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党の政策

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岩崎議員の一般質問(震災対策)

 私は、日本共産党目黒区議団の一員として一般質問を行います。
 まずは、震災対策の強化に向けてです。
 新潟・中越地震やスマトラ島沖地震などを目の当たりにして、震災に対する区民の不安が高まっています。
 8年前の1997年に東京都が発表した直下型地震の被害想定報告書では、最大震度6強を想定し、区部で全半壊約12万1000棟の被害が出ると予想しました。目黒区内では、木造建築物3万4870棟のうち、全壊もしくは半壊が1807棟、一部損壊を含めると5344棟が被害を受けると試算しています。
その後、昨年12月に政府の中央防災会議の首都圏直下型地震対策専門調査会は、改めて直下型地震による被害シミュレーションを発表し、23区は軒並み震度6以上、地震によっては都心の一部で震度7の揺れに見舞われることを示しました。
 建物の倒壊による被害、火災による被害は、東京都心部を震源とする直下型地震、とりわけ都心西部直下地震では、環状6号から7号線の間の老朽木造密集市街地が最大の被害規模になると予想し、地震の揺れによる全壊家屋は都内で14万棟から16万棟にのぼるとしています。
 さらに、先月25日に発表した被害想定では、首都直下型地震で112兆円規模の被害が出ると予想され、朝日新聞の解説記事でも、「重要なのは個人住宅などの耐震強化だ」と指摘し、「公費をかけても耐震化を」とのべています。
 中越地震では、この地方が豪雪地帯であり、日本の平均的な家屋より丈夫なつくりになっていて倒壊をまぬがれた家屋も少なくありません。しかし、それでも激震地では大変な被害であったことはいうまでもありません。
 阪神大震災では6400人をこえる方が犠牲になり、約26万棟の家屋が全壊・半壊しました。犠牲者の8割をこえる方々が建物の倒壊などによる圧死や窒息死でした。建物が倒壊したことで、それが原因となった出火や類焼で被害が拡大しました。大地震の教訓からみても、木造住宅の倒壊をどう防ぐのかが被害を最小限に食い止めていくためにも重要な点です。
 阪神大震災の建築物被害の調査では、現行の耐震基準が設けられた1981年より前の建物に被害が多く、これ以降に建築された建物の被害は比較して軽かったと報告され、この耐震基準が妥当なものとされてきています。
 目黒区でおこなった2001年度の土地利用現況調査によると、2万657棟の木造専用住宅のうち、1981年より前に建てられた建物は推計で14500棟と、木造専用住宅のなかで7割を占めます。家屋の倒壊を最小限に防いでいくためにも、新耐震基準前の木造住宅の対策こそ、不可欠であると考えます。
 しかし、区民の防災意識が高まり、住宅の改修の必要性を認識しても、なかなか足を踏み出せないのが現状です。とくに高齢者世帯は、老朽化した家屋を改修したくても、年金では日々の生活でいっぱいで、とても住宅の改修まで費用は捻出できないといった状況で、「大地震がきたら、もう仕方がない」とあきらめるしかありません。
建築物の耐震診断助成制度の発足以来、約9年がたちましたが、現在まで助成数は木造で79件、非木造で6件です。今年度も2月18日現在で、耐震相談数が40件、診断助成数が16件、このうち耐震性に問題ありと診断された数は12件ありますが、実際に耐震改修したのは1件、建て替え検討中は2件にしか過ぎません。求められている対策と比べてみてもまだまだ不十分です。
 そこでお尋ねします。
 1点目は、現在、木造建築物は4万円以内の助成額を設けていますが、区民がもっと耐震診断を受けやすくするために、中野区などで実施しているように、老朽木造住宅については耐震診断を無料にすべきだと思うが、いかがでしょうか。
 2点目は、東京都建築士事務所協会による耐震診断に加え、講習を受け、一定の技術水準を持った区内の建築士や設計士、建設業者などによる耐震診断も助成の対象とすべきだと思うがどうでしょうか。
 3点目は、木造住宅の基礎の補強や土台や柱の補強、壁の補強など緊急に必要な工事でも、100万円程度の費用がかかります。独自で助成制度を設ける自治体も増えているなかで、町田市では工事に要した経費の2分の1以内、50万円を限度とする住宅改修助成を設けていますが、目黒区として老朽木造住宅の耐震補強への助成制度を設けるべきだと思うが、いかがでしょうか。

次に、1948年に建設され、老朽化がすすんでいる上目黒都営アパートの住民の安全を守ることについてです。
 以前から、上目黒都営アパートの住民から、「アパートが傾いているのでは」との指摘がありました。建築士や設計士ら五人が屋上からさげふりをたらす調査をおこなったところ、2号館では最大34センチ傾斜していることが確認されました。目視でも傾斜が確認できました。調査中に西郷山通りに大きなトラックがとおると、小さなゆれも体感したといいます。設計士は「鉄筋の建物でこれだけ傾いているものは見たことがない。部屋の中は相当な傾きとなり居住者の心の健康にも影響する」と心配しています。
ある住民の部屋は、床が8センチも傾いていて、部屋のほぼ中央にふとんを敷いて就寝したにもかかわらず、翌朝目が覚めたときには、ふとんごと窓側まで移動したといいます。アパートの地下は各世帯の倉庫になっていて空洞が多い上、その部分の柱は木造であり耐震性に問題があります。アパートはかなり危険な状態といえます。
 住民の話では、この傾きは20年以上も前から感じられていたものです。「地震が起きたときにどう逃げればいいのか」「倒壊してしまうのではないか」「安全なところに移してほしい」と、住民は大きな不安のなかで生活しています。
 そもそも、この上目黒アパートについては、東京都が建て替える予定をしていたものであり、隣接する旧国鉄跡地を東京都が都営アパートの建設予定地として、目黒区が福祉住宅のためとして購入していたはずです。ところが、10年以上にわたって当初の計画を具体化せず、定期借地権の設定による民間事業者への土地の提供を打ち出し、事実上、代替策がないまま都営住宅の建設が頓挫してしまったのです。老朽化した都営住宅を早く建て替えてほしいという居住者への約束を反故にしてきた責任は、目黒区にもあります。
 区民の生活と安全を確保するためにも、区として早急に対応する必要があると思うが、どのような対応策をとろうとしているのか伺います。
 以上、私の一般質問を終わります。

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