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■500号 迷彩服で何の演習か
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6月都内で驚きの訓練
陸上自衛隊第1師団の第1普通科連隊は6月、板橋、練馬区の市街地でレンジャー行進訓練を実施しました。隊員17人が、軍用リュックや小銃、銃剣を携行し、顔は迷彩塗装を施すなど、白昼に行われた完全武装の訓練に、集まった人々の抗議で周辺は一時騒然となりました。
区に申し入れ
同じ陸上自衛隊第一普通科連隊が16日から17日にかけて、23区で「災害対処訓練」の実施を一方的に通告し目黒区に協力要請していることに対し、日本共産党区議団は7月5日、目黒区に申し入れを行いました。
災害対処というが
自衛隊によれば、総勢324人の部隊を23区に展開する訓練で、「首都直下地震発生時において車両での被害地域への進出が困難な状況を想定した徒歩による部隊展開要領等を検証し、部隊運用の実効性向上を図る」としています。
自治体の要請なし
大規模災害が発生した場合、人命救助と被害拡大防止のために自衛隊が有する組織と資機材を活用することは当然です。
しかし、今回の訓練は①一般都民が参加しない自衛隊の単独訓練、②戦闘作戦と同様の手順で市街地での訓練が行われる、③関係自治体に直前まで知らされないままに計画されているなど、通常の防災訓練とはまったく異質のものです。何よりも、自治体からの要請があったわけではありません。
有事の作戦も
第一普連の23区内での活動は、災害派遣に限らず、ゲリラや特殊部隊への対処などの有事の作戦も含まれています。今回の訓練の中にも偵察、初動対応部隊の活動拠点への進出、区役所と自衛隊との連絡調整や状況把握のための連絡官派遣、通信確保の訓練が盛り込まれ、「野外令」のゲリラや特殊部隊への対処と共通した内容を含んでいます。こうしたことからも、「災害対応」の域を超えていることは明白です。
中止を求めよ
区議団の申し入れ内容は次の2点です。
1自衛隊に対し、自治体の要請に基づかない災害対処訓練は中止するよう求めること。
2訓練に対し、区有施設の提供は行わないこと。
庁舎泊を拒否
目黒区には、「連絡班」の2人が17日午前0時40分ごろに区内に到着し仮眠をとるので庁舎を利用したいとの要請がありましたが、宿泊について区は、区有施設を使わせず、三宿駐屯地などを使うように申し入れたようです。宿泊場所は、区議団の申し入れが実現しましたが、自衛隊の受け入れと通信訓練は防災センターを使わせるのはやむを得ないというのが区側の判断です。
他区の状況は
第一師団が訓練で区役所に宿泊するのは今回が初めてです。23区の状況ですが、10日現在、宿泊施設の提供をするのは、台東、墨田、大田、荒川、板橋、練馬、足立、葛飾、文京、品川、豊島の11区。うち文京、品川、豊島は車中泊です。北区は拒否、目黒は拒否する方向、世田谷には、自衛隊から区役所での宿泊を取りやめるとの連絡が来ました。
練馬駐屯地交渉
6日、練馬駐屯地に代表を送り防衛省と交渉しました。星見区議、目黒平和委員会の代表など20名が参加しました。
自治体不在、住民不在の災害演習は、防災・人命を考える自治体の防災とは異質であり、何か別の意図を感じます。
陸海空5000人
今回の23区への展開訓練は、全国の自衛隊が行う「自衛隊統合防災演習」の一環であり、これには陸海空の自衛隊、情報保全隊、在日米軍が参加し、5000人規模で行う大規模演習であることもわかりました。
集団的自衛権の行使へ
7月7日の新聞に、集団的自衛権について「行使容認を」「解釈変更を」「野田首相の持論に沿った内容」などと一斉に報道されました。
平和憲法を守り、日米軍事同盟安保廃棄の運動を大きく盛上げましょう。
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今回の演習に法的根拠はない
7月11日企画総務委員会で共産党の岩崎議員が、今回の「災害対処訓練」の法的根拠について、自衛隊側は「防衛省設置法」第4条9項に求めていますが、そもそも、防衛省設置法には防衛省の任務として「災害対処」は盛り込まれていません。区側が自衛隊の受け入れを協力する法的な根拠はない、と質問しました。
これに対し、青木区長は、防衛省設置法の4条9項には災害対処が含まれていると解釈していると強弁しました。
しかし、「災害対処訓練」というのであれば、災害対策基本法に基づかなければならず、都道府県および自治体の要請がなく、自衛隊の通告だけで今回の訓練が行われることからしても、自衛隊の「災害対処」は法的根拠もなく、有事を想定した部隊訓練だといわれても言い訳はできません。
宿泊施設の受け入れだけでなく、通信訓練についても、自治体の要請に基づかない「災害対処」を口実とした演習についても、23区で受け入れを拒否できますし、拒否した区が出ています。
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