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沢井正代議員の9月議会一般質問 
高齢者医療費助成制度の創設、介護保険料の引き下げなど、くらしを守る政策を提案

 目黒区第3回定例区議会が9月3日から始まりました。初日の本会議において、沢井正代議員は一般質問で、社会保障の構造改革に対する区長の見解を質すとともに、高齢者医療費助成制度の創設、介護保険料の引き下げなど、くらしを守る政策の提案を行いました。
 質問の内容は以下のとおりです。
 私は日本共産党目黒区議会議員として区政一般について質問をいたします。
 まずはじめは、貧困と格差を拡大してきた「構造改革」と現在の物価の高騰から区民のくらしを守る問題です。
 福田首相が1日、突然の辞任を表明しました。1年以内に2人もの首相が政権を放棄する異常な事態です。小泉・安部政権が進めた「構造改革」が国民の貧困と格差を耐え難いまでに拡大し、国民の厳しい批判を浴びながら、福田首相は、なんら対策を講ずることもなく、ただ「構造改革」路線にしがみつくだけという態度をとり続けてきました。国民の六割以上から不信任を突きつけられた政権が続けられなくなるのは当然のことです。
7月に我が区議団が行った「区民のくらしアンケート」によると、8割を超える人が生活が苦しくなったと答え、その理由として諸物価の値上がり、住民税の増税、各種保険料の値上げ、医療費負担をあげるなど「構造改革」と物価高騰が生活の厳しさの原因となっています。
今こそ国民に痛みを押し付ける「構造改革」路線を転換し、国民の暮らしに軸足をおいた政治に替えることが求められています。
 区民生活を守るために以下の点についてお尋ねします。
その1は、社会保障「構造改革路」路線についてです。
 自民・公明政権は日本経団連などの求めに応じ、大企業には大幅な減税や社会保障の負担軽減を進めながら、国民には医療費の窓口負担増、年金支給の減額、診療報酬・介護報酬の大幅削減、介護サービスの抑制、障害者自立支援法による利用者の負担増、生活保護の老齢加算廃止を行うなど、2007年度までに国だけでも、1兆4000億円の削減を推し進めてきました。さらに2008年度は、生活保護の母子加算の削減や後期高齢者医療制度が強行されました。連続する社会保障削減に対し、日本看護協会は、「これ以上の社会保障の削減はもはや限界」「人命に直結する医療の安全に支障をきたす」という見解を示し、日本医師会も「朝日」「日経」新聞に、「日本医師会は国民の皆さんとともに社会保障費の年2200億円の削減に反対します」という見出しで全面広告が出だされました。日本医師会などがが、あらゆる社会保障切捨ての元凶となっている2200億円削減路線に反対と言い切ったことは、まさに画期的なことです。
目黒区内でも福祉関係者から「障害が重いほど負担が重くなる障害者自立支援法は、障害者福祉の理念から見てもおかしい、『公益負担』は廃止してほしい。」「介護サービスが実態に合わず、家族の共倒れがおきている」「介護職員の賃金が低くやめる人が後をたたない。」など、社会保障費の削減がもはや限界に来ていることをあらわしています。
 しかし政府は、今後も社会保障予算の抑制を継続するとし、今年6月27日に閣議決定された「骨太方針2008」では、国民の批判の前に「医師不足の対応、少子化対策、長寿医療制度の運用改善など重要課題に対しては、必要な取り組み」を行うとしながらも、社会保障費削減路線を堅持する立場を明確にしました。
 青木区長は、社会保障費の抑制路線によって行われた、医療・介護の削減に対し、持続可能な社会のためには必要だという見解を示していますが、絞った雑巾をさらに千切れるまで絞るような、社会保障費の毎年2200億円削減路線に対し、今こそ自治体から反対の声を上げるべきと思いますがどうかお尋ねします。
その2は、高齢者医療費助成制度の創設についてです。
 今高齢者は、年金課税の強化や老年者控除の廃止などによる増税に伴って保険料の大幅引き上げや、窓口負担の1割から3割への引き上げが行われ、お金がなければ安心して医療を受けることができない状況となっています。
70歳の女性は、糖尿病による慢性疾患などで、これまでは毎月6000円から7000円の医療費がかかっていましたが、3割負担になって、20000円近い負担になり、自分自身の年金の半分が医療費に消えているといいます。
