昨年9月議会でも、年金・医療・介護などの社会保障構造改革について、「将来にわたり持続可能な社会とするために避けて通れないのもの」であると、積極的な支持を表明してきました。また、自らも区政の場にあって、非課税ひとり暮らし高齢者への福祉電話代助成の廃止や就学援助の対象縮小など、「追い討ち」をかけるような福祉の削減を行うとともに、区立の特養ホームや保育園に指定管理者制度を導入するなど、民営化路線を突き進んできました。
 さて、いま、こうした「構造改革」路線に対し、これまで推進の立場に立ってきた著名な経済学者の間からも、「『貧困率』の急激な上昇は日本社会に様々な歪みをもたらした」と述べるなど、「構造改革」そのものが間違いだったという反省が広がっています。
「構造改革」路線に対し、区長は、所信表明では一言もふれていませんが、今日の状況の中で、どのように考えているのか、あたらめておたずねします。

緊急経済対策について

 第2は、区民のくらしと緊急経済対策についてです。
不況の嵐は、地域経済を直撃しています。区内の零細な町工場では、1月に入ってぱたっと仕事が来なくなったと言います。自動車関連部品の製造業は、売上が5割から7割も減っています。建設業では、「1月は5日しか仕事が来なかった。従業員は気がかりだがもう廃業するしかない」と嘆いていました。資金繰りは12月から落ち込み、1月以降さらにきびしいと言います。この先行きの見えない状態がいつまで続くのか不安が広がっています。
 こうした営業や雇用の厳しさを反映して、区民生活の実態はさらに深刻化するばかりです。生活保護世帯は、12月23区全体で38%増加したと報道されました。目黒区での生活保護などの相談件数は3割以上増加し、来庁するホームレスの人たちは、昨年毎月600人台前半で推移していましたが、1月はとうとう714人と最高を記録しました。払いたくても高くて払えない国保料は、低所得世帯で滞納は3割に上り、とりわけ25歳から30歳の若い層では35%にも上っています。介護保険料、住民税、保育料などの滞納も低所得世帯ほど増えています。
 急増する貧困層に加え、職と住まいを失った人の雇用の確保、生活・住宅・医療などの支援は待ったなしの課題です。
 こうした中で、区長は、自らを本部長とする緊急経済対策本部を設置し対策を打ち出しましたが、その中身は切実な要求に十分応えたものにはなっていません。とりわけ、雇用対策及びくらし支援策はたいへん不十分です。区民の実態をしっかり把握し、必要に応じてさらに拡充するために、以下2点おたずねします。
 その1は、国や都の緊急対策も十分活用しいっそうの緊急経済対策を推進することについてです。 
 区は、緊急経済対策の生活者に対する支援策のうち、低所得者への支援策は、3つだけで、そのうち2つは継続です。新規は、認証保育所の保育料助成の拡大のみです。暮らしサポート21の第2弾でも路上生活者等に関わる宿泊施設の確保と臨時職員の雇用7人程度にとどまっています。
 目黒区では部長以上の対策本部会議で当初は決定したにしても、今後は、どうしたら区民生活を守れるのか、区民と直に接している最前線の職員の意見を本部に集中する体制を築く必要があります。
 品川区では、1月臨時議会を開催し、緊急対策を補正予算で通し、1月から本格的な景気対策を打ち出しました。足立区では100億円規模、板橋区では200億円規模での緊急経済対策を構えていますが、2年から3年を見通した経済対策を打ち出しています。
雇用対策でも他区の工夫が大いに参考になります。雇用の創出と合わせて将来の介護人材の確保を図る点は特に学ぶきものがあります。
 品川区では、新年度1000人以上の雇用創出事業をうちだしましたが、6か月以上雇用する介護サービス事業所に1人当たり100万円を助成し、加えて、ホームヘルパー2級の資格を取得させるための費用として1人当たり10万円を補助します。世田谷区でも介護等の資格取得費用を助成します。
 国の「トライアル雇用制度」は、企業が3ヵ月間試行採用する間に研修を受けながら働く制度で、試行採用した企業に国から月4万円の補助がでます。都は、50万人の雇用創出をめざし、ヘルパー2級取得の受講料10万円を全額助成し、資格を取った人を正規採用した企業や介護施設に1人60万円の助成金を支給します。
 こうした国や都の制度も十分活用し、雇用だけでなく、暮らしや営業を含むいっそうの緊急経済対策を実施すべきと考えますがどうかおたずねします。

負担増やめよ

 その2は、負担増抑制の対応についてです。
 いま、区民が行政に強く求めているくらしの支援策は、経済的な負担をこれ以上押し付けないでほしい、軽減してほしいということです。この間、税制改革の影響で、所得が減っているのに非課税から課税になった区民は、4300人とされています。こうした区民の負担は、国保料をはじめ雪だるま式に増え、貧しい家計を圧迫し続けてきました。一定の経過措置がありましたが、これから次々に終了時を迎えます。
 都営住宅に居住し厚生年金月15万円余りの高齢者が、経過措置のすべてが終了すると年32万円もの負担増になることが明らかになっています。この物価高と不況下で、家計が大ピンチのときに、経過措置終了に伴う負担増が、次々に押し寄せるのではたまりません。
 国保料、学童保育料、区営住宅家賃など負担増に対する経過措置がとられてきたものについては、緊急経済対策第3弾などとして、あらためて負担増抑制の対応をすべきではありませんか。
 また、「行革計画」の中にある保育料や住区センターをはじめとする施設使用料など各種料金の引き上げはやめるべきと考えますがどうか、おたずねします。

福祉で目黒のまちおこしを

 第3は、「福祉で目黒のまちおこしを」についてです。
 緊急経済対策として、今直ちにくらしを守るために打つべき手を打つとともに、「構造改革」の下で疲れきっている地域経済や地域福祉に息吹を吹き込み、「住み続けられるまち目黒」をどのようにつくっていくのかは、たいへん重要な課題です。
 日々の暮らしの中で、介護、医療、福祉の充実は、暮らしの安心を築くだけでなく、関連の雇用を創出し、さらには、景気対策としても極めて効果的です。ソフト・ハード両面にわたる社会保障関連の経済波及効果は、再開発など都市計画関連の経済波及効果よりも格段に上回っていることは、奈良女子大中山徹准教授の試算などでも明らかにされているところです。
 例えば、認知症高齢者グループホームの整備は、利用者と家族の安心はもとより、区内建設業者の仕事確保、グループホーム職員の雇用などを総合的な経済効果を創出します。今、なかなか整備が進まない小規模多機能型居宅介護施設を、行政の手で整備すれば、同様の効果が得られます。区立保育園など児童福祉施設の増設も同じように、内需の拡大と地域経済の循環をつくりだします。また、「福祉のまちづくり」をとってみても、歩道の段差解消だけでなくお店の中にも高齢者・障害者が安心して買い物や食事ができるようにするなど、バリアフリー商店街をつくり上げれば、福祉と商店街振興が一体となった施策として同様の経済波及効果が生まれることは明らかです。
 こうした介護や福祉関連を中心とした財政出動こそ、これからの新しい経済発展と内需拡大にとって最も効果のある財政の使い方です。また、このような福祉を中心とした地域経済循環こそ、将来の着実な税収にもつながるものです。
 住宅地を大きく抱える目黒らしい地域特性を生かした「福祉で目黒のまちおこしを」推進する考えはないか、青木区長におたずねして、壇上からの代表質問を終わります。

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