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党の政策

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第2回定例会 一般質問

2008年6月17日、森美彦区議は、区議団を代表して、一般質問を行いました。
内容は以下の通りです。
私は、日本共産党目黒区議団を代表して、区政一般について質問します。
 第1は、高齢者の医療を守ることについてです。
 まず、後期高齢者医療制度について質問します。
 75歳という年齢で、今まで入っていた国保や健保、扶養家族から追い出し別枠の医療制度に押し込める、保険料は「年金天引き」、払えない高齢者からは保険証を取り上げる。健康診断、外来、入院、「終末期」のあらゆる段階で、安上がりの医療差別を押し付ける、こんなひどい制度は世界に例がありません。しかも、時がたてばたつほど、国民負担も、高齢者への差別医療も、どんどんひどくなっていく仕組みです。「平成の姥捨て山」と言われる血も涙もないこの制度の害悪を、制度の一部「見直し」で解決できるものではありません。
 4月施行後、年金天引きへの怒りと相まって、制度の内容が次第に明らかになるにつれて保守層を含めて廃止を求める世論が大きく広がっています。
 中曽根元首相は「至急元に戻して新しくもう一度考え直す必要がある」と言い、野中元官房長官は「銭勘定だけで人間としての尊厳を認めていない」とまで言いました。政府与党は右往左往の挙句、舛添大臣まで「財政の論理が優先しすぎたと反省」などと言い出す有様です。
 また、全国で30を超える都道府県の医師会は、差別医療の仕組みの1つである後期高齢者診療料に関って「質の高い医療が提供できない」「一人の高齢者の病気が一つと決められるのか」と後期高齢者診療料のボイコットを表明しました。実際、厚生労働省調査でもこの診療方式を採用した診療所は全国でわずか14%という状況です。
 広がる一方の国民の怒りを前に、政府・与党が12日に合意した「手直し」方針は、差別制度の根幹には一切手をつけずに保険料の一部軽減などで批判をかわそうとしたものです。政府・与党は、民意の結晶ともいえる「廃止法案の参議院可決」の重みを正面から受け止め、衆議院でも可決させ、差別医療制度の廃止に踏み切るべきです。
 目黒区での保険料徴収は7月からとなっていますが、大病院の受診制限など医療現場ではすでに差別医療がはじまっています。
 そこで1点目、後期高齢者医療制度に対する区長の基本的な考えについておたずねします。
 わが党は、3月議会でも、後期高齢者医療制度は、お年よりを年齢で差別するという考え方の根本が間違っていること。小手先の「見直し」ではどうにもならず、廃止しかないことを指摘してきました。
 区長は、3月議会で「今般の医療制度改革は国民皆保険を持続可能とし、質の高いサービスが受けられるためのものである」と答弁し、区長選の公開討論会では、制度に「賛成」の態度を明確にしました。
 廃止を求める世論の高まりなど状況が大きく変化する中で、それでも区長は、制度に賛成なのか、制度の廃止を国に求める考えはないのか、おたずねいたします。
 2点目は、区独自の保険料負担軽減策についてです。
 政府は、低所得者ほど保険料が軽減すると宣伝してきましたが、政府自ら行った今回の調査から、低所得の人ほど負担増になる――いままで言ってきたことが嘘だったことがはっきりしました。
 東京では、高い保険料では住民の理解は得られないと、東京都広域連合は、2度にわたる低所得者負担軽減策を実施しました。しかし、それでも、高額所得者は減額となる一方で、全体の半数に上る均等割のみの世帯をはじめ高齢者の大半は負担増となります。
 さらに、滞納者からは保険証を取り上げることを方針としています。これまでは取上げてはいけないと法律で禁止されていた年齢層であり、しかも、対象は、年金天引きができない無年金者や年金1万5000円以下の低所得層などです。こうした保険証の取り上げは、75歳以上の高齢者を死に追いやるものであることは明らかです。
