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党の政策

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3月25日 本会議 森美彦議員が行った予算反対討論

 私は、日本共産党区議団を代表して、議案第18号、平成26年度目黒区一般会計予算案に反対の立場から討論を行います。
 安倍政権は、異常な金融バブルをつくり、大企業と富裕層には株高による巨大な儲けをもたらす一方、勤労者の給与はピーク時より70万円も減少し、円安による物価値上げが庶民や中小業者を苦しめています。
 その上、4月からは、消費税の8兆円と年金、医療、介護、生活保護など社会保障の改悪による10兆円もの負担増が、家計消費や中小零細業者の経営を冷え込ませようとしています。さらに、春闘でのベースアップも一部にとどまる一方で、政府は、非正規労働者をいっそう拡大する労働法制の改悪を進めています。
 また、舛添都政は、「世界1の福祉を目指す」と言いながら都民への冷たさを継承する予算案です。4年で待機児を解消すると公約したものの、認可保育園を望む都民の願いには応えず、一方で投資的経費を10年連続増やし、大型開発に巨額な予算をつぎ込もうとしています。
 新年度は、こうした中で、目黒区が、区民の命と暮らし、人権を守る防波堤の役割を果たすことが求められていますが、その様な予算案になっているとは到底言えません。
 以下、大きく6点にわたって反対理由を述べます。
 

第1は、消費税増税を是認し、区民生活への影響緩和策がまともに打たれていないことです。

 そもそも消費税は、所得の低い人ほど負担が重いこと、中小業者などは増税分を価格に転嫁できず身銭を切らざるを得ない実態があることなど、経済的弱者を踏みつけにする不公平税制です。消費税は社会保障財源として最もふさわしくない税であります。
 税と社会保障の一体改悪によって空前の負担増給付減が区民生活に襲い掛かろうとしている時に、区長は、社会保障の財源として消費税がふさわしいという考えを容認するとともに、消費税増税分を学校給食費や配食サービスの弁当代などに転嫁することに対して、「区民生活に著しい影響を与えるとまでは考えていない」と答弁しました。しかし、子育てにお金がかかりすぎるという子育て層にとって、教材費や制服、体操着など学校をはじめ幼稚園、保育園、学童保育の費用への増税は大へんです。年金が減らされ医療も介護も負担増という高齢者にとって、おむつなど介護用品への増税は家計をますます苦しめます。
 こうした区民に対して、消費税の値上げは当たり前という考えで、区民の苦しみから目を背け、区民生活支援の手立てをまともに打とうとしない区長の姿勢が反対理由の第1であります。
 

第2は、区民の切実な要求に真摯に向き合っていないことです。

 その1は、待機児対策の遅れです。私立認可保育園の増設など定員拡大を図ってきましたが、4月、認可保育園に入れない子どもは、実に958人に上ります。昨年より148人も増え、年々増加の一途で最悪な状況です。入園できなかった保護者からは、「職場復帰できない」「認可外の保育料は10万円、家計は限界」「2人目をあきらめた」など深刻な声が上がっています。保育に欠ける子どもに対して、認可保育園を増設し、待機児をなくすことこそ、目黒区としての第1義的な責務です。しかし、緊急に補正予算を組むなど、待機児ゼロ実現の抜本的な具体策は示されていません。4月を目前にしたいま、放置していることは許されません。
 その2は、介護の問題です。国は、要支援の軽度者外しなどサービスの切捨て、介護利用料2割への引き上げなどの負担増、特養ホーム入所対象者の要介護3以上への入所制限など、本人と家族を苦しめる介護制度の改悪を進めようとしています。区長は、財源確保の立場から国に要望するだけで、事実上これらの改悪の中身を容認しています。区独自の在宅支援ヘルパーの拡充や特養ホームの更なる増設計画などの具体策は示されていません。区民の切実な介護要求に背を向けていると言わざるを得ません。
 その3は、高すぎる国保料の問題です。区長は、23区統一保険料方式の下で毎年保険料が上がっていくのはやむを得ないとして、10年来の値上げを続ける中で、高すぎる保険料の滞納が13000世帯にもなっています。にもかかわらず、新年度、高額療養費に対する一般財源の繰り入れを減らし、保険料を大幅に値上げします。これは皆保険制度に背を向ける行為です。
 その4は、不燃化10年プロジェクトの問題です。この事業の中心は、東京都が防災の名で住民を追い出す特定整備路線として進める補助46号線の拡幅事業です。2020年度までのわずか6年間で完成を目指すという計画が、住民に不安を広げ、生活を脅かしています。延焼遮断体を言い訳にした道路拡幅事業中心の耐震防災対策を止め、戸建て住宅やマンションなどの耐震化・不燃化を面的にすすめていく支援を抜本的に拡充すべきであります。
 その5は、目黒清掃工場建て替え問題についてです。区長は、清掃工場の建て替えに関わって、一般廃棄物処理基本計画を了承したことを根拠に、焼却炉を縮小してほしいという住民要求に背を向けたことは重大な問題です。半分以上が他区から持ち込まれるプラスティック類の混じったごみです。区長会で自区内処理から共同処理に変える一方で、プラスティック類は各区対応とした矛盾が噴出しています。いまこそ、各区任せにしている区長会の姿勢を正し、目黒工場の焼却炉の縮小を求めて交渉すべきです。
 

