党の政策
上目黒一丁目保育園「基本構想素案」に対する意見書
上目黒一丁目保育園「基本構想素案」に対する意見書
2008.5.31
日本共産党目黒区議団
児童福祉法には、「保育所は、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする」と規定され、児童福祉施設最低基準には、「入所している者が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の指導により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するもの」と明らかにしています。目黒区は、その基準を確保するために最大限の努力をしてきたところであり、近年改築・整備された八雲保育園、目黒保育園などもこの基準を十分保障する施設となっています。
こうした視点から、日本共産党区議団は上目黒再開発ビルの中の保育園整備については、庭がないことや費用対効果の点からも問題があり、より保育環境に適した新たな場所を検討すべきであると指摘してきました。
今回示された「基本構想素案」は、児童福祉施設最低基準から見ても多くの問題があり、不適切だといわざるを得ません。以下、問題点ならびに意見を述べます。
1、児童福祉施設最低基準第四条は、「児童福祉施設は、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければならない」とし、第五条は、「児童福祉施設の構造設備は、採光、換気等入所している者の保健衛生及びこれらの者に対する危害防止に十分な考慮を払って設けられなければならない」としています。ところが、今回の施設は、これまでの施設に例を見ない劣悪なもので、「めぐろこども条例」の理念である子ども権利条約の「子どもの最善の利益保障」に反する施設となっています。
2、施設面の問題点
(1)野外遊戯場について
設備の基準にある野外遊戯場が設置されていません。区は、代替として目黒川合流地点と中目黒公園をあげていますが、いずれも当該施設からは、「散歩」という形をとらない限り利用することができず、隣接する公園を利用している第二上目黒保育園の代替とはまったく条件が異なります。しかも、目黒川合流地点は、再開発計画の中で整備されるもので、そもそも子どもの遊び場を目的とするものではありません。
(2)窓について
野外遊戯場がないばかりか、ベランダもなく窓の開閉もできない環境は、子どもにも職員にも、計り知れないストレスを与えます。毎日、朝から一日を過ごす子どもたちは外気に触れる機会も「散歩」の短時間に限られます。外気に触れ、日光に当たることによって得られる皮膚の鍛錬や体温調節機能を培う機会が保障されません。心身の発達への重大な悪影響が懸念されます。
(3)水遊びできる施設について
水遊びのできる施設がありません。年々暑くなる夏、通常保育園では子どもたちは二ヵ月あまり水遊びやプール遊びで過ごします。毎日の水遊びの中で、水に対する恐怖心を乗り越えて泳げるようになり、自信を持ち、ひと夏で心身ともに大きな成長を遂げます。第二上目黒保育園にプールを借りに行くとしていますが、第二上目黒保育園の園児だけでいっぱい状況の中で活用は不可能です。
(4)エレベーターについて
園内には専用階段がありますが、小さな子どもたちが移動に使うには無理があります。戸外への出入りはエレベーターを利用することになりますが、乳母車を押し、何人もの乳幼児を連れてのエレベーターでの移動は、事故を起こす可能性も高く、安全が担保されません。人手の確保と移動にかかる時間など、毎日の保育への負担はあまりにも大きすぎます。
(5)ビル風について
GTビルのビル風では、高齢者が転倒するという被害が出ました。歩行の不安定な幼児にも被害が予想されます。
(6)狭いスペースについて
従来の保育園と比べて、一人当たりの面積は大変狭く、さらに、ゼロ歳児室には午睡室もありません。
3、以上のように施設面の問題点は、開発ビルの制約の中では、多少の見直しをしたとしても、根本的な問題を解決することはできません。この施設で恒常的な保育をすることは、子どもたちの発達保障の視点から到底容認できるものではありません。保育所として整備する計画をやめ、住民要求の強い一時保育や病後児保育、子育てひろばなどへの転用を検討することを求めます。
4、待機児解消に向けては、守屋教育館跡地などの区有地を活用して、百人規模の保育園の建設を早急に計画するべきです。
5、素案について、早急に住民や関係者に説明するとともに、十分に意見を聞くことを求めます。
以上