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改定めぐろ学校教育プラン(素案)に対する意見

改定めぐろ学校教育プラン(素案)に対する意見
2006.12.15
日本共産党目黒区議団
 
 今日の子どもを取り巻く問題は、学力低下、学級崩壊、いじめ、不登校、自殺、等々きわめて深刻な事態にあります。とりわけ命を大切にすること、生きていくことへの喜びが希薄になっているということが指摘されています。教育行政においては、一人ひとりが大切にされ、それぞれの個性や特性を大いに伸ばしながら心豊かに育つ環境を整備することが求められています。以下、主な点を指摘し意見とします。
1.素案には、改定の理由が何点か述べられていますが、これまでの改定もそ うであったように、中央教育審議会答申に忠実にプランを合わせていくという姿勢ばかりが目立ちます。これまで、中教審が進めてきた「教育改革」がどのような問題を引き起こしているのか、冷静に見るべきです。
2.憲法「改正」の流れの中で教育基本法の「改正」が国民の合意も得ずに数の力で強行されました。大戦で多大な犠牲を払った痛恨の体験から、二度と戦争のない平和な社会をつくるという決意の下に、教育は「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」とした精神は、「平和都市宣言」をした目黒区において堅持すべきものです。都教委の日の丸・君が代の強制に対する違憲判決を尊重する立場に立つことを明記すること。
3.子どもの姿をどのように捉えているのか、何が問題なのか、それらを解決するために何が必要なのかという現状分析もなく、子どもの視点からの課題も明らかにされていません。競争によって追いたてられ、追い詰められている子どもたちの内面に起きている心のひずみ、経済的に困難になっている生活環境の中で生まれている教育における格差などに、教育行政がどのように向き合い、支援していくのかが問われています。子どもにかかわる多くの問題解決に向けて、区民ぐるみの論議と運動に取り組んでいくことを位置づけること。
4.子どもにかかわる計画については、子どもの権利条約ならびに子ども条例の立場からも、当然、子どもの意見を反映させるべきであり、子どもに対する説明と意見の聴取の機会を必ず設けること。
5.学校教育プランが目指す子ども像を「21世紀をたくましく生きる人間性豊かなめぐろの子ども」としていますが、「たくましく」という言葉には“競争に打ち勝つ力”“どんな困難も乗り越えることが出来る力”というイメージのみが前面に打ち出される印象がある。精神的に、あるいは肉体的にも弱さをもった子、競争は苦手でもじっくり取り組むことが得意な子など、それぞれの個性を持った子どもたち一人ひとりが主人公になれる学校をつくることを目標にすえるべきで、それにふさわしい言葉に置き換えること。例えば、「21世紀を担う心豊かに生きる個性あふれるめぐろの子ども」など。
6.教育のあらゆる場面に競争を持ち込んでいくことは慎むべきです。
*個に応じた指導の充実について
個に応じた指導をする上で最も重要な条件は少人数学級であり、習熟度別指導をいた ずらに拡大するべきではありません。少人数学級実現に向けた取り組みを位置づけること。
*学力調査の実施について
 学力調査の実施は、子どもをさらに競争へと追い立てることになります。しかも、それに基づいて子どもを選別し、習熟度別指導が行われるような状況はつくるべきではありません。「フィンランドの教育」や犬山市の教育実践に学び、学力調査は行わないこと。
*体力づくりの充実について
 あえて体力テストを実施する必要性は認められません。なんでもテストするという発想は慎むこと。
*授業力の高い教師の奨励と活用について
 教員におけるエリートづくりは、子どもたちのみならず学校と教職員に対する管理統制と競争強化につながります。教職員の自主性と自主的権限の尊重を基本に、闊達な教育活動が展開できるような条件整備に努め、各学校における教育課程編成権と学校の自主性の尊重の下に、教職員の集団的な教育力を発揮させる環境を整えること。
*学校評価について
 学校の評価は、地域など外部から見てできるようなものではありません。また、学校評価は学校同士を競争させることにもなり、本来の教育活動の目的を見失うことにもつながります。子どもたちが学校の主人公として楽しい学校生活が送れているか、わかる喜びを実感できているかという視点を大事にするべきです。
7.その他の個別の問題に関して
*隣接校希望選択入学制度について
「家庭・地域との連携による開かれた学校運営」とした「重点目標」と矛盾するものです。子どもの安全対策の強化の視点からも、学校・保護者・地域住民団体の意見を十分聞きながら抜本的に見直すこと。
*英語活動・英語教育について
 小学校から英語教育を取り入れたことにより、英語塾に通わせる家庭が増えるなど、ますます子どもの自由な時間を奪い、母国語を学ぶことがおろそかになる(=コミュニケーション能力の低下)傾向が生まれている事態をどのように捉えているのでしょうか。安易な推進は自重すること。
*情報教育の充実、コンピューター等情報機器の活用について
 コンピューターやインターネットを学校教育に導入することについては、高い費用と教育的な効果への疑問、子どもの心身への影響(視力や姿勢、手首や肩の疲労、電磁波等々)、現実と仮想の混同、人間関係の希薄化、コミュニケーション不足、等々問題点が指摘されています。無批判に時流に乗るのではなく、総合的かつ慎重な検討を行うこと。
*読書活動の充実について
 学校図書館の積極的な活用が重視されています。そのためにもボランティアに頼るだけではなく、司書の配置を計画的に進めること。
*二期制について
 学校現場では、受験を控えた中学3年生の成績評価をどのようにするかなど、二期制になったことによるさまざまな問題が出ています。現場教師の意見を十分に聞き、見直すこと。
*学校環境の改善について
長・中期的な大規模改修工事計画をつくると共に、年次計画を明らかにして確実な推進を図ること。また、バリアフリー化も促進すること。
                                以上

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