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第2日 石川恭子議員の一般質問

2007年3月一般質問             2007.3.2石川恭子議員
 私は共産党区議団の一員として、大きく2点について質問します。

就学援助の対象基準を生活保護費の1.2倍から1.5倍に

 最初に、子どもを安心して生み育てられる、子育て支援策について伺います。まず一点は、就学援助の対象基準を生活保護費の1.2倍から1.5倍に拡大することについてです。
 今日、貧困と格差の広がりはますます深刻な事態になり、さらにその貧困が、次世代の子どもの生活に大きく影響を及ぼし、子どもの成長の可能性をも阻み、教育を受ける権利が脅かされているのです。
 OECD経済協力開発機構は、昨年の対日経済審査報告書で日本の子どもの貧困率がたかまっていると指摘しました。その国の平均所得の半分を貧困ラインとしますが、日本の場合、夫婦子ども一人の世帯で年収240万円が貧困ラインです。その貧困ライン以下の所得で暮らしている子どもの割合が、子どもの貧困率といわれています。日本は、OECDの平均12.2%を上回り、14.3%で、近い将来にはOECD諸国の平均の2倍に達するのではないかと言われています。
 2001年の家族・子ども向け公的支出の対GDP比率は日本は0.6%で、OECD24か国中21位です。トップのデンマークに比べ六分の一となっています。フランスでは、子育て支援として様々な経済的な援助が行われ、低所得者にとどまらずすべての家庭に児童手当をはじめ30種類の手当を支給しています。スウェーデンでは、大学生まで教育費は無料です。欧米諸国では、学費は無償か安価で、奨学金も返還義務のない「給付型」が主流です。世界の教育費無償化の流れの中で、日本は、最も子育て、教育費にお金のかかる国となっています。
 無償といわれる義務教育でさえ、保護者が負担しなければならない学校教育費は、目黒の公立小学校は年間約5万5千円、中学校は約8万5千円となっています。2004年文部科学省の調査では、さらに制服代や学校外活動費などを含む学習費総額は、公立小学校は年間約31万円、中学校は約47万円と大きな負担となっています。
 目黒区は、高額所得者の多い区と言われていますが、就学援助を受けている子どもは1月現在、1335人います。中学校の場合、就学援助率は15.6%で、2004年全国平均の12.8%を上回り、16%を超える学校は8校で、そのうち20%超える学校は2校あり、今日の厳しい家計状況を反映しています。
 現在、就学援助の対象は生活保護基準の1.2倍で、4人家族で、両親と小学生、中学生で家賃がある場合は、所得限度額は413万円で、月々に使えるお金は34万円になります。総務省の調査によると、2005年勤労者一世帯あたりの生活費、消費支出は、3.5人で32万9千円となっています。これは、居住費を2万円としたもので、家賃が10万円以上で、物価の高い目黒で見ると、34万円では、全国の平均生活費の二分の一しか使えず、とても生活出来る状況にありません。就学援助の対象基準そのものが余りにも低いといえます。生活保護基準の1.4倍の所得がないと生活保護基準以上の生活が出来ないと言われていますが、こうした数字からも納得できるものです。
 憲法26条は、教育を受ける権利と、義務教育の無償をうたっており、どの子も安心して教育を受ける権利が保障されなければなりません。
 そのためにも、就学援助の対象を生活保護基準の1.2倍から1.5倍に拡大すべきだと思いますが見解を伺います。

私立幼稚園の入園料補助金を5万円から10万円に

 次に 次に私立幼稚園の入園料補助金を5万円から10万円に引き上げることと低所得者への保育料の補助金の増額についてです。
 区内の3歳から5歳までの幼児数は、約4900人です。保育園児は約1360人で、幼児教育を受けている子どもは区立幼稚園5園約425人、私立幼稚園20園約2750人で、私立幼稚園は、幼児教育における大きな役割を担っています。幼稚園の保護者の負担をみると、公立幼稚園の場合入園料は1500円、毎月の保育料は7500円で、その他には若干の教材費がかかります。ところが私立幼稚園は、幼稚園によって差はありますが、平均して入園料は10万円、保育料は2万5千円です。私立幼稚園では、入園料に加え制服代や設備費がかかります。さらに、教材費、送迎バス代、給食費など合わせると、毎月3万円以上の負担になります。
 区内には幼稚園に通っていない3歳から5歳の幼児は、約360人います。目黒区次世代育成支援行動計画の策定に関わる基礎調査では、幼稚園・保育園に通いたいけど通えない最大の理由に「保育料が高い」ということをあげてる人は44%も占めています。幼児になるとほとんどの子どもは幼稚園に入園するので、幼稚園に通えない子どもは、公園に行っても一緒に遊ぶ同年齢の子どもがいません。今日では、当たり前となっている幼児教育が経済的な理由で受けられない子どもがいることを放置するわけにはいきません。
 目黒区の出生率は、全国で最も低い自治体となっており、どこの自治体よりも子育て支援策が必要とされ、若い子育て層からは「経済的な援助をしてほしい」と切実な声が寄せられています。大田区では入園料補助10万円、世田谷区では9万円、品川区では8万5千円です。しかし、目黒区は大田区の半分の5万円にしかすぎません。誰もが、幼児教育を受けることができるように私立幼稚園入園料補助を5万円から10万円に引き上げ、低所得者への保育料の補助を増額するべきだと思いますが見解を伺います。

マンション耐震化の促進に向け

 大きな二点目は、マンションの耐震化の促進に向けての取り組みについてです。
 東京はいつ直下型地震が起きても不思議ではないと言われ、区は被害を防ぐ対策として旧耐震建築基準の木造住宅への無料耐震診断や、耐震改修への助成を実施しています。その結果、木造住宅の耐震診断は151件と大きく前進し、耐震改修の実績も上がっています。一方、非木造住宅への助成も行なっていますが、鉄筋・鉄骨マンションなどの耐震診断の費用は高く、さらにマンション管理組合員の合意を取ることが困難で、耐震診断助成決定は6件で実施は3件となっており、耐震改修へは進んでいません。また、分譲マンションについては、耐震診断の実績もありません。マンションの倒壊は、木造住宅の倒壊以上に多くの犠牲者をうみ、コンクリートなどの瓦礫は、避難や復興作業に多大な影響を与えます。街づくりセンターの調査では、04年区内には築30年以上のマンションいわゆる高齢マンションが140棟あり、10年後には400棟になり、3倍になるとしています。マンションの耐震化促進に向けた実効性のある対策が、緊急に必要となっています。
 たとえば横浜市では、耐震化を進めるために経済的な援助にとどまらず、マンション住人の耐震化に向けた意識を高めていくための援助などを含めた総合的な取り組みが進められています。多大な費用がかかる本診断、精密診断の前に、図面や現地調査に基づく簡易な診断、予備診断を市が全額負担で行っています。この制度のもとで9年間に予備診断は1603棟、そのうち77棟が本診断に移行し、今年耐震改修に着工したマンションも出ています。さらに、住人の意識を高めるために、毎年管理組合へ様々な資料を送り、管理組合員の合意形成のために無料でアドバイザーの派遣をしています。2004年には大規模改修検討に向けた管理組合への活動支援として、限度額30万円を5年間実施するマンション再生支援事業を開始し、市民と行政の取り組みが着実に進んでいます。目黒区の状況をみると、現行の制度のもとでは耐震化の促進を期待することはできません。耐震化を促進するために横浜等の経験を学んで、住民への働きかけを含めた総合的な取り組みを行うべきだと思いますが見解を伺います。
以上で私の壇上からの一般質問を終わります。

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