またある男性は、72歳の妻が脳梗塞で寝たきりの状況で医療負担が増えているとき、3割負担の通知が区から届いたが3倍の負担はひどい。
 さらに4月から高齢者を差別する後期高齢者医療制度がスタートしましたが、国民の批判の前に、あわてた政府は、保険料の負担軽減策の追加などを決めました。しかし、対象となるのは全体の3割に過ぎず負担増を抜本的に解消するものにはなっていません。
 こうした中、高齢者の医療負担増の軽減を図るため、入院費補助が23区でも始まっています。
 新宿区では、後期高齢者を対象に、7日間以上入院した方を対象に入院期間に応じて1万円から3万円の「入院時負担軽減支援金」の支給を始めました。
中野区でも後期高齢者で低所得な方に対し、31日以上入院した場合2万円の入院時費用の助成制度をはじめています。
高齢者の医療負担を少しでも緩和させ、安心して医療が受けられるよう目黒区としても入院費補助を含め、高齢者に対する医療費助成制度を検討すべきと思いますがどうかお聞きします。
その3は来年度改定する介護保険料の引き下げについてです
 第3期介護保険事業計画は制度の大幅な見直しが行われ、保険料の引き上げとともに、同居家族のいる世帯の家事援助の制限や軽度者の介護サービス抑制が行われ、必要な介護が受けられない状況が生まれています。こうした利用抑制によって、介護保険制度が始まって以来はじめて、高齢者は増えているのに受給者が減るという事態が発生しています。目黒区においても介護認定者の出現率が2006年、2007年度とも減少し、介護保険事業計画における給付額に対する実績は約90%、30億円近く低くなりました。介護保険料は介護事業計画額によって算出されているわけですから区民は3年間高い保険料を支払わされたことになります。
 来期の保険料算定に当たっては、介護報酬の引き上げが保険料に影響するのではといわれていますが、さまざまな負担が増えている中、これ以上の負担を高齢者に押し付けることはできません。介護給付費準備基金の活用はもとより、一般財源も投入し、保険料を引き下げるべきと思います。また、介護保険創設によって国の負担は、これまでの2分の1から4分の1へと大幅に削減されました。国庫支出金の負担率を30%に引き上げるとともに、税制改正に伴う激変緩和措置を来年度以降も続けるよう国に要求すべきと思いますがどうかお尋ねします。
その4は物価高騰から区民のくらしと営業を守る問題です。
 総務省が8月29日発表した7月の全国消費者物価は昨年同月に比べ、4.2%と10ヶ月連続のプラスとなっています。とりわけ、日常生活に欠かせない電気・ガス・食料品が大幅な値上げになっています。こうした物価の上昇は、とりわけ低所得者に大きな打撃を与えています。第一生命経済研究のレポートによると、年収1500万円以上の高所得世帯では、生活必需品の購入割合が、37%にとどまるのに対して、年収200万円未満の低所得世帯では76%に達しています。
また、物価の高騰は、クリーニング、製麺、豆腐、パンを始め、ほとんどの業種で影響を深く受けています。受注の原材料があがって融資を受けたくても70歳を超えたら融資が受けられない。小額の融資があれば仕事が続けられるのになど、物価の高騰に伴った特別の融資が求められています。
また、障害者福祉作業所では、バター・小麦粉に加え、包装用袋の値上げなどが障害者の工賃を引き下げています。また、高齢者施設でも、給食食材費の値上げ、送迎車のガソリン代の値上げなどによって、施設運営にも大きな影響が出ています。区が少しでも援助してもらえれば助かる、など区の援助を求める声が広がっています。
物価の高騰に対し区として以下の対策を行うべきと思いますがお尋ねします。
アとして、物価高騰総合対策本部を設置して、産業経済課だけでなく各部局で、区民や事業者、福祉関係施設などでどのような影響が出ているのか、その実態を調査するとともに、具体的な緊急支援策を講じること。
イとして、制度融資をさらに活用しやすいものにするため、区の利息補助を引き上げ、無利子の物価高騰特別融資を行うとともに、区の直貸しによる小口融資制度を創設すること。
ウとして学校給食の食材費補助を行い、給食費の値上げを抑えること。