 以上のことから、これまでよりも負担増となる高齢者に対して区独自の保険料負担軽減策を行うべきではないか。
 また、後期高齢者医療制度の中でも保険証は取り上げないことを貫くべきではないか。答弁を求めます。
 その2は、高齢者の医療費負担軽減についてです。                          そもそも、1961年にスタートした『国民皆保険制度』は、憲法25条の生存権を保障する制度として発展し、1970年代には高齢者の医療費は外来・入院とも無料となりました。
 ところが、1982年に差別医療と自己負担の導入を目的に老人保健法が制定されました。その後、定額制から定率制になり、現在、一般は1割、一定以上の所得者は3割にまで拡大されました。
 こうした連続的な医療改悪のもとで、高い医療費負担は重症化や手遅れになる事態を増加させています。
 さらに、政府は、70歳以上の1割負担を4月から2割負担にする法律を通しましたが、国民世論の高まりのもとで凍結されています。
 この70歳から74歳までの窓口負担を1割から2割に増やすことを中止するよう政府に求めるべきではないか、答弁を求めます。
 次に、増え続ける保険外の自己負担軽減についてです。入院時の差額ベッド代、ホテルコスト、食事代、オムツ代などの保険外の自己負担は増大する一方です。
 区は、保険外の自己負担に一定の助成をしていますが、増え続ける負担増の中で、オムツやストーマ装具などの区の助成額引き上げの要求が高まっています。
 オムツ代は、入院した場合、月額4〜5万円も請求されるケースもあります。区の月額6300円の助成を増やすべきではないでしょうか。
 また、ストーマ装具は、大腸がんの手術で、便を排泄するためにお腹のところにつける装具ですが、医師指定のものは月額1万3000円かかる例もあります。一方、区からの助成金は月9000円です。年間4万円を超える自己負担分を全額助成すべきではないか。答弁を求めます。
 第2は、住民参加の推進についてです。
 基本構想では、住民自治を確立することを、区政の3つの基本理念の1つとして特別重要な位置づけをしています。さらに、住民自治の確立に向け、「実効性ある住民参加システムを構築」することを基本方針にしています。
 この基本構想に基づく基本計画では、「政策策定過程の各段階――課題設定、政策立案、政策決定、執行、評価の各段階で、住民意思を的確に反映するため、区と区民で情報の共有化を図るとともに、各段階で区と区民または区民同士の話し合いが十分に行えるよう住民参加システムを整備すること」「住民参加の結果によっては変更可能なものとして位置づけるシステムを確立すること」を具体的に示しています。
 ところが、区は、住民参加システムの課題を置き去りにし、「協働」という課題のなかに解消しようとしてきました。これに対しわが党は、住民参加システムの構築を図ることをそっちのけにして、「協働」という課題に解消するのは問題だと指摘してきました。
 こうした中で、区は、協働推進方針において不十分ながらもパブリックコメント制度の整備と区民が行政検討に先立つ提案づくりの機会を確保することを2007年度の課題として掲げました。ところがこれさえも進んでいないというのが現状です。
 基本構想、基本計画、協働推進方針に掲げたのは行政自らであり、約束を果たすのは区長の責任であります。実効性ある住民参加システムの構築を早急に具体化すべきと考えますがどうか、おたずねします。
 次に、基本計画等の改定にあたって住民参加をどう進めていくかという問題についてです。
 区は、基本計画、実施計画、新行革計画、財政計画の改定にあたって、基本構想に基づいて住民参加の構えをしっかりしておく必要があります。
 いま、構造改革の下で、貧困と格差が社会問題として広がり、福祉の増進を第1の役割としている自治体行政のあり方が鋭く問われています。今回改定される一連の計画は、区民生活と区の将来に影響を与える大本の計画であり、計画づくりから住民が深く関る必要があります。
 全国的には、行政計画づくりなどで住民と行政が共同で政策案をつくる動きが広がっています。例えば、武蔵野市では、基本計画を策定するために総勢100名規模の市民会議を立ち上げ、1年間かけて5つの分野ごとに検討し提言をまとめ、その後の1年間は各分野の代表も参加した検討会で全体計画をまとめるなど、計画策定過程における住民参加を徹底させています。
