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2007年度決算に対する反対討論 

2007年(平成19年)度決算に対する反対討論   
                            2008年9月30日 星見てい子

 私は、日本共産党目黒区議団を代表し、議案第57号、平成19年度目黒区一般会計歳出歳入決算の認定に反対の立場から討論を行います。     
 小泉内閣いらいの「構造改革」路線、大企業「成長戦略」路線によって、国民の生活は深刻になっています。この間、派遣、請負、期間契約社員、パートなど非正規雇用は、全労働者の3人に1人、若者や女性では2人に1人にまで広がりました。昨年、21年ぶりに、年収200万円にも満たない労働者が1000万人をこえ、政府の調査では、「生活が苦しい」という国民が6年連続で増え続け、57・2%にもなっています。また、小泉内閣から始まった社会保障費を毎年自然増分で2200億円抑制する路線は、介護保険法の改悪、応益負担を求める障害者自立支援法、4月からの後期高齢者医療制度など生活に重大な影響をもたらしています。

決算に反対する第一の理由は、この「構造改革」路線のもとで切実な区民要求に対応せず、格差と貧困の拡大に追い討ちをかけるように、区民生活の切捨てが行われたことです。
 目黒区でも住民税の所得階層を見ると、200万円以下の住民が約半数に上ります。2006年、2007年と立て続けに、所得税・住民税の定率減税が廃止され、三位一体改革で、それまで住民税が、5%だった低所得者も、13%だった高額所得者も、同じ10%になるという住民税フラット化が行われました。19年度の国民健康保険料は、この住民税増税による影響が2万人以上にも上るなど各種保険料などが雪だるま式の負担増になって生活を襲いました。  
こうした中で、少しでも負担を和らげるために区独自の住民税減税など低所得者対策を求めましたが、区は、まともに手を打つことはありませんでした。
また、昨年、介護保険法の改悪により、介護ベットが使えない事態が区内あちこちでおこりました。利用者の直接の訴えにも区は迅速に対応しようとしませんでした。また、同居家族がいる場合は家事援助サービスを制限するという介護保険法の改悪にもない規制が行われ、日中独居になる利用者は保険外で自費対応が迫られるなど「介護難民」の状況が区内でも生まれました。区民の実態を見ようとせず、青木区長は「介護は、介護の保険内で充分」と対策に乗り出そうとはしませんでした。昨年、区が創設した生活支援制度も家族が75歳以上で病気・障害がある場合に限定し、ガイドヘルプも一番問題になっていた病院内での付き添いは含まれていません。利用者も少なく実態にかみ合っていない制度になりました。
また高齢者の差別医療である後期高齢者医療制度に対して、区長が無批判に容認する態度を表明してきたことは、「廃止してほしい」との区民の願いに真っ向から反するものでした。
 こうした増税・負担増や社会保障制度の改悪のなか、昨年、秋からは、石油高が区民のくらし・営業に重大な影響を及ぼしてきましたが、その対策もまともに組まれることはありませんでした。それどころか、年7000円の生活保護世帯への見舞金を完全廃止し、月2000円の高齢者電話代の補助まで打ち切ってしまいました。区は「制度がなくなっても、個々に対応する」と答弁しましたが、こうした制度は、国の制度の不備を、区が独自に補っていたものでした。増税負担増、物価高でたいへんな中、援助をするどころか追い討ちをかけるがごとく切りすてたことは容認できません。

 反対する第2の理由は、区民の要求に応えていない子育てと教育行政の問題です。
 若者や女性の低所得と不安定雇用が増大するなか、雇用の安定策とともに働き続けながら安心して子育てができる環境を整備することがますます求められています。とりわけ保育園の待機児の解消は待ったなしの課題です。解決のためには公立保育園の増設こそ求められています。しかし、区は、この問題を保育園の民営化や認証保育園など、安上がりな保育にすり替えて進めようとしています。せっかく公立保育園を作っても、再開発ビル内で園庭もプールも避難スペースも確保できないような場所では、保育の質は保てません。待機児解消は、「行革」の経費削減路線からではなく、子どもたちの豊かな保育の質をどう作るのかを大事にした対策こそ必要です。
教育では、教育委員会が、長年、保護者からの強い要求である小人数学級に背を向けていることは重大です。生活指導でなぜ40人が良いのかを答えられなかった教育長は、「都が40人だから40人。都が変えればそうする」と答弁し、東京都に追随しているだけの姿勢が明らかになりました。学力テストと学校選択制で競争教育を進めるのではなく、子どもの現状や保護者・教育関係者の声にこたえた少人数学級への努力を真剣に行うべきです。また、食材の値上げが昨年から重大問題になっていたにもかかわらず、給食費値上げでこの負担を安易に保護者に押し付けた態度も容認できません。

