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党の政策

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指定管理者制度に対する意見

はじめに
 区の公の施設は、地方自治法第244条にあるように、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」であり、「住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と住民が利用する権利を保障している。その立場から、福祉施設や教育施設などにおいては、管理運営を委託できる団体が厳しく制限され、必要な専門家などの職員の配置が義務付けられてきた。その根拠となる憲法と地方自治法の立場は今日においても尊重されなければならない。指定管理者制度の活用に当たっては、あくまで「住民の福祉増進」という本来の目的と、それぞれの施設が由来する根拠法の精神を堅持することが肝心である。安易な指定管理者制度の導入は、自治体そのものを変質させ、住民の権利までも奪うことになりかねない重大な問題となる。すでに指定管理者制度を導入している自治体ではさまざまな問題が起きてきることが報告されている。直ちに、これらの事例を検証し、教訓として生かすことは最低限の前提とするべきである。
 以下、示された基本方針(案)に対して意見を述べる。
1、制度活用の基本的な考え方について
(1)「住民の福祉増進」という「公の施設」の趣旨、理念、ならびに住民の権利という視点が欠落している。あらためて、明記する必要がある。
(2)「住民のサービス向上」と「経費の効率的な活用」を同列においているが、これは「行革」の立場と総務省通知にある「管理経費の縮減」という視点に立ったものであり、法改正の趣旨にはないものである。いたずらに「経費の効率的な活用」を強調することは、施設本来の目的をもゆがめることになりかねず、適切ではない。「公の施設」の業務を担うにふさわしい職員の身分や労働条件を確保することを明記すること。
(3)自治体による定期的な報告、調査、結果に基づく必要な改善指示など、「公の施設」に対する自治体の責任を明らかにする必要がある。
(4)利用料金制については、有料化によって本来の施設の設置目的が損なわれるという問題も出るなど、利用料金制を指定管理者任せにすることは厳に慎まなければならない。区民の権利を守る立場から、有料化については、その是非を住民参加で検討することを前提とすること。また、利用料の範囲、算定方法、上限の適正化、減免規定などを位置づけること。
(5)「民間事業者等の積極的活用」を挙げているが、住民の権利を守る視点から「直営」も視野に入れるべきである。また、社会福祉事業団や文化芸術財団など、これまで公共的な役割を果たしてきた団体の実績を総合的に評価し、位置づけるべきである。
2、指定管理者の選定の考え方について
(1)原則公募としているが、社会福祉施設などについては、社会福祉事業団ならびに社会福祉法人に限定すること。
(2)「公の施設」の管理運営については、専門性やサービスの質とともに、安定性や継続性が求められ、それを担保するために経験を蓄積する職員を安定的に確保することは欠かすことのできない条件となる。安定的な雇用を確保する方策を明らかにすること。
(3)指定管理者の選定にあたっては、透明性を確保するため、利用者・住民の代表、専門家、弁護士などを入れた選定委員会を設置すること。
(4)区長や議員、その関係者、特定団体等が経営する会社・法人の参入を規制するなど、利権を排除する仕組みをつくること。
3、住民参加について
(1) 圧倒的多くの住民が指定管理者制度について知らない。基本方針決定前に住民説明会
を開催し、十分な理解を得る説明をするとともに、住民の意見を反映すること。また、施設ごとの条例制定にあたっては、住民とともに公共施設にふさわしい施設運営のあり方や利用者の権利を担保する方策などについて十分な検討をし、合意を得ること。
(2) 個人情報保護条例を適用することはもとより、事業の公共性やサービス、労働条件を
確保する上からも、情報公開条例を適用すること。
(3) 施設運営について利用者・住民の声が反映できるよう、利用者や住民参加の運営委
 員会の設置を義務付け、チェックシステムが確保されるようにすること。
                                     以上

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