 目黒区においても、基本計画等の改定にあたって、公募区民と学識経験者などによるワーキンググループを分野ごとに設置し提言書をまとめるなど、区民が行政検討に先立って計画づくりに参加できるようにすべきではないか。また、住民説明会などを住区ごとに行うなど住民参加を徹底すべきではないか、おたずねします。
 第3は、住宅政策の拡充についてです。
 最近、高齢者の住宅問題に関わる相談が増えています。「家主から立ち退いてほしいといわれたが引越し先が見つからない」「高齢者福祉住宅に何度応募しても入れない」など切実です。
 所得、年齢、障害の有無などに関わりなく、だれもが「住み続けられるまち」目黒にするために、今回は高齢者の住宅問題に絞っておたずねします。
 その1は、高齢者の住み替え支援についてです。
 目黒区では、区民12万世帯のうち半数近い5万世帯が民間の賃貸住宅に住んでいます。とりわけ、単身高齢者の3割以上は、民間アパート住まいです。
 こうした中で、高齢者の住み替えに対する行政の支援は、たいへん切実な要求になっています。
 民間アパートの建て替えや相続の関係で大家から立ち退きを迫られるケースが増えています。ところが、その一方で、高齢者を受け入れてくれる民間賃貸住宅が少なくて転居先が見つからない、あっても家賃が高くて払えない、さらに、連帯保証人を引き受けてもらえる身寄りがいない、など高齢者の住み替えは、自力ではなかなか実現できない困難な状況が広がっています。
 こうしたもとで、行政による高齢者の住み替え支援がますます重要になっています。しかし、目黒区の支援策は、逆に後退しています。
 高齢者住み替え家賃助成は、10年前は年間34件の実績がありましたが、この3年間の実績は、いずれの年も5〜6件にとどまっています。
 民間賃貸住宅のあっせんによる転居件数の実績も減る一方です。ある知り合いの不動産業者は、「区から業界への協力の働きかけが弱いのではないか」といっていました。
 また、区の連帯保証人制度は、ここ数年、実績がゼロで、現在、区が保証人になっている高齢者はたった1名になりました。このように、実績が上がらない原因は、区に連帯保証を受けられる対象は、区のあっせんが成立し、2親等以内の親族がいないというきびしい制約があるからです。
 そこで、3点おたずねします。
 1点目は、高齢者住み替え家賃助成については、大家から立ち退きを求められた場合は、どのような事情によるものであってもすべて助成の対象とすること。また、実態に合わせて、所得制限の緩和、算定基準の見直し、上限額の引き上げなどを行うこと。
 2点目は、宅地建物取引業協会や大家、民生委員に対し、転居支援に関る制度の周知と協力の働きかけを強化すること。
 3点目は、目黒区が連帯保証人となる公的保証人制度を拡充することです。その上で、NPОなどの活用を併用することも区の制度を補完する上で有効ではないでしょうか。また、区の現行の保証人制度は、あっせんによらない場合や高齢者本人の事情により連帯保証人が見つからない場合も対象とすること。
 その2は、高齢者福祉住宅についてです。
 目黒区内で民間の低家賃の住宅が少なくなっているなかで、高齢者が安心して住める住宅を確保するためには、公営住宅や高齢者福祉住宅の確保が緊急の課題です。
 しかし、高齢者福祉住宅の建設は、遅々としてすすんでいません。これまで計画してできなかった分も含めて整備計画の大幅な遅れを取り戻すとともに、高齢者の切実な住宅要求に応えるためには、直接供給を増やしていくことがもっとも確実です。しかも、区有地を活用した場合には、高齢者福祉住宅にかかる建設費は、基本的に全額が手当てされるという有利な補助金制度を最大限に活用すべきです。
 上目黒福祉工房跡地は売却せず、高齢者福祉住宅を建設すべきと考えますがどうか、おたずねして、私の一般質問を終わります。

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