党の政策
目黒区立保育所条例の一部を改正する条例(民営化による新園を開設し第二田道保育園を廃園する条例)の反対討論。
議案第55号、目黒区保育所条例の一部を改正する条例の反対討論
私は、日本共産党目黒区議団を代表し議案第55号、目黒区保育所条例の一部を改正する条例に反対する立場で討論を行います。
本条例は、区の突然の方針変更によって提案されたものです。
すでに指定管理者による民営化については、該当園である第二田道保育園の保護者と区との協議が1年半あまり続けられ、保護者は保育の質を確保するために「園長の保育士資格」など3点を要望していました。しかし区は3点については合意する事ができないとして、協議を一方的に打ち切り、建築中の保育園を新設として民営化し来年度スタートさせ、現在の第二田道保育園は、在園児が卒園した時点で廃園するという条例を提案しました。
日本共産党区議団は昨年11月、保育園に指定管理者制度を導入するための条例改正については反対しました。主な問題点は、
1つは、目黒区の保育園は、区民と保育関係者が運動し、それに応え行政が努力し一緒になってつくってきた全国でも誇れる質の高い保育を実現してきました。指定管理者制度の導入によって、その運動の歴史や財産及び住民とともに培ってきた信頼まで失うこと。
2つ目は、保育の質は、人的要素が大きく経験を積んだ保育士の安定的な確保によって支えられており、経費の大部分を占める人件費の削減は、正規の職員を減らし低賃金の不安定雇用を増大させ保育の質の低下を招くこと。
3つ目は、指定管理者には指定期間があり、保育士の安定的な確保や、保育士の継続性、保育の継承も保障されないことです。
さらに、民営化によって引き起こされた耐震偽装やエレベーター、プールの事故などの例にあるように、安全より利益を優先することの危険性を指摘してきました。こうした指摘は、営利のために介護事業に進出してきたコムスンの例を見ても明らかです。いま、保育分野は、2兆円産業とも言われ、営利を目的としたピジョンやベネッセなどの大手の民間企業がここぞとばかり参入してきています。子どもの成長発達の場である保育園を、巨大な儲けの渦の中に投げ込むことは許せません。すでに指定管理者制度を導入し民間と競争ができるようにと経費削減を進めている社会福祉事業団では、賃金の低さや、事業の継続性に不安を感じ、必要な人材が集まらないという状況です。入っても少ない人数で仕事がきついなどの理由で退職者が多く、深刻な人手不足に陥り、このままでは、事業の継続すら危ぶまれる状況となっています。指定管理者制度導入後一年たったいま、制度の持つ問題点を総括することこそ、行政に求められています。それもせず、行革方針で決めたからと、指定管理者制度を区立保育園に押しつけることは、行政の責任放棄といわざるを得ません。
つぎに見直し案について問題を指摘します。
まず最初に民主主義に関わる問題です。
保護者との協議を一方的にうち切り、保護者に何の説明もなく方針変更するやり方は、民主主義の基本のルールに反するもので、さらに保護者の区長に自分たちの声を聞いて欲しいという要請にも応えず、住民参加をかかげながら、意見の合わない者は排除するというやり方は、住民参加をかかげた区の方針に反するとともに、住民の信頼を著しく損なうものです。
区は実施計画にはない保育園の廃園と新園の設置、加えて最高1億5千万円もの予算がかかる変更を、区長を含む幹部職員で協議決定し、「問題はなし」としていますが、区民と議会でまともな論議をすることなく、ごくわずかな期間で決定したことは重大です。
2つ目は、保育の質に関わる問題です。
第二田道保育園は、今後年々子どもが減っていき、最後には一クラス数人という状況も生まれかねません。少人数の中では、今まで築いてきた行事や異年齢との関わり、集団保育のあり方などを崩してしまうものです。毎日、身近に建築中の保育園を見て、入れる日を楽しみにしている子ども達を裏切るものです。
三つ目は安全の問題です。
老朽化した第二田道保育園の改築は、民営化計画以前に決定し、改築園には全員が移る事は大前提でした。ところが耐震補強もしないまま園舎に子どもたちを残すというやり方は、安全を守るという自治体の責任が問われるものです。
本条例は今まで築き上げてきた目黒の保育を崩し、住民の信頼をも損ね民営化路線の中に子ども達をなげこんでいくというものです。日本共産党目黒区議団は議案第55号 目黒区保育所条例の一部を改正する条例に反対します。