エとして、障害者、高齢者などの福祉施設に対し、物価高騰の影響を和らげるための特別補助を行うこと。
大きな2番目として、指定管理者制度の見直しについて質問します。
政府の進める「構造改革」路線のもとで、規制緩和と公務の市場化・縮小をいっそう促進する指定管理者制度が施行され、目黒区においても2006年4月から管理運営を委託していた91の施設で指定管理者制度が導入されました。
指定管理者制度導入の目的として、民間のノウハウを活用することによって利用者に満足度の高いサービスが提供されるとともに経費の効率的活用掲げられています。
しかし、91施設中民間の参入を可として公募した施設は48施設、実際に民間企業が参入したのは駐車場14、中小企業センターなど2施設にとどまり、しかもそうした施設で民間のノウハウが生かされサービスの向上につながったという実績は見られません。
一方人的サービスを主な仕事とする福祉施設はこれまで委託していた団体を指定管理者として指定する代わりに、大幅な経費削減が行われました。正規職員とほぼ同様の勤務ができしかも賃金が半分以下という契約社員の大量活用は、経費削減の打ち出の小槌のように言われましたが、低賃金による退職者が相次ぎ慢性的な人手不足を招き、専門性が低下するといった事態を生み出しています。指定管理者制度導入の目的のひとつとされたサービスの向上は後景に追いやられ、もっぱら経費削減のみが追求されたのです。
指定期間の問題でも、人的サービスを行う施設は5年間と当初の基本方針で決めながら、「21年度以降の各施設の指定管理者制度実施方針」では、社会福祉施設を指定期間を10年に改めました。その理由として、「質の高いサービスを安定的継続的に提供していくためには、直接処遇職員について優秀な人材確保と一定の育成期間が必要であり5年では短く、10年は必要である。」というものです。しかしこれによって将来にわたる安定性が確保されたわけではありません。継続性が重要な施設に期限を決めて民間との競争をさせる指定管理者制度を導入したこと自体、問題であったのです。
また、今後の導入について、当初の基本方針では「年次別推進プランの中で管理運営方法等を示している施設についても、指定管理者と比較し、よりよい管理運営方法を選択していきます」とされていながら、目黒保育園では、十分検討がなされないまま民間委託イコール指定管理者であるとして強引な実施が行われました。公立保育園の設置目的から見ても本来自治体が直営で行われるべきです。仮に委託するにしても慎重な対応が求められています。保育園を民間委託していたある自治体では、指定管理者への移行を検討した際、公立保育園における公的責任を明らかにし、質の確保や安定した人材確保の観点から、運営に十分関与できるようにと指定管理者ではなく、直営に戻して業務委託を選びました。23区中6区が業務委託を選択していることか見ても早計であったといわざるを得ません。
そのほか、住区住民会議以外の指定が困難で経費の効率化やサービスの向上といった裁量の範囲が極めて少ない住区センターに指定管理者を導入した問題や、複合施設に複数の指定管理者が導入されたことなど、本来、業務委託が適当な施設まで指定管理者を導入した問題。第三者評価に利用者の意見が十分反映していない問題など、来年度以降の実施方針を決めるにあたって整理すべき課題や問題が多数あったにもかかわらず、そうした総括もまったくなく指定方法や指定期間の一部見直しで、問題を先送りしてしまいました。
指定管理者制度について、以下の検討を行うべきと思いますが見解をお尋ねします。
第1に、特別養護老人ホームや障害者センターなど人的サービスを主な仕事とする福祉施設において、効率化を目的とする指定管理者制度そのものがサービス低下や施設の設置目的を損なうことになる。計画を見直し、直営に戻すこと。
第2に、高齢者センターなど複合施設における複数の指定管理者導入や住区センターなど不採算部門における指定管理者制度の問題点を整理し、直営に戻すことも含め見直しを行うこと。
第3に、あらためて、住民の福祉の増進という自治体の責務や、公的責任を堅持する立場で指定管理者制度を総括し、新たな導入は中止すること。
以上で私の一般質問を終わります。

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