 反対の第3の理由は、「行革」最優先の民営化で指定管理制度を検証なしで推し進めていることです。
 第二次行財政改革大綱は、住民サービスの向上を掲げながら、毎年平均十億円に上る区民サービスの予算の切り捨てを行ってきました。受益者負担や公平性の確保を名目に、これまで行った学童保育クラブの有料化、老人福祉手当の廃止、障害者福祉手当の縮小、区民センターなどの駐車場有料化、生業資金の貸付の廃止などに加えて、この年、さらに高齢者の電話代補助も廃止しました。どれ一つとっても区民の暮らしを犠牲にするものばかりです。
 また、2006年から指定管理者制度による施設の民営化が本格的に展開されました。指定管理者制度導入の目的に「住民サービスの向上と経費の効率的な活用」を掲げてはいますがたサービ、特別養護老人ホームで明らかなように、実際には民間との競争を前提にした経費節減が最優先され、人件費の大幅な削減で、個人の尊厳や人権を守ることを掲げて築き上げスレベルも低下しています。保育園の民営化に向けた協議の中でも、保育水準の維持さえ危うくすることが問題になりました。福祉など人的サービスが目的の施設では、職員の安定性や継続性がもっとも重要であり、効率と経費を優先し、民間と競走させるために期間を限定する指定管理者制度は相いれません。その他に施設でもさまざまな問題が起きています。これ以上の安易な拡大はやめるべきです。「行革」の民営化の手法として導入された指定管理制度の影響をさまざまな角度から検証し見直すべきです。

 第4の反対理由は、住民の声が反映しない行政運営が行われていることです。
 昨年、第2田道保育園の民営化が大きな問題になりました。保育の質が低下すると91%の保護者が反対し、再検討を求めていたにもかかわらず、区は、保護者との協議会での話し合いを一方的に打ち切りました。青木区長は「最終的には私が決める」と言い放ち、第2田道保育園の廃園を決め、民営化による新園を今年4月から強行にスタートさせました。民営化に不安をもった第2田道保育園の保護者の子どもたちは、1年目は新園に入れないというやり方も「見せしめだ」という声が住民から上がる状況です。
 また、昨年、保健福祉サービス事務所廃止の検討が、区民にも議会にも報告なく進められました。議会でたびたび「住民、議会に報告すべき」との質疑がされましたが、区は「庁内の組織改正であり、報告する段階ではない」と拒み続けました。結局、未だに住民の意見を聞くこともなく地域の保健福祉の拠点として充実が求められていた保健福祉サービス事務所を事実上廃止し、区民の総合相談を介護保険の高齢者総合相談を中心としたものに変質されようとしています。保健福祉サービス事務所の廃止を中止するとともに、行政の都合で、住民の意見を聞かずに進めている区政運営を直ちに改めるべきです。
 本来、2007年度はパブリックコメントの制度や行政計画づくりへの区民参加を保障する制度の確立を進める計画でしたが、これも置き去りにされました。このように地方自治体が最も重要な住民参加や住民自治をないがしろにすることは許されないことです。区政の主人公は、行政ではなく、区民です。

 第5の反対理由は、大企業奉仕のまちづくりが行われていることです。
目黒区では、中目黒での再開発事業などバブル型大型開発がいまだに続いている一方で、実施計画や予算を無視し、千代田生命ビルなど大企業の言いなりに無計画に不動産取得を行うなど異常な行政が続いてきました。しかし、青木区長は、その反省に立つどころか、さらに障害者や高齢者の福祉住宅を建設するために32億円で購入したJR跡地を、住民に何の説明もなく50年間も定期借地権で大企業に提供しようとしています。昨年、東京都と目黒区とコンサル会社が作った「プロゼェクト報告書」が、初めて開かれた住民説明会で住民に公表され、区の進め方や定期借地権に反対の声が多く上がったことは当然です。区民の財産であるJR跡地を定期借地権方式で大企業に提供する計画を白紙に戻し、住民参加で計画を作り直すべきです。

 最後に財政運営に触れます。区は、2004年に第2次「行財政改革大綱」を策定し、今後、191億円の財源不足が起きるとして、施策の廃止見直し、職員定数削減などの方針を打ち出しました。しかし計画当初から増収で黒字がつづき、2007年度も、前年度に引き続き一般会計で30億円を超える大きな黒字になりました。それにもかかわらず財政計画のみなおしも行わず、区民の切実な要求や施策を切りすてる第2次行革プランを進められことは問題です。歳入増で生まれた財政も、区民の暮らし支援には使われずに、46億3429万円も積立金にまわされた。
 積立金で施設の改修建替費をすべて捻出するかのような答弁がくりかえされましたが、施設改修は、長期的な財政計画をしっかり持ち、国や都にも財源確保を強く求めるべきです。そもそもこの間、大規模開発や無計画な不動産購入を優先し、施設整備を置き去りにしてきたのは区の責任であったことを反省すべきです。
 以上、本決算に対しての反対理由をのべてきましたが、住民の現実や切実な要求に背を向けた「構造改革」の枠内では、地方自治の立場から住民生活を守ることはできません。目黒区に対し、緊急に区政の軸足をくらし・福祉優先に切り替えることを要求し、反対討論を終わります。

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