日本共産党目黒区議団 > 党の政策 目次 > 党の政策 詳細

党の政策

▶ 一覧に戻る

区内認可保育園などの保育料引き上げ条例案に自民、公明など賛成。共産党岩崎議員が反対討論

 目黒区議会第2回定例会は6月29日に本会議を開き、区内の認可保育園やこども園などの保育料を引き上げる条例案を、自民、公明、立憲・区民クラブ、維新、生活者ネットなど賛成多数で可決しました。反対したのは日本共産党と無会派の須藤議員でした。岩崎議員が反対討論を行いました。内容は次のとおりです。

 私は日本共産党目黒区議団を代表し、議案第46号、目黒区教育・保育に係る利用者負担額等を定める条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。

 今回の利用者負担額、いわゆる保育料の見直しの主な内容は、非課税世帯の無償化および、ひとり親等世帯の軽減措置は現行どおりとするものの、0歳児から2歳児は月額100円から1万1400円にわたって所得段階に応じて傾斜的に引き上げ額が設定され、3歳児は100円から6400円まで、4・5歳児は100円から6200円まで、所得段階に応じて傾斜的に引き上げ額が設定されます。延長保育料についてはD4階層以上は改定後標準時間の10%を基準とした引き上げを行うというものです。こうした圧倒的多数の保護者に影響を与える保育料の引き上げを行うべきでしょうか。私たちは引き上げはやめるべきだと考えます。

 その理由の1点目は、子育て世帯の方々の「教育、子育てにかかる負担を軽減してほしい」という願いと逆行するからです。わが党区議団が行ったアンケート調査では、「生活がローンなどで苦しくなり、共働きせざるをえない」、あるいは「今の雇用体制が変わってきて契約社員になってしまい、妻も働かなければ食べていけなくなった」という、経済的な理由で保育園に子どもを預けなければならない切実な声も寄せられました。

 目黒区の認可保育所の運営経費の保護者負担割合が近隣区の平均よりも相対的に低いことを引き上げの理由のひとつに挙げていますが、住宅ローンの返済額や民間賃貸住宅の家賃が高いという都心部ならではの目黒区の条件を考慮すべきです。また、物価の値上げや各種保険料の引き上げなど、家計に係るさまざまな負担増を考えれば、単純に保護者負担割合の比較では子育て世帯の家計への影響は明らかになりません。

 認可保育園などの保育料の徴収については、児童福祉法56条で家計に与える影響を考慮し、児童の年齢等に応じて徴収するよう定められています。であるならば、まず、区として区内の子育て世帯の家計への全体的な影響はどうなのか、まず、きちんと調査し十分に考慮すべきではないでしょうか。

 反対する2点目の理由は、「保育園を利用する人としない人との公平性の確保」という、いわゆる「受益者負担の原則」の立場にたっていることです。

 児童福祉法では、保育を必要とする乳児、幼児について、区市町村が保育の実施義務を負います。保育料について区市町村は扶養義務者から徴収することができますが、基本的に経費は国や地方自治体が負担すべき性格のものです。

 保育とは、保育園に入園して保育を受ければ、その家庭は得をする、そうでない家庭は利益を受けないと言った狭いものではありません。ましてや、保育園は単なる託児所ではありません。子どもの乳幼児期は人格形成の基礎を成す重要な時期であり、家庭内での教育だけでなく集団的な教育環境、すなわち保育園や幼稚園、学校といった施設が必要になります。そして、そこで定められる保育・教育の共通目標と保育内容は社会全体で次世代の担い手を育てることを主眼とするものであり、単なる個人の受益ではありません。

 また、ひとつの家庭において共働きをする理由が、女性の社会進出であろうが、家計の補填など経済的な理由であろうが、両親が社会に出て働くこと自体、それは社会貢献といえるものであり、保育を必要としている子どもをきちんと保育することは個人の利益にとどまらず社会の利益ともなるものです。だからこそ、国は経済的な支援として幼児教育・保育の無償化の実施を打ち出しているのではありませんか。児童福祉法でも、保育料の徴収について「家計に与える影響を考慮して」としているのは、保護者負担をなるべく低くすることを原則にしているからです。「受益者負担」を持ち込めば、際限のない保育料負担を保護者に押し付けることになります。受益者負担の考え方はやめるべきです。

 3点目は、財政問題です。
 今回の値上げの理由として、区は、地方消費税清算基準の見直しにより、見直し前と比べ約10億円のマイナス影響が見込まれていることや、保育園増設に伴う運営経費の増大や公定価格の改定、物価の上昇など経費の増加が避けられないという状況を挙げています。したがって、保護者負担割合も低下していくとしていますが、これまでも述べたように、あくまでも保育事業の経費は国や地方自治体が負担すべきものであり、保護者負担は最小限に抑えるべきです。

 運営経費の負担割合を問題にするのであれば、国や東京都が出している運営経費はほとんどが私立保育園のみで、三位一体の改革で丸められてしまった公立保育園運営費への国や都の負担金の復活こそ求めるべきです。2016年度の決算値では、区立保育園の運営経費は合計で約52億2千万円となっていますが、国と都の負担分はゼロです。区立・私立合算でも、国負担分は5.9%、都負担分は2.9%、国・都補助金等は0.8%、合計すると9.6%と1割にも満たないのが現状です。区は国や都に要望しているといいますが、声を強めるべきです。

 また、財政指標で言っても、昨年度の決算見込みでは、実質収支額が48億円以上にもなる見込みであり、昨年度1年間に、新たに32億円の基金残高を増やしたという経過から言っても、年間1億1000万円の新たな保育料負担を保護者に押し付けなくても、今のままで十分に保育園を運営する力はあります。

 4点目は、保護者など区民の声を十分に聞くことなく強行したことです。結局、今回の値上げ案の保護者への説明会は行われませんでした。区民に新たな負担を課すものであり、区民への必要な説明の場と意見聴取の場は設けるのが筋ではありませんか。
以上、反対討論とします。

このページの先頭へ ▲