第3は、職員削減、民営化で、自治体の役割と公的責任を大後退させていることです。

 緊急財政対策3年間で160人の常勤職員の削減、新年度は25人を削減します。自助・共助を押し付け、各分野で職員不足の問題が露呈しています。中長期の定数管理の考え方に沿って常勤職員は1900人に向かってどんどん減らされる一方、非常勤など非正規職員は1200人を超えるという状況です。
 技術系職員の抑制は、技術の継承を困難にしています。施設の老朽化対策、豪雨対策や震災対策にも、今後、支障を来すことが懸念されます。また、事務系職場では、生活福祉の窓口相談やケースワーカーなど丁寧な対応が求められる職場で専門性と経験のある人材の配置が困難になっている状況もあります。
 さらに、福祉系職員の削減を打ち出し、区立保育園7園の廃止・民営化や児童館、学童保育クラブの民間委託を押し付けようとしています。学童保育では、詰め込みによる慢性的な定員オーバーの一方で、職員削減がすすめられてきました。こうした中で、子どもの安全や保育にも問題が生じています。
 社会教育館では、正規・非正規職員が削減され、再任用の職員配置でサービス水準の維持に努めていますが、このままでは利用者の相談や支援に対応できないと言われています。図書館でも職員を削減するため、3館で開館時間を縮小し、利用者から不満の声が出ています。
また、住民票の郵送業務を外注し、戸籍住民課の職員削減を図ろうとしていますが、個人情報漏えいのリスクに関わる重大な問題です。
 

第4は、緊急財政対策を修正もせず、区民生活よりも基金積み立てを最優先していることです。

 史上最大規模の区民いじめ「行革」となった緊急財政対策の目的は、112億円の財政不足を回避し、64億円の活用可能基金を確保するという点でした。しかし、その根拠とされた当時の収支見通しと比較して、歳入が130億円以上増加する見込みです。多くの区民が赤字と思い込まされた財政不足にはならず、基金は急増することが緊急財政対策2年目にして明らかになりました。
 こうした中で、緊急財政対策を2年間で打ち切って必要なものは復活するという選択もできたはずです。ところが、区長は、修正せず、最終年として区民に痛みを押し付ける選択をしました。一方で、100億円を超える活用可能基金をつくり、区民生活よりも積み立てを最優先したと言わざるを得ません。
 とりわけ見直すべきなのは、JR跡地や大橋図書館跡地など貴重な区有地の売却を中止することでした。認可保育園や特養ホームなど切実な区民要求のために活用すべきであります。
 

第5は、区民不在の施設見直し問題です。

 その1は、数値目標と新規凍結原則についてです。わが党は、代表質問で区有施設の総床面積を15%減らす目標と新規施設を原則つくらないという原則を撤廃すべきだと質問しましたが、区長は、この机上の数値目標に固執しつづけています。区有施設の見直し方針を出すのであれば、老朽化対策を正面に据えることや保育園や特養ホームなど新たな区民需要を十分に踏まえた計画をつくるべきです。
 その2は、住民参加の問題です。区有施設の見直しにあたって、区は当初、区民を含めた検討組織を作ろうとしましたが、結果的には有識者会議へと矮小化され、区有施設見直し方針づくりへの区民参加は反故にされました。
また、見直し案の説明会でも、参加者の質問にきちんと説明できない事態でした。関係する施設に関わる区民団体から説明を求められても、丁寧な説明もなく門前払いをした部署もありました。
 区は、区民アンケートや説明会を行って、区民の意見を聞いてきたと言いますが、住民とともに施設問題を考えていくという姿勢は極めて薄弱だと言わざるをえません。
 

第6は、大橋再開発とジャンクション天空庭園に関わって大型開発に便宜を図っている問題です。

 大橋ジャンクション屋上公園の整備に関わり、大気汚染対策など道路沿道環境対策費として整備費相当額10億円を首都高株式会社が目黒区に支払いました。しかし、この公園は、首都高が本来整備するものであり、整備費と維持管理経費の全部を首都高に負担させるべきであります。
 また、大橋図書館は、現在地で建て替えれば5億円程度でできたにもかかわらず、大橋再開発ビル9階の床を23億円も出して購入し、大橋図書館などを移転させました。180億円もの区民施策を削る一方で、首都高株式会社や大橋再開発事業者に便宜を図るやり方は許されません。
 その他、新たな中学校統廃合、生活保護基準の引下げ、就学援助、マイナンバー制度などの問題がありますが、これまでわが党が主張してきた通りです。
今、目黒区にとって求められているのは、地方自治体としての役割を果たすために、命と暮らしを守る区政に転換することです。
 最後に、憲法と地方自治の本旨に基づき、目黒区政を発展させていく決意を表明し、討論を終